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厚生委員会

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1993/06/03


西山登紀子君
 次に、私はMMRの問題についいて質問をさせていただきます。
 さきの委員会で私がMMRで質問をいたしました直後の四月二十七日に、厚生省はMMRの実施を当面見合わせることといたしました。もっと早い時期に中止されてしかるべきであったと思います。さらにその直後に、阪大微研は、厚生省に無断でMMRの承認申請時の後、実施時と自社株導入時の二度にわたって占部株の培養方法を変更していたと報道されております。これが事実だとしたら、大変重大な問題だと思います。厚生省は阪大微研からどのような説明を受けたのか、また厚生省の立入調査も含めての対応について御報告をお願いいたします。
政府委員(岡光序治君)
 五月十日に、財団法人阪大微生物病研究会からMMRワクチンの製造経過等に対する報告を受けました。この報告によりますと、統一株MMRワクチンに用いたおたふく風邪ワクチンの原液は、羊膜培養により製造されたものと細