36.コムニオン <後編>

朝11時から、教会でコムニオンの儀式が始まった。
モダンでシンプルな外装なので、最初教会だと思わなかった。
儀式を迎える子供は約10名くらいで、ひとりを除いてみんな真っ白な衣装に身をつつみ、緊張した様子だった。
儀式の内容は、正直よく分からなかった。
神父様のおしゃっているスペイン語が宇宙語のように聞こえた。
「何を言っているのか、ぜんぜん分からないよぉ。」
友達にぼそっとつぶやいた。
「私もよく分からない。」
「アンタも分からないの???」
スペイン人に理解できないことを、私が理解できるはずがない。

儀式が終わって、教会で記念撮影。
その後、レストランでの披露お食事会。
レストランの入り口に座席表が貼ってあった。
テーブルは6つくらいに別れていて、主催者と親族の年配席、親族若者席、親族子供席、主役のラウルの友達席となっていた。私は何故か主催者親族のテーブル席だった。
「何でMariが年配テーブル席なのよ?」とアデに言われた。
「確かに・・・・・。」
周りは年配の人ばかりで、会話に困った。
できれば親族若者席に座りたかったなぁ・・・。

この披露食事会は特に司会進行する人がいるわけでもなく、席についたら各テーブル勝手に乾杯して、知らない間に食事が始まっていた。

最初に海老のゆでたもの、オードブル、ガスパッチョ、魚のグリルと、コース料理がどんどんでてきた。

どうも子供席の料理は大人と違っていたようで、早く食べ終わった子供達は遊び着に着替え、外で遊び始めた。
レストランの庭には、マクドナルドに置いてあるような大きなゴムの人形や滑り台があって、そこではしゃいでいた。中には小さな子供が泣き出したりして、大人も次第に落ち着きがなくなっていき、コース料理を食べている最中でも子供のところに行ったり、席を立ちだした。

この日は非常に晴天で、ノースリーブのワンピースでも暑く、レストランにエアコンがないようで、大人もじっと座っているのがしんどい様子だった。
時々、私も若者席にお邪魔して、会話を楽しんだ。

肉料理が終わって、何とケーキカットがあった。
主役のラウルが、また白の正装服に着替え、大きなケーキにナイフを入れた。それを、みんなが撮影する。まるで結婚式みたい。違いは、ひとりでするということ。

それから、ラウルが招待客ひとりひとりに、キャンディとお礼のハガキを配って回った。
スペイン人の子供は、本当に大人びて見える。姿格好はもちろんのこと、子供なのにみんな堂々としているのだ。
日本の10歳の子供で、こんなに堂々としている子はいったいどれだけいるのだろうか?
10歳の子供が一人前に扱われている様子に、早熟する要因のひとつはこういうところからくるのかなぁと感じた。

デザートのケーキを食べ終わったのは夕方の5時過ぎ。まだお開きになる様子はない。
こちらは本当に時間がのんびりしている。

友達のラウラ達が、明日は仕事だからもうヘレスに帰るという。
私も明後日日本に帰国するので、帰国準備をするため、お先に失礼することにした。

帰りはラウラの車でヘレスに戻ってきた。途中、渋滞があったけど、本当に1時間で帰ってこれた。

このコムニオンの披露お食事会は、結局9時過ぎまで続いたそうだ。

2005.07.18 記

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