第11回次世代ワールドホビーフェア視察報告
去る2000年1月22・23日は、次世代ワールドホビーフェアが幕張メッセで開催された。既にこの時点で、名古屋・福岡の会場での開催を終え、東京は都合3回目の開催ということである。
今回、このホビーフェアのゾイドの目玉は、シールドライガー、セイバータイガー、レッドホーンの改造セットがそれぞれ各300円で発売されることである。また、この東京会場と次の大阪会場の2会場においてのみ、ジェノザウラーとレブラプターの先行販売が行われることになる。
昨年、1999年8月より発売された新シリーズ・ゾイドは、予想以上の人気を博していると言える。その影響か、先行販売会場で売り出されたあらゆる商品の中で、最も早く「売り切れ」表示が点灯したのは、前述の3つの改造セットであった。
それぞれの改造セットは、旧シリーズのシールドライガーMk-2、グレートサーベル、ダークホーンにアップグレードした際に追加されたランナーパーツとスプリングであり、旧シリーズを知るユーザーにとっては、目新しさというのは無いであろう。しかし、旧シリーズにおいては、本体とともに、ないし、強化パーツセットとともにでなければ入手することは出来ず、これ単体で入手出来るようということは、価格面での有利さと、ユーザーの選択の余地が上手く組み合わされた販売戦略であると見て取ることが出来る。そこにトミーの今後の戦略が見られるのであろうか。
もともとこれら3つの改造セットはトミーブースで販売の予定であったが、名古屋会場のあまりの人気から、先行販売会場での販売に切り換えられるという、ホビーフェア会場全体を考えた適切な対応であったと思える。しかし、逆に限定品的なイメージを強くしてしまったことは、いくら大きなイベントといえ、反省すべき点ではないかと思われる。
いくら、我々ゾイドファンが思いを募らせても、トミーからすればゾイドは、商品の一つである。トミーブースでは、大型乗用車が1台入って少し余裕ある車庫程度の大きさのコーナーがゾイドに割り当てられていたが、トミーブース全体からすれば、1/6もないであろう。
コロコロコミックでの告知通り、ゾイドコーナーでは、ディオラマベースを用意して、持参したゾイドを置いてポラロイド写真を撮らせてもらえる用意ができあがっていた。既に、ゲームショー、前回のホビーフェアにおいて持ち込まれたディオラマベースに、いくつかのゾイドが用意され、さらに、持ち込んだ自分のゾイドを置いてポラロイド写真を撮るという手はずである。その列は、ブースの外まで長くのびていた。
コーナーの一番奥では、改造ゾイドコンテストが行われていた。持ち込んだゾイドを、その場で展示を申し込みをし、訪れたファンの人気投票で1位を決めるというちょっとしたイベントである。トミー側で用意した参考作品の下に、ファンのゾイドが並べられ、名前と改造のポイントが添えられていた。コンテストは毎日行われるため、同じ作品が展示されることは無い。この日、視察団は、女の子が改造したイグアンに目を引かれた。ゾイドらしさという面からすると、このイグアンは、見劣りすることは否めない。しかし、手芸用のパールやビーズで飾りたてたイグアンという、他のかっこいいゾイドと一線を分ける女の子のセンスに、困惑しながらも、新しい発見を感じたのも事実である。
コーナーで忘れてはならないのは、これからのラインナップ。ムンベイ仕様のグスタフ、ジェノザウラー、レブラプター、その他ソフビやボードゲームなどもしっかり紹介されていた。
先行販売会場だけが、物販をしているわけではない。ゾイドコーナーでは、既存のゾイド数種類とカレンダーの販売が行われていた。こうしたフェアには珍しく、ゾイドは定価より割り引いての販売であった。また、ゾイドコーナーのすぐとなりでは、ユージンが販売する、コマンドゾイド(旧アタックゾイド)の8種類が、既に発売されていた。
しかし、それにしても驚いたのは、思ったよりゾイドを改造している子供達が多かったという事である。コロコロコミックを見る限りにおいて、ゾイドの改造を推奨している様子はなく、新シリーズの展開として、積極的な改造を含めないのかという思いがあった。プラモデルは改造するモノ。そんな、ミニ4駆を経た子供達にとって、ランナーモノは手を加えるのが当たり前だという認識があるのであれば、今、このタイミングのゾイドは、まさにもってこいのおもちゃであると言える。その意味では、今回の、持ち込んだゾイドの写真をとってもらおうという企画は、単なるキャラクターおもちゃとしてではないゾイドを印象づけるのに、良い手段であったと言え、トミーがゾイドをホビーおもちゃとして展開する意志があることが、垣間みることが出来たのではないかと思われる。