絵本「夜を泳ぐ」
この本を、雲見の人々にささげる.
一年中そこで暮らし、漁をして生活する雲見の漁民たち‥‥.
彼らの暮らしぶりは平穏そのものなのだが、
私の目には、胸躍るような驚きにあふれているように見える.
この素晴らしい感動を、本書の読者と分かちあいたい.
Joseph Love
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textも読めます)
11歳になった誕生日の晩、平太郎は床にはいってじっと待っていました。
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階段の上についた平太郎は、またたく星の下に丸く広がる海をながめました
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ところが、不思議なことがおこりました。
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いままで見たこともないくらい変な生き物です。
わっ!なんだ、これは!
すぐ目の前にだれかの目があって、じっとこちらを見ているではありませんか。
うわあデブだなあ。体いちめん黄色で、茶色の斑点がちらばっていて、まるでヒョウみたい。
もし鉛筆だとしたら、水面に浮いているはずです。でもここは水面からずっと下。しかもじっと動かない。
舞踏会が開かれている大ホールにはいろうとしている王女さまのように、堂々と泳いでいる三匹の魚。
目はカエルの目よりももっと出っぱっており、その目のあいだには舌みたいに平べったい鼻がついていて‥
平太郎は四つんばいになって海からあがり、洞窟の入り口の大きくて丸い岩の上に出ました。
洞窟のまえでは魚たちがまだ目をさましていて、その魚たちが光っているのです。
この本について・・
『平太郎くんの視線』松岡和子