今回、私が利用した切符の実物写真
「青春18きっぷ」とは
切符の実物は下の写真のようなものです。まず、この券面に記載されている事項について一つ一つ説明してゆきましょう。
青春18きっぷの活用事例
では、次に私の今回の「奥の細道歩き旅」の例をもとに、そのメリットとプランを組むに当たっての参考事項を紹介しましょう。
@5回分の使用例とその経済的メリット
下表は、私の実際の使用例です。時間の関係で、すべての区間を普通列車でというのが厳しいところがあり、一部区間は新幹線、特急を利用していますが、それでも経済的なメリットは歴然です。通常の新幹線を利用した場合に比べ、4万円近くの節約になっています。
回数 | 区間 | 通常運賃 (新幹線利用) |
青春18きっぷ使用例 (一部区間新幹線、特急利用) |
---|---|---|---|
1 | 新宿〜一関 | 12270円(乗車券:7140、特急券:5130) | 青春18きっぷのみ |
2 | 山寺〜新宿 | 11230円(乗車券:6620、特急券:4610) | 青春18きっぷのほか 4920円(郡山〜宇都宮新幹線利用) |
3 | 新宿〜新庄 | 12310円(乗車券:6830、特急券:5480) | 青春18きっぷのみ |
4 | 鶴岡〜新宿 | 13860円(乗車券:7350、特急券:6510) | 青春18きっぷのほか 4330円(鶴岡〜新潟、特急) 3920円(越後湯沢〜高崎、新幹線利用) |
5 | 新宿〜仙台(往復) | 20780円(乗車券:11560、特急券:9220) | 青春18きっぷのほか 8190円(仙台〜宇都宮、新幹線利用) |
青春18きっぷ(全) | 11500円(青春18きっぷ代金) | ||
合計 | 70450円(乗車券:39500、特急券:30950) | 32860円 |
A具体的な使用例
5回分の私の使用例を具体的に紹介します。時刻表を調べると、時間の接続のよい、いわば核となる列車(コア列車という)があるはずです。これを見つけて、うまく活用するのがコツです。
●コア列車を利用し、「18きっぷ」をフルに活用する例(その1)
(新宿〜一関 全区間普通列車利用の例)
新宿(7:24発)〜宇都宮(9:15着)(湘南新宿ライン) 乗車時間:1時間51分
宇都宮(9:32発)〜黒磯(10:21着) 待ち時間:17分 乗車時間:49分
黒磯(10:33発)〜郡山(11:37着) 待ち時間:12分 乗車時間:1時間4分
郡山(11:55発)〜福島(12:43着) 待ち時間:18分 乗車時間:48分
福島(13:00発)〜仙台(14:12着) 待ち時間:17分 乗車時間:1時間12分
仙台(14:43発)〜一関(16:24着) 待ち時間:31分 乗車時間:1時間41分
●コア列車を利用し、「18きっぷ」をフルに活用する例(その2)
(新宿〜新庄 全区間普通列車利用の例)
新宿(7:24発)〜福島(12:43着) 福島までの詳細は、(その1)と同じ
福島(12:54発)〜米沢(13:40着) 待ち時間:11分 乗車時間:46分
米沢(13:47発)〜山形(14:33着) 待ち時間:7分 乗車時間:46分
山形(14:45発)〜新庄(16:02着) 待ち時間:12分 乗車時間:1時間47分
この2つの例を見ても分かるように、コア列車を活用すると、それほど長い待ち時間なしに次の列車に接続しています。1列車の乗車時間は、長くても2時間以内ということで、景色を眺めたり本を読んだりしていれば退屈することはないはずです。その日のうちに目的地に着けばよいというときには、最適の活用方法です。
次に、時間の関係で途中に新幹線、特急等を使わざるを得ない例です。実際には、新幹線や特急を使わないと大幅に時間が遅れ、場合によってはその日のうちに目的地に着かないということも起こりかねません。これは、ケース・バイ・ケースで、考えるしかありません。以下は、私の使用例です。
●「18きっぷ」と新幹線、特急の併用例(その1)
(山寺〜新宿 、一部区間、新幹線利用)
山寺(12:41発)〜仙台(13:43着) 普通(快速)
仙台(14:30発)〜福島(15:49着) 普通
福島(15:57発)〜郡山(16:45着) 普通
郡山(16:57発)〜宇都宮(17:44着) 新幹線利用
宇都宮(17:54発)〜赤羽(19:30着) 普通
これは、郡山〜宇都宮が列車の本数が少なく、適当な普通列車がなかったため、この間だけ新幹線を利用した例です。
●「18きっぷ」と新幹線、特急の併用例(その2)
(鶴岡〜新宿、一部区間、在来線特急および新幹線を利用)
鶴岡(10:57発)〜新潟(12:55着) 在来線特急利用(羽越本線)
新潟(13:05発)〜長岡(14:23着) 普通
長岡(14:31発)〜越後湯沢(15:48着) 普通
越後湯沢(16:36発)〜高崎(17:06着) 新幹線
高崎(17:13発)〜新宿(19:06着) 普通
私は、この旅ではじめて羽越線に乗りました。鶴岡でたまたま10:57発の特急に乗れたからよいものの、これに乗れなかったら新潟に出るためには次の14:43発の特急まで待たなければならない、ということを後で知りました。間に2本の普通列車がありますが、いずれも途中までで、新潟まで行くには4時間後の特急を利用せざるを得ないのです。東北本線、新幹線のような感覚では旅行できないことを思い知りました。きちんと列車時刻を調べてから行動しないと予想以上の時間ロスが発生します。
