事務局
〒710-1301 岡山県吉備郡真備町箭田2387
相談室 藤井
   第92号  2001年9月発行
<7月定例会の報告>
 7月は当院医師、山内先生の講演があり、当日は暑い中にも関わらず60名にのぼる参加があり、最後まで熱心に話を聞かれました。
 ■山内先生の話
 大阪の小学校の事件など最近せちがらい世の中になったと思う。あの事件で傷ついたり悩んだりしている人は少なくないと思う。犯人の鑑定が行なわれているところだが正常・異常の線引きは簡単にできるものではない。
 自分が医師となったとき、手術をしたらおしまい、という一般科より複雑でわかりづらい「心」に強い関心があったので精神科を選んだ。
 患者さんが病気になるのは、いろんな原因が考えられるが「ストレス」に生まれつき弱いという要因が大きいのではないかと考えている。ストレスの基準は個人差があって画一化できないが、自分の弱さを知ることができて対処できるのが現実的であろう。いろんな人がいていろんな生き方があっていいのではないか。病気の人は初めから病気であったわけではなく、無理をしていたからであり、その無理をしなければ病状も軽くなる。
 回復の助けとなる薬も「魔法の薬」ではない。良い環境や家族の皆さんの協力なしには回復に向かわない。
 ■質疑応答
 家族/通院中のこどものこと。好きなことをしているときはいいが、見た目にいらいらしているように見えるが…。
 先生/いらだちの原因には 病気の症状 薬の副作用 周囲の理解力の低さが考えられる。本人の自覚と時間が必要。先輩家族の経験と知恵を借りましょう。家族は本人との距離が近すぎて感情的に巻き込まれやすいので注意がいる。
 家族/新薬の効果、手応えは?
 先生/分裂病の薬で日本で許可が出ているもののうち2種類を当院で使用中。特に無気力などに効果があり副作用も少ないと言われているが、まだ使い始めたばかりだし臨床報告の例も少なくなんとも言えない。慎重に使いたい。
 家族/地域生活できるくらいまでに回復していればいいと聞いたが…。
 先生/身近な生活目標をこなしていくのが現実的でしょうね。
 家族/往診は病院にとって儲けにならないから将来はなくなると聞いた。
 先生/精神科そのものの診療に対する評価が低く見られている。
 家族/家族向けに医師としてアドバイスを。
 先生/ご家族の不安はいろいろあると思うが、今できることをやってほしい。横のつながりを作って将来に対する準備を今からしておいてほしい。
 家族/外泊中の過ごし方を教えてほしい。発病からは長いが初めての入院なので。
 先生/格別気をつかうことはありません。以前のような無理のない生活で結構です。
 家族/今は安定していますが、将来薬の変更を判断する目安があれば教えてほしい。
 先生/薬が効いていないと思われるとき。教科書通りにはいかない。判断が難しいのは効いているときとそうでない時が両方あるとき。使用するのは冒険。緊急時には使い、それ以外では頓服で対応する。
 家族/1、2日服薬を忘れているときがあるが大丈夫か?
 先生/2回分まとめて飲んでくださいと言うこともあるが安定している場合はあまり差し支えない。

お知らせ
 9月定例会は22日(土)13時30分よりマインドホールにて「退院した人の話を聞いてみよう」というテーマです。お気軽にご参加ください。
 10月定例会は13日(土)14時より尾道市の生活支援センター、のぞみ会の見学となります。当日は病院よりワゴン車を出しますので、12時30分までに病院駐車場にお集まりください。人数把握のため、希望者の方は事務局にお申し出ください。参加希望が多い場合はマイカーでの参加をお願いすることがあります。
 全家連大会が10月30〜31日にかけて北九州市にて開催されます。主な企画は以下の通りです。
 テーマ「21世紀の挑戦」自由・平和・共生の時代
 基礎講座「精神分裂病の新しい処方箋 〜従来薬から新薬への切り替え〜」 山梨県立北病院 藤井康男氏
 基調講演「21世紀の挑戦」 日本社会事業大学 佐藤
久夫氏
 3障害当事者によるシンポジウム「障害者の住みよい街」他に分科会、アトラクションなど
 参加希望の方は9月18日までに事務局まで。
 会より参加費の一部助成があります。