シールドライガー

極地戦用高機動型(※1)

Shieldliger

共和国

型式番号

RPZ-02(※2)

シリーズ

B/O

タイプ

<ライオン型>

発売

1987年7月(?)〜1988年3月

全長

21.6m

定価

1980円

全高

9m

オペレーション

バッテリー

全幅

6m

ライト点灯

重量

92t

使用電池

単3×1

最大速度

250km/h

部品点数

64(※3)

乗員

1名

ゴムキャップ

E(白)23個

搭載ビークル

主成形色

ライトブルー・グレー・ネイビーブルー・ホワイト

主要目的

格闘戦

キャッチフレーズ

対サーベルタイガー用決戦メカ

ギミック

口を開閉しながら4本足で前進。まさに百獣の王の貫禄です。

その他

-

※1:パッケージのまま。本来は「局地戦用高機動型」では?

※2:パッケージのまま。本来はRPZ-03では?

※3:サーベルタイガーのみ用いる部品の数はのぞいてあります。

装備

装備名

搭載数

特徴

レーザーサーベル

2

口の牙

二連装加速ビーム砲

1

背中に装備

三連衝撃砲

1

胸部に装備

連装ビーム砲

1

尻尾に装備

ミサイルポッド

2

腹部パイロンに装備。

大型キャノピー

1

(図説より)

センサー

2

耳(図説より)

冷却ラジエーター

6

(図説より)

超高速駆動機構

2

後肢(図説より)

特徴

帝国軍の最速メカ、サーベルタイガーに苦戦をしいられてきた共和国軍が対サーベルタイガー用として開発した決戦メカ。サーベルタイガーを上回る性能をとの要求に応えるべく最高速度はサーベルタイガーのそれを上回っており、時速250キロの高速を保持するために機体の各所にエンジン冷却用のラジエーターが装備されている。また背部の砲を胴体内部に収納して、空気抵抗を減らすシステムが採用されスピードアップに大きな効果をあげている。武装もレーザーサーベルをはじめ、体の各部に配備されておりコンパクトながら強力なものとなっている等、共和国軍が総力をあげて開発した対サーベルタイガー用の切札である。

掲載バトルストーリー

ゾイド大陸に再び激しい戦雲がたなびきはじめた。ゾイド中央大陸の戦いに破れ(※4)、脱出したゼネバス皇帝が驚異的な師団をひきつれて帰ってきたのだ。帝国軍は中央大陸の北部バレンシア湾(※5)へ上陸作戦を敢行、空と海上からの共同作戦は成功を遂げ、北部一帯は再び帝国軍の支配下に落ちた。勢いにのる帝国軍は、国境を突破し戦火は、共和国内森林地帯へと拡大していった。

※4:パッケージのままです。「敗れ」の誤植と思われる。

※5:パッケージのままです。「バレシア湾」?「バレンシア湾」?


 キャッチフレーズにもあるように、ゼネバス帝国軍のトラ型ゾイド・サーベルタイガーに対抗した、共和国軍のライオン型ゾイド。あらゆる面で、先発機のサーベルタイガーを意識されており、高機動型とあるように、ソフト面的にサーベルタイガーを上回る能力が設定されている。

 

 シールドライガーは、いくつかの装備をボディーに収納するようになっている。これは、サーベルタイガーを上回る速度をもつ事を表現するために、少しでも空気抵抗となるモノをなくそうと言うソフト面からのアプローチの結果である。このため、当初から装備を外付けしているサーベルタイガーに対して、いくつかの不利な点も出てきている。最高速度時は、いくつかの装備を収納できるため、サーベルタイガーよりも攻撃力で劣るといえ、攻撃力を維持しようとすると、装備を展開し速度を犠牲にしなければならず、また、バランスを崩しやすくなると言える。こうした弱点を補うために、シールドライガーは、Eシールドが設定されている。これにより、エネルギー防御装置が表立って採り上げられた初めてのゾイドにもなっている。つまり、シールドライガーは、後発機であるため、望む性能は上げられているが、同時に短所が用意されており、2機がライバル機として、ユーザーに受け入れやすい潜在的設定を用意してあったと言える。暗黒軍登場以降の新型ゾイドは、後発機が先発機をあらゆる面で上回るという設定になってしまっていたことは周知の通り。しかし、この時代は、新型機は、先発機を倒すためだけの機体ではなく、その形のそのゾイドまたは、その目的のそのゾイド、という意識で一長一短がアイディアに盛り込まれていたと考えてもよいのではなかろうか。

 

 基本ギミックは、サーベルタイガーと同じく、4足歩行と口の開閉が再現されている。当時のゾイドは、ゾイドごとに異なるギミックを装備することが目指されていたと思われる。その考えにシールドライガーを照らし合わせると、サーベルタイガーとのギミック的差別化として、尻尾の上下が予定されていたのではないかと思われる。しかしながら、実際には装備されなかったのは残念である。

 

