41.迷ったら前へ

日本社会では、女性は3歩下がるのが控えめで良いという美徳がまだ残っている。

この美徳は、フラメンコをするには大きな障害になると私は感じている。
フラメンコは、自分をさらけ出して喜怒哀楽を表現するものだから、控えめでは出来ない。

クラスで後進の指導をしていると、この3歩下がって控えめな女性が、羞恥心を捨てられず、ハレオを大きな声でかけたり出来ないので、困ってしまう。
もちろん、本人達が一番困っていると思うが。

「Mari先生はフラメンコを始める前は、どんな性格でしたか?3歩下がるタイプの女性でしたか?」
クラスの後、生徒さんにこんな質問をされた。

過去を思い返してみると、高校生くらいまではかなり控えめで大人しい子供だった。それが高校3年生くらいから、本性(?)が現われたのか、だんだん人の前へ前へでるようになり、大学生の頃は、いつも人の前を歩いていた。
私が在籍していた筑波大学は、まじめで保守的な学生が多く、私のように前にでる女は生意気だと言われていた。
そんなことにもメゲないで、いつも幹事やリーダーをして、仕切っていた。
人間、変われば変わるものだ。

小学生時代の友人に会うと、私のあまりの変貌振りに驚かれる。
「どうしちゃったの?あんなに大人しかったマコちゃん(その当時のあだ名)が、こんなに強くなるなんて・・・。」

何故こんなに変わったのかは、自分でもよく分からない。

話は変わるが、後進の指導をしだしてから、いろんな業界の指導者が書かれた本をよく読むようにしている。

愛読書は、阪神タイガースを優勝に導いた星野前監督の「迷ったら前へ進め」という本だ。
野球に対する熱い愛情と、前へ前へ進む勇気には、感動した。

あまりにも良かったので、旦那にこの本を勧めた。

「ねえねえ、この星野監督の本、すごくいいよ。読んでみてよ。」

本のタイトルを見て、旦那はこう言った。

「お前はなぁ、迷ったら前に進まず、後ろに下がれ。前に出すぎじゃ。」

そうか・・・・・。

後ろにさがった方がいい時もあるのかも。

日本でフラメンコを極めるには、障害が多すぎる今日この頃・・・・・・。

2005.09.26. 記

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