パワーユニット power unit

 

 パワーユニットが新旧で異なっている、と言っても、本体のランナーパーツが変わっていないのであるから、その違いとは、たかがしれたモノである。

 ここに、新旧ゴルドスのパワーユニットを並べてみた。左が新シリーズのパワーユニット、右が旧シリーズのパワーユニット。見て最初にわかるのは、ケースの成形色の違いである。旧シリーズでは、薬瓶のような茶色の透明なケースが使われていたが、新シリーズでは、グレーの透明ケースが用いられるようになっている。

ゾイドは、なぜ、透明なケースに収まったパワーユニットを用いていたのであろうか?

まず、この疑問に的確な答えを見いださなければ、後の話しは進まない。

 トミーにはゾイドのはるか以前に、わざと透明なケースで覆って内部の歯車の動きを外から見ることが出来るようになっていた、メカニックシリーズというおもちゃを出していた。これはトイキングダムのトイミュージアムで見ることが出来る。つまり、トミーからすると、歯車の動きが見えるおもちゃは珍しいモノではないのである。そして、ゾイドのメインフレームはいずれも(旧シリーズ後期ゾイドはのぞく)完全に覆ってしまうのではなく、直接パワーユニットがはみ出しているところがあるようになっている。つまり、この作りは、ユーザーが機械の動きを楽しむこと、機械とはこうした連携で動くんだというメカニックな楽しみを実用と兼ねて与えようとしてきた表れなのである。ゾイドは、それまでのおもちゃでは知ることの出来なかった、歩行ギミックを動きながら外から見ることが出来るように工夫された、おもちゃのみのシリーズなのである。それまでのおもちゃは、その動きのギミックはボディーで覆ってしまって、内部に隠されてしまい、組み立て中は見ることが出来ても、完成後、動いているときにはその動きは見ることが出来ないモノばかりであった。しかし、ゾイドは、あえてそれを破り外からもその動きを作る構造を見せてしまおうと試みられていたとするのがよいであろう。その延長線上に、パワーユニットをボディーではなくフレームで囲むという方法が採られ、なおかつパワーユニットは透明なケースに収まって、歯車の動きさえも見えるようにされたと考えなければならない。

 この、当初のゾイドの方針に照らし合わせたとき、茶色いケースは少し色が濃すぎるという印象は否めなかった。そこからすると、今回のグレーのケースのパワーユニットは、以前よりも明るさが増し、内部が見やすくなっていると思われる。この点は、数年来の人気を博しているミニ4駆でも実現しえない動きの表現に貢献していると思われる。

 

 この他の相違点は、以下の通りである。

●モーター

ゴルドスの場合、旧シリーズでは、通称140モーターが、140モーターという製品と同じ金属ケースに収まっていたが、新シリーズでは、明らかに内部に納めることを意識した、見栄えがいいとは言いがたい経費のかからないと思われる金属のケースに入っている。

●リード線

パワーユニット内部に通されているリード線。旧シリーズでは、全てビニールでおおわれたリード線が用いられているが、新シリーズでは、場所によって金属むき出しの単線のリード線が用いられている。おそらく理由は生産の効率化が考えられる。ビニールでおおわれたリード線では、そのビニールをむくという工程が必要となる。しかし、むき出しの単線では、ある一定の長さに切ってハンダ付けさえすれば電気の導通は確保される。ちょっとしたことかも知れないが、何十万という数を作るメーカーからすれば馬鹿にならない経費の削減につながるのではないかと思われる。

●電極

旧シリーズでは、銅板であった電極は、全てアルミ(?)になっている。これも材料費の節減から来ているのではないかと思われる。なお、この点は、海外版のZOIDS2では既に実現されており、この新シリーズがはじめてと言うわけではない。

 

 パワーユニットの違いが、どこまで新旧ゾイドシリーズの違いに影響するか疑問に持つ方もいるであろう。だが、パワーユニット分解しての修理、また、パワーユニットへの改造を考えたとき、この変更が改善か、改悪か、全く変わらないのか、ゾイドとの接し方により意味を持つことを理解していただきたい。

 

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