ウォン・カーウァイ監督インタビュー記事翻訳


脚本がない!?

最初の3作では、脚本やヴァージョンをたくさん書きました。そこで「恋する惑星」や「天使の涙」では、やり方を変えたかったんです。時には脚本無しで出来ると思うし、脚本はすでに頭の中にあります。それに「恋する惑星」や「天使の涙」のような映画では、脚本なしでやっていくほうがいいと思うことがあるんです。というのは舞台となっている場所をよく知っているし、登場人物のことがよくわかっているし、スタッフ達とはずっと一緒に仕事をやってきているから一つの方向に向かっていけますから。ですから、何かロードムービーのようなものをやるべきじゃないかと思って。決して、脚本無しで映画を作るのがいいことだといっているのではありません。

私は昼間、脚本を書くので、その日の夜起こる事はわかるけど、明日は何が起こるかはわかりません。「恋する惑星」と「天使の涙」で経験した事は、脚本を書く、撮影する、編集するですが、脚本と撮影は映画作りのプロセスの意識下の部分になり、編集が意識的な部分になります。撮影と脚本では、私はやりたいことを何でも出来るからです。編集段階ではそれを調整し、その後どういう結果になるかを見たいからです。

キャスティング

「天使の涙」では金城武という日本人と台湾人のハーフの俳優が口の聞けない青年を演じていますが、どうしてそのようなアイデアになったかお話しましょう。まず第一に、金城武はとてもおしゃべりなので彼を困らせてやろう、難題をつきつけてやろうとしたのです。(笑)私は「おまえはこの映画ではしゃべっちゃいけない。仕草と表情だけで演技するんだよ」と言いました。第二に、金城武は広東語がしゃべれません。でも、この映画の登場人物は広東語をしゃべらねばなりません。言葉がしゃべれなければ、広東語はしゃべれないんです。それが、私が彼を唖者にしたもう一つの理由です。

映画の中の音楽

普通、私が映画の中で使う音楽は私が普段の生活で聞いている音楽です。そして私にとって、映画中の音楽は音響の一部です。「天使の涙」や「恋する惑星」では、様々な種類の音楽が使われていますが、これこそがその街の音、その街の有名な地域の音、香港そのものの音だと思えます。ワンチャイやチムサツイを歩いていると、台湾音楽、インド音楽、その他様々な種類の音楽が聞こえてくるんです。

ウォン・カーウァイ監督のプロファイル
1958年上海生まれ。5歳で香港に移住。82年に映画脚本家としてデビューし評価され、88年に「いますぐ抱きしめたい」で初監督。90年には香港のトップスターを集めて「欲望の翼」を撮り、「楽園の瑕」と並行して作っていた「恋する惑星が」94年に世界的にヒットした。その後「天使の涙」「ブエノスアイレス」とヒット作を製作。

English Journal 1996.9掲載


World Daily Publication (page E5) April 19, 1999


http://www.mingpao.com/newspaper/990420/mba1h.htm(中国語なので文字化けしますが、写真つきです)
*ウォン・カー・ワイ監督と新しい映画の打ち合わせの為、香港到着
*木村拓哉、「2046」でフェイ・ウォングと共演

現在日本で最も人気アイドルの木村拓哉は極秘で香港に来日し、4月18日に、ウォン・カー・ワイ監督と新しい映画「2046」について話し合った。拓哉がフェイの大大ファンのため、フェイ・ウォンもこの映画に出演予定である。

拓哉は17日にごく僅かの側近と香港に到着したため、余り多くの人の目に触れなかった。拓哉とウォン・カー・ワイ監督は「2046」について話し合うべく4月18日に面談を行った。拓哉のギャラは非常に高いが、今年の夏、最低3ヶ月を香港・日本等で「2046」撮影の為、ウォン・カー・ワイ監督に提供することになっている。

「2046」はウォン・カー・ワイ監督が2年以上あたためていた映画で、拓哉、フェイ、カリナ・ロウ、トニー・レオン等が出演する予定。フェイは現在結婚生活で問題を抱えているが、彼女と監督は良い友人関係にあり、「恋する惑星」後再び一緒に仕事をしたいと考えている。「恋する惑星」を見た後、拓哉はこの映画のフェイの演技が気に入り、フェイの大ファンとなった。大変困難であったが、「2046」で共演するチャンスを迎えることになった。

「2046」は1997年に返還された香港の50年後をテーマとしており、ウォン・カー・ワイ監督は詳しい内容を発表しようとしていないが、ラブ・ストーリーとだけ発表した。撮影は何カ国かで行われる予定で、また資本も数ヶ国から集める予定。5月末で現在撮影している映画を撮り終える予定なので、その後「2046」の撮影に入る予定。

