*いつから日本に住んでいらっしゃるんですか?
  1989年から95年までの6年間、東京に住んでいました。

*どうしてですか?
  最初は大学で勉強するため、それからは楽しむためにいました。

*日本の第1印象はどうでしたか?
  夜、成田から東京に向かうバスの中で「わ〜、すごくステキな街だ
  わ。」と思いました。

*日本に住んで印象は変わりましたか?
  日本の印象といえば、6月になると、至る所に咲くアイリスや紫陽花の
  風景を思い出します。

*日本のどこが気に入っていますか?
 
 数えきれないくらいたくさんあります。

*具体的にいうと?
 
 特筆すべきはことは、料理がおいしいということ。それから、自然が
  きれいだということ。

*自然がきれい?私のイメージでは、日本よりドイツの方が自然に恵 まれ、きれいだと思いますが。。。。
  ドイツの自然は”暗くて寒い”冬のイメージがあります。それに比べ  ると、日本は年中花が咲いていて とても優しく感じます。おかしな話  ですが、ずっとドイツに住んでいると、あまりドイツの自然が きれい  だとは感じないんです。いつもあるものは面白くないように思えて、  違うところのほうが 良いような気がします。 それと、日本に住んでい  た時に、たまにドイツに帰って観光客みたいにドイツのあちこちへ行  ってみたら、 やっぱりドイツもきれいだなと思うようになりました。

*日本の長所と短所は何だと思いますか?
  
日本の方はよく「ドイツと日本のどっちがいい?」と聞いてきますが  その質問はあまり好きでは ありません。どの国にも必ず善し悪しがあ  るからです。その善し悪しには、歴史や習慣などが必ず 関係してきま  す。自分の国のよい面と、他の国のよい面だけをとって、いい国をつ  くろうとしても それは無理な話だと思います。

*私はドイツに住んでみて気付いたんですが、日本では、とかく
 ヨーロッパの良い面ばかりをクローズアップする傾向があると思  います。 例えば、新聞などで”ドイツの社会保障について”の記 事が載っていたとします。そこでは ドイツの社会保障がいかに優 れているかという点ばかり強調されていて、その社会保障を支えて いる 税金についてはほとんど書かれていません。 ドイツの税金
 は、日本人が想像している以上に高額です。給料から、所得税を
 はじめ州税、国税、 年金保険、失業保険、健康保険、介護保険、 そして教会税(教会に属している人のみ)が引かれます。 トータ ルすると給料の約50%を税金や社会保障金で負担しなければいけ ないんです。
 その上、消費税は16%もします。
 日本でドイツなみの社会保障を期待するのならば、日本人は高額  な税金を納めなくてはいけない、つまり、よい面には必ず悪い面も ついてくる、ということですね。

*リンツさんは流暢な日本語をしゃべれますが、どうやって日本語を 勉強したんですか?
  最初、しゃべるのが難しかったです。日本語はヨーロッパの言葉とま  ったく違う言 語システムですから、そのシステムが理解できるまでず  いぶん時間がかかりました。 例えば,動詞が最後にくるから 肯定文な  のか否定文なのか最後まで分からないので、気が抜けません。 かなり  苦労しましたよ。

*ドイツは日本からどんな点を学ぶべきだと思いますか?
 
 まずは、サービス精神ですね。

*どんな日本食がお好きですか?
 
 お寿司、ヨーロッパにはない南瓜、それと色々。そして、お肉・ジャ  ガイモ・野菜 という伝統的なドイツ料理のパターンとは違って
   ”品目”がとても多いのが楽しい。 あ,そう言えば、おつまみも好き  です。

*日本のどの都市がお好きですか?
  
東京です。京都も好きですが、住んだことがないのでやはり東京が一  番です。

ンツさんとしゃべっていると、とても勉強になります。
ありがとうございました。

                             99.09.04.

Julia Linz

フランクフルトの某日本企業で秘書をなさっているユリア・リンツさんにインタビューしました。
リンツさんは流暢な日本語をしゃべれる上、漢字の読み書きもできるすごい方です。
趣味は芸術、旅行、映画、歴史小説、ワインを飲むことで、とてもロマンチストな方です。