76. スペインの治安

私が最初にスペインに行った時、スペインに留学

したことのある友達から、マドリッドは治安がす

ごく悪いから注意するようにと、さんざん聞かされた。

マドリッドで財布は持つな!お金はポケットにいれ

ること!かばんはなるべく持たない!荷物を持つな

らなるべくスーパーマーケットの袋にいれること!

町中を歩く時は、つねに後ろに注意して歩くこと!

などなど。 これだけ聞かされたら、どんな治安が悪

い国なんだろうと、もう行く前からびくびくしてし

てしまったことを、今でもはっきり覚えている。

それが実際スペインに着いてみると、噂で聞くほど

治安が悪いようには見えないのだ。おかしいなぁ、

そんなに危険だとは感じないけどなぁ、と思ってい

ると、周囲の友人がぞくぞく被害に合っていく。

「この前ソル(プエルタ・デル・ソル)の付近を歩

いていたら、カバンをひったくられたの。周りにス

ペイン人がたくさんいたのに、誰も助けてくれない

のよ。それでそのひったくりが逃げたら、大変だっ

たねぇでもあれは外国人でスペイン人じゃないよっ

て言うのよ。ひどいと思わない?!」

被害の合った人の話を聞いていて共通していると感

じたのは、想像していた程治安が悪く感じなかった

ので気が緩んでしまい、そういう時にトラブルに合っ

てしまった、ということだ。つまり、気を付けてい

れば、ある程度の被害からは免れるということだ。

それと、誤解を生じやすいのが、スペインは治安が

すごく悪いという言い方かもしれない。何故なら、

爆弾テロとか殺人はそれほどなく、犯罪のほとんど

がひったくりなどの窃盗だからだ。

マドリッドで窃盗が多い地域は、コロン広場、グラ

ン・ビア周辺、プエルタ・デル・ソル周辺、ラスト

ロのあるエンバハドール周辺とアトーチャ駅周辺だ。

窃盗は白昼堂々と行われるので、人がいるからと安

心してはいけない。

これからスペインに行く人達のために、過去の被害

例をいくつか紹介しましょう。

●まずは私の体験談から。マドリッドの地下鉄に乗っ

た時、リュックに誰かが触ったように感じたので、

振り返ったら、年輩のジプシーらしき女性がびっくり

した顔で電車を降りていった。もしや、と思いリュッ

クを見てみたらファスナーが全開になっていた。気づ

かなかったら何か盗まれていたかもしれない。

●次も自分の体験談。マドリッドのプエルタ・デル・

ソルにある公衆電話で電話をかけていたら、突然スペ

イン人のおばさんが「ちょっとあんた、今スリがあん

たのポケットから何か盗っていったわよ。」と叫ぶで

はないの。どうも、スリらしき人が私のポケットに手

をつっこんだらしい。そんなことにはまったく気が付

かなかったが、幸いお金は入っていなかったので、メ

モ用紙を盗まれただけですんだ。

●友達の被害例。マドリッドのデパ−ト エル・コル

テ・イングレスのエスカレーターに乗っていたら、誰

かがかばんを触っているような気配を感じ、後ろを振

り返ったら、スーツに身をつつんだ紳士らしき人とそ

の子供らしき親子しかいなかったので安心していたら、

買物しようとした時、財布がないこと気付いた。どう

考えてもその親子しか接触がなかったので、エスカレー

ターで盗まれたとしか考えられない。 

対策 - 身なりがいいスリは結構いるらしいので、

つねに自分が狙われているという心構えを持つこと。

安心してはいけない!

●友達の被害例。マドリッドのラストロ(のみの市)

にでかけたら、周囲にたくさん人がいたにもかかわら

ず、数人のグループにはがいじめにされた。財布を持

ち歩いていなかったので、お金は盗まれずにすんだ。

●知り合いの男性の被害例。マドリッドのアトーチャ

駅付近でホテルを探し歩いていたら、二人組のグルー

プに襲われて、殴られた上リュックを盗まれた。最悪

なことに、パスポートも飛行機のチケットもその中に

入っていたこと。

●スペイン人の友達夫婦の被害例。マドリッドのアトー

チャ駅付近のホテルに宿泊した時、ホテルのエレベー

ターで南アメリカ系のグループに脅されて財布を盗ま

れた。夜の11時頃のこと。財布は戻らず。

対策 - アトーチャ駅付近は観光客をねらったひった

くりが多いので、お金は数カ所に分散させ、盗まれて

も被害を最小限にくい止めること。くれぐれも注意!

●友達の友達の被害例。飛行機の乗り継ぎがマドリッ

ドで4時間くらいあったので、市内にでて買物をすま

せ、空港に向かおうとタクシーを呼び止めようとした

時、カバンを盗まれた。

●友達の友達の被害例。マドリッドのエンバハドール

付近のカジェ(通り)を歩いていたら、数人のグルー

プに囲まれて、昼間で周囲に人がいるにも関わらず、

身ぐるみ剥がされ、ブラジャーの中に隠していたお札

まで盗まれた。クリスマス前はこういう盗難が多いら

しい。

●友達の友達の被害例。セビージャのバルで飲んでい

たら、スペイン人男性に声をかけられ、一緒に飲んで

いたら意識がなくなって、気付いたら裸で路上に寝て

いた!恐らくトイレに行った時に、ビールに睡眠薬を

いれられたらしい。命に別状がなくて良かった?とい

う例。

●マドリッドの友達から聞いた事件。マドリッドのグ

ラン・ビア周辺で、夜、日本人が襲われてナイフで刺

され死亡するという殺人事件が起きたらしい。詳細は

不明。

他にも似たような被害をたくさん聞く。被害にあって

から、あの時気を付けていれば良かったと後悔しても

お金は返ってこない。後悔先に立たず。日本にいるの

と同じ感覚でスペインには行かないこと。

気を付けて楽しい旅行を!

2002.05.05.

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