また日本海側には、いわゆるコア列車もほとんどないので、「18きっぷ」を利用して長距離移動するのは難しいようです。唯一の例外は、新宿発23:09発の夜行快速「ムーンライトえちご」利用の場合で、これだと新潟、村上の乗換えで次の日の8:18に酒田まで到達できます。この列車なら、「18きっぷ」で酒田まで最短時間で行くことができます。実際、私は次回の新宿〜鶴岡の旅にこの列車を利用しています。
最後の1回分は仙台への日帰り旅行に使用しました。さすがに、これは普通列車だけでは大変きびしいので、帰路は新幹線を併用しました。
●「18きっぷ」と新幹線、特急の併用例(その3)
新宿(7:24発)〜仙台(14:12着) 仙台までの詳細は、既出と同じ
仙台(17:20発)〜宇都宮(18:31着) 新幹線
宇都宮(18:41発)〜赤羽(19:59着) 普通(通勤快速)
この切符の最大のメリットは「安い」ということですが、そのために宿泊代がかさんでしまったのではメリットは帳消しになってしまいます。仙台、一関、新庄、天童など大きな駅はいずれも駅の近くにビジネスホテルがあり、1泊6000円〜7000円くらいで宿泊できます。このような点も考慮したトータルなプラン作りが必要でしょう。例えば、私の仙台への日帰り旅行は、「18きっぷ」が1回分しか残っていなかったので日帰りにしましたが、もう1回分残っていれば、ビジネスホテルに1泊したほうが安上がりになります。
今回は、「青春18きっぷ」についていろいろと記しました。別の機会にこれ以外の料金軽減策についても研究してみたいと思っています。
次回からは、いよいよ日本海側の歩き旅になります。
旧街道を歩くことは健康にもよいし、見聞を広げるためにも大変よい趣味だと私は思っています。ただ、家から近いうちはよいのですが、だんだん遠くなると往復の交通費が馬鹿にならなくなるのが最大の欠点です。私もこの欠点を少しでも補おうと、これまでいろいろと試みています。その試みの一つとして、今回JRの「青春18きっぷ」を利用してみました。その結果、利用の仕方によっては、大変お得なきっぷだということが分かりました。期間限定なので、いつでも利用できるわけではありませんが、その時期にあわせて計画すればきっと役に立ちます。
そもそも「青春18きっぷ」とはどのようなものなのか、そして、どのように活用すればメリットが大きいかなどを以下に紹介します。
@ (企) 青春18きっぷ(普通列車乗車券)
この切符はJRの企画切符であり、その名称(愛称)を「青春18きっぷ」と称する、ということを示しています。また、普通列車の乗車券であることを明確にしています。
ここで紛らわしいのは、「青春18」という語句です。一瞬、18歳しか使えないのかなと思ってしまいます。しかし、年齢に関する制限は、一切書かれていません。すなわち、年齢に関係なく使えるということです。
A旅客鉄道会社全線〔特急(新幹線含む)急行列車およびJRバスを除く〕
これで、日本全国のJR各線に乗れることが分かります。ただし、前項に記してあるように、普通列車(快速列車などを含む)のみです。新幹線を含む特急、急行列車、JRバスには乗ることはできません。これらの列車、バスに乗るときには、乗車券、特急券などを購入する必要があります。特急券などだけでなく、乗車券もあらためて購入する必要があることに注意してください。
B利用期間は平成18年7月20日から平成18年9月10日まで。
利用期間についての定めです。写真は夏季の例ですが、次のように年3回発売されます。大体、学生の休暇期間に合わせているので、若い人たちが多く利用するとみて、「青春18きっぷ」という名称も生まれたのでしょう。
●春季
発売期間 : 2月20日〜3月31日
利用期間 : 3月1日〜4月10日
●夏季
発売期間 : 7月1日〜8月31日
利用期間 : 7月20日〜9月10日
●冬季
発売期間 : 12月1日〜1月10日
利用期間 : 12月20日〜1月20日
C各回(人)とも当日限り有効。 5回(人)
この1枚の切符で一人であれば5回使用できることを示しています。また、1回で最大5人まで同時に使用できますが、この場合は1回だけです。5回(人)は、このような意味です。
次に、「当日限り」の意味です。当日というのは、その日の午前0時から午後12時までのことです。ここで注意しなくてはならないのは、午前0時をまたぐ場合です。例えば、夜行列車で23:50発の列車に乗って、次の日の6:30に目的駅に着いたとすると、この切符では2回分にカウントされてしまいます。これを避けるためには、日付を越えた次の駅までは通常の乗車券を購入し、それ以降の区間に「18きっぷ」を使用するなどのテクニックを考える必要があります。
D各回(人)分の押印らん
最初の駅の改札口で、駅員から日付印の押印をもらいます。この日はこれを見せれば、自由に乗降できます。この押印が5回になれば、この切符は使用済みとなります。
E ¥11500
5回分の、この切符の値段です。1回分当りにすると2300円になります。
F発売場所
JRの「みどりの窓口」、JR各社の旅行センター、また、一般の旅行会社でも購入することができます。