 パッケージに「極地戦用高機動型」となっているシールドライガーであるが、おそらく「局地戦用高機動型」の誤植であると思われる。一般的に言う「極地」とは、北極や南極を指す。しかし、このシールドライガーが登場したのは、第2次中央大陸戦争であり、ストーリー上、中央大陸以外での行われていない頃である。このため、北極南極を意識した「極地」という言葉は不適切であろう。考え方によっては、極地なんだから寒冷地用という意味である、ともとれなくないが、対サーベルタイガー用となれば、そのサーベルタイガーが寒冷地用のゾイドでない以上、これも当てはまるとは考えられない。太平洋戦争中の日本の戦闘機に「雷電」「紫電」がある。これらは「局地戦闘機」とされている。「局地戦闘機」は、「インターセプター」と英訳されている。つまり、侵入してきた敵機を確実に撃退するために現場に出来るだけ早く到着するために、速度と機動力を重視した迎撃用戦闘機と位置づけられているのである。その結果、これらの機体は、航続距離が犠牲になっている。こうした考え方は、そのままシールドライガーに当てはめても違和感はないであろう。シールドライガーは速度を重視した機体であることを考えると、インターセプターにもなり得、これを和訳すると「局地戦闘機」となるのであれば、「局地戦用高機動型」となればより的を得たゾイドの分類と言えると思われる。

 ここで、少々脱線を。このように、設定をどこまで深読みするかは、改造のコンセプト作りに役立つモノである。つまり、シールドライガーは、速度と機動力を重視した「局地戦用高機動型」ゾイドであるため、航続距離が短い、ないしは、最高速度を維持できる時間が限られているなど、公表されていないスペックを設定することで、ゾイド改造の際に、何を重視すべきかが、見えてくると思われる。他のゾイドの武器を増設出来るだけ増設し、結果的に、焦点が見えなくなってしまうのを避けたり、作業の途中で行き詰まることを避けるためにも、まず、当初のゾイドの設定を自分なりにとらえることは、必要であろう。

 

 シールドライガーは、RPZ-02の型式番号を与えられている。実は、この番号は、先行機のグスタフと同じ番号である。このため、シールドライガーには、RPZ-03の番号が与えられるべきであったろう。先行機のグスタフが帝国共和国共通のゾイドであるととらえれば、グスタフの型式番号が当初から間違っているともいえ無くないが、仮にグスタフに型式番号を与えるとすれば「PZ-02」が妥当と思われる。すると結果的にはやはり、シールドライガーにはRPZ-03で問題ないであろう。

 

 シールドライガーの尻尾は、チューブのような曲がった管に、片面5つの穴が空けられている。なお左側には、モールドと見まがうほどのピン跡があるのは少々問題ではあるが・・・・。だが、パッケージ上のシールドライガー(試作品)の尻尾は、穴ではなく筋が入っており、パッケージ裏面のバリエーションも、同じように尻尾には筋が入っている。このことから、当初のシールドライガーは、筋の入った尻尾が予定されていたのであろう。だが、金型の成形上、尻尾にはピン跡が残ってしまうことが明らかとなったため、片面に5つの穴を空けるようなデザインに変更し、その開けた穴の位置とピンの位置が重なるようにすることを意図してデザインし直したのではないかと思われる。実際ゾイドでは、円柱状モールドやハードポイントにピンの位置を重ねるようなデザインをすることで、ピン跡の見苦しさを少しでも回避しようという努力を見ることが出来る。しかしながら、シールドライガーの尻尾では、穴の位置とピンの位置を重ねるにあたって、実際の金型の製作時になって、製作上の問題が判明したのか、それとも職人に設計者の意図が伝わらなかったのであろうか。

 

 デザインは異なるモノの、基本ギミックはサーベルタイガーと同じ、4足歩行と口の開閉が出来るようになっている。よって、口の開閉と歩行のためのギミック部品は、共通部品が用いられている。もちろんパワーユニットも同じである。結果、ギミックにかかわる支点や軸を短絡的につなげば、同じ動きとなることは約束されている。試しに、足を取り替えてみても取り付けて動かすことは可能である。ただし、他の装飾部品との兼ね合いもあるため、単純に足を入れ替えるだけでは、ギミックに干渉してしまう部分もある。このため、歩行ギミックを残した上での改造を考え、サーベルタイガーとシールドライガーの足を入れ替えようと考える場合は、実際に動かして干渉部分がないかを確認しながら、改造を行う必要がある。

 基本ギミックが同じシールドライガーとサーベルタイガーには、共通部品が用いられていると前述したが、具体的には、シールドライガーの64パーツのうち、27パーツおよそ4割のパーツが共通部品となっている。ここに、パワーユニットと23個のゴムキャップ(同じEキャップであるが色が異なる)の共通部品が加わる。これを数字に加えると、88部品中51部品が同じとなり、6割弱の部品が共通である。

 

 シールドライガーとサーベルタイガーは、かなりの部分に同じパーツを用い同じギミックを再現しながら、異なるデザインを再現することに成功している。ゾイドの新製品の開発の仕方に、同じギミック一部に同じランナーパーツを使いながらも、デザインが異なるゾイドを両軍に配するという方法があっても良かったのではないかと思われる。サイカーチスとダブルソーダーのペアも同じ方法が成功した例の一つのバリエーションといえるであろう。確かにゾイドの根底には、帝国共和国を越えて新型機には新しい動きが求められていた事は否定しない。しかし、新世紀以降、急にデザインの異なるだけのゾイドを出すようになってしまうのであれば、全てのギミックとは言わないまでも、やはりはやい時点から、一つのギミックについてワンペアずつゾイドを出していく、という開発方針があっても、ゾイドにはマイナスではなかったと思われる。

 

シールドライガーパッケージより転載