日本SFのアンソロジー。2007年に発表された作品から編者が選んだ16編がおさめられている。
読んだことのあるものは無し。年末から年始にかけて、少しずつ読んだ。
- 「グラスハートが割れないように」(小川一水)
擬似科学についての話。最後にほっとした。
- 「七パーセントのテンムー」(山本弘)
語り手の疑心暗鬼のほうが怖い。
- 「羊山羊」(田中哲弥)
乾いている。嫌悪感はあまり無いが、大笑いは出来なかった。
- 「靄の中」(北國浩二)
最後の捻りが良くわからなくて読み直した。そういう勘違いをする人は居そうだなと思ったので。
- 「パリンセプト あるいは重ね書きされた八つの物語」(円上塔)
分からなかった。分からなかったが、「砂鯨」と「祖母祖父祖母祖父をなす四つの断章」が結びついた時は面白かった。
- 「声に出して読みたい名前」(中原昌也)
この作品には「著者の言葉」が無い。意図的なものではないのだろうが、本文がそのまま放り投げられたようで怖い。
- 「ダース考 着ぐるみフォビア」(岸本佐知子)
着ぐるみの孤独に笑った。(「なかのひと」にとっては笑い事ではないが)
- 「忠告」(恩田陸)
ショートショート。さっさと本題に入らないから、というわけではないのだろうが。
- 「開封」(堀晃)
どちらがどちらなのか混乱した。*と**は違うのだろうか。
- 「それは確かです」(かんべむさし)
年末に読んだ野田氏の本のエピソードを思い出した。
- 「バースディ・ケーキ」(萩尾望都)
バケットを貪り食うところが可愛い。
- 「いくさ 公転 星座から見た地球」(福永信)
ABCDの話。なんとなく楽しい。冒頭の武器を選ぶところで笑ってしまった。
- 「うつろなテレポーター」(八杉将司)
複製される不安の無さに違和感は感じなかったのだが……。
- 「自己相似荘」(平谷美樹)
理屈っぽい幽霊。
- 「大使の孤独」(林譲治)
密室もの。
- 「The Indiffrence Engine」(伊藤計劃)
ラストの不思議な幸福感は、虐殺器官を読んだ時の感じと似ている。
面白かったのは「いくさ 公転 星座から見た地球」「うつろなテレポーター」。