飼料要求率と飼料コスト

 最近、養豚各誌に飼料要求率をモニターすることの重要性がとりあげらておりますので、自農場の飼料要求率を把握している方が多くなったと思います。飼料費は肉豚生産コストの約半分を占めるわけですから、コストダウンには一番気がかりな部分ではないかと思います。通常は飼料要求率(以下FCと標記します)が低いほど飼料コストが低いのですが、単純にそうとばかりはいかない場合があります。今回はFCのトリックについてお話しします。

表1は実際の2農場のデータ比較です。比較しやすいように飼料単価を揃えて再計算したものです。A農場の方がFCも良いですし、枝重も出荷日令も良い成績を出しています。

しかし肉豚1頭当たりの飼料コストはA農場のほうが多くかかっています。肉豚1頭あたり1,100円も多くかかっていますので、枝肉の手取り単価が同じであればA農場の方が収益が少なくなってしまいます。

 では、なぜA農場がコスト高なのでしょうか。表2を見て下さい。B農場は単価の高い人工乳を極力少なく抑えるように、餌の切り替えタイミングを早くしているのがわかります。片やA農場では弱小豚の落ちこぼれを防止し、事故率を低くすることを優先にしているため、餌の切り替えタイミングが遅くなっています。結果として単価の高い人工乳の使用量が多くなり、全体の飼料コストを押し上げています。

 人工乳の給餌量がメーカー推奨量よりも多くなっています。このステージの最適給餌量は、豚の品種(遺伝的発育能力)によっても異なりますし、豚舎環境によっても変化します。一方、B農場のほうは餌付け用人工乳の給与が少なすぎることが、肥育日数が長い一因になっているかもしれません。体重30kgまでを、いかに早く低コストで育て上げるかで肥育部門の収益が大きく変わってきます。

 前述しましたように変動要因が多くありますので、なかなかこの部分を正確につかんでいる農場が少ないのが現状だと思います。だからこそ、まだまだコストダウンの余地が残っていると思います。それには最低限、次のことを実施して下さい。

@     豚の体重測定 (1)離乳時 (2)離乳舎から肥育舎への移動時(約70日令) (3)出荷時

A     肥育ペンカード1ペンごとにつくり、手給餌期間の各飼料銘柄ごとの給餌量と餌の切り替え日を記録する

B     毎月の豚と餌の棚卸し

これらのデータから表2の集計をしていけば、自農場に最適な給餌プログラムを構築できます。

 

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最終更新日 : 2022/01/23