これからの養豚の方向性

 昨年の養豚業界を振り返ってみますと災害の多い年だったように思います。春の口蹄疫から始まって、夏は記録的な猛暑が続き、豚舎の火災も多かったように思います。一方相場の方は11・12月が例年になく高かったせいもあるのか、農場の増設計画もちらほらと聞こえてきます。また、営業でまわっていると、「どこか農場を作れる場所はないかね」と聞かれたことが何回かありました。その経営者の方々に共通していたことは、臭いの苦情が多数来ていると言うことでした。ですから農場の一部または全部の移転を希望されているのです。しかし悪臭公害が出ないぐらいの人里離れた場所で、造成費が少なくて済むような場所がなかなか見つからないのが現状です。

TPPの交渉入りが模索され、相場の先行きが暗いこの状況下で臭気低減のコストまで負担しなければならないとなると、経営が継続できるのだろうかと心配でなりません。しかし、臭気対策はどうしても避けては通れない状況になってきていると思います。私の営業範囲内で見渡してみるとオガコ式豚舎が臭気の面では最も適しているようです。ただ、オガコの入手がなかなか容易でなはありません。かといってオガコをリサイクルすれば衛生的に問題が大きくなります。そこをうまくクリヤーしている農場がありました。

これは東北大学の先生の協力で宮城県内の業者が開発した乾燥炉を使って、使用済みの踏み込み床材を滅菌乾燥してリサイクル使用するものです。乾燥炉へ直接全量投入したのでは燃料費がかさむので、この農場ではコンポストで前処理をしてから乾燥炉に投入しているそうです。日本は森林の割合が高い国ですから、この技術が今後の日本の養豚界に光を与えてくれると思っています。

また、飼料のほうでもリキッドフィーディングの普及に合わせて、バイプロ利用が各地で進んできているようです。ただ、リキッドフィーデングシステムは、トラブルが多いと聞きます(正確な統計を取っていないので、代理店の方には申し訳ございませんが)。それで、原始的ではありますが、スープタンクをバッテリー駆動式の台車に載せて各ペンに給餌して回る方式のほうが良いのではないかと私は思います。例えば各ペンに生年月日や収容頭数のデータをバーコードで印刷して掲示しておき、配餌車ではそのバーコードを読み取って計算した量を餌箱に流し込んでいく方式にすれば、的確な給餌が出来るのではないでしょうか。私は踏み込み式豚舎には合うのではないかと思います。手間がかかる分、人件費はアップしますが、イニシャルコストの低減と、トラブル低減と雇用の創出につながると思います。低臭・無排水豚舎ならば、進出できる候補地も多くなるのではないでしょうか。

移転を希望されている農場さんへ、このオガ床リサイクル方式とリキッドフィーディングを取り入れた方式を提案しようと、私は宮城県へ進出する某自動車メーカーの社員食堂を運営する会社をたずねてみました。まだ何も具体化はしていませんが、こんなリサイクルが出来るエコ農場が出来たらいいなと、年頭の夢を描いているところです。

 

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最終更新日 : 2022/01/23