木村拓哉(音楽グループ’SMAP’のメンバー)は現在日本で最も人気アイドルである。彼の日本でのドラマ(例えば山口智子との「ロング・バケーション」、松たかことの「ラブ・ジェネレーション」、中山美穂との「眠れる森」等々)は放映されるや、高視聴率を獲得し大成功を収めている。また、これらのドラマは台湾でも大人気である。ウォン・カー・ワイは日本でも良く知られており、同監督が拓哉と一緒に仕事をするという噂は早々に流れていたが、半信半疑というところであった。が、ついに今、発表となった。


*木村拓哉の役は完全に極秘

「2046」(監督:ウォン・カー・ワイ 出演:木村拓哉、トニー・レオン、カリナ・ロウ、フェイ・ウォン) 今年撮影開始予定。

日本のアイドル、木村拓哉台風は香港に48時間とどまり、日本に帰国した。拓哉の香港旅行の目的は主に、ウォン・カー・ワイ監督と新しい映画について話し合うことで、協力し合う事は発表されたが、映画にの詳細や役については発表されなかった。しかし、拓哉が同監督の映画に出演しないのではという噂が流れていたこともあった。また映画制作費は少なくとも2000万香港ドルは下らないとされている。(しかし出演する4名のスターのギャラはこんな額ではなく、「2046」は多くの特別な効果を今後もたらすと考えられている。)

拓哉は1度も香港映画に出演した事は無く、今回ウォン・カー・ワイ監督と是非会うために香港に来るという彼の熱意は、同監督と絶対に仕事がしたいという現れであった。日本で拓哉は同監督の作品を見ており、その作品を高く評価している。

ウォン・カー・ワイ監督は、現在トニー・レオンとマギー・チャン出演の映画撮影に忙しいため、全てのインタビューを断った。

ウォン・カー・ワイ監督は日本では、「恋に落ちた天使(?)」で一躍知られるようになり、同作品は好意的な批評を受け、興行的にも成功を収めた。更に、同監督の才能は日本の俳優達にも良く知られている。日本の俳優の多くが同監督の作品に出たいと望んでいる。拓哉もその中の1人であり、マネージメント会社のアレンジにより、お互いに映画を作るというチャンスを本当に持つこととなった。今回、拓哉は特別に香港に来て監督と話し合うというように、高いやる気を見せている。

日本では、拓哉は何千万もの人に知られており、日本のドラマ「ロング・バケーション」、「ラブ・ジェネレーション」などで多くのファンを魅了してきている。また、香港でも多くのファンがいる。

たくさんの女優が拓哉に憧れており、何人かは拓哉が映画を撮るために香港に来るというのを聞きつけ、何とかして詳細を知ろうとしている者もいる。

木村が映画撮影のために香港に来た時には、木村拓哉フィーバーが必ずや吹き荒れることであろう。


こちらはNYにいるTinaからの台湾並びに香港の新聞の要約レポートです。

到着後、拓哉は特別出口より空港を出て、シャングリラ・ホテルに滞在。4月18日の11:30頃、シャングリラ・ホテルの中華レストランでウォン・カー・ワイ監督と昼食。邪魔されないように、ホテルの警備員が同席。拓哉がレストランを出る際、笑顔を向け、カメラマンに写真撮影のサービスを行った。大変協力的であったことからも、カー・ワイ監督との面談が楽しいものであったと推察される。木村拓哉の態度は以前香港で写真集を撮影しに来た時とは全く異なるものであった。大変素敵で友好的で、常に笑顔を絶やさなかった。

また、映画並びに出演者についての説明も寄せてくれていますので、ここに紹介します。

「2046」は香港の2046年を意味しています。何故、2046年なのか?それは香港が中国に返還されてから50年がたった年だからです。香港が中国返還後、50年間は返還した時点と同じで何も変らないと中国政府が約束しているという背景があります。出演者は「特別エージェント」みたいなものを演じ、あるレポーターはサイエンス・フィクション・ムービーと言っていますが、多くはラブストーリーと言っています。

出演者:木村拓哉、トニー・レオン(カー・ワイ作品の常連)、フェイ・ウォン(本来は歌手、現在FFVIIIのCMテーマソングをリリース)、カリナ・ロウ(カー・ワイ作品2つに出演、実生活でもトニー・レオンの恋人)。そして西洋からも有名な俳優が1人出演予定とのこと。

(注)新聞記事は中国語を英語に直したものをまた翻訳しました。また、木村さんの香港滞在日数もある新聞では48時間となっていたり、あるものは18時間となっているそうですので、その点は不鮮明ですがご了承下さい。また、木村さんの呼び方は書かれてある通りにしてあります。


HOMEへ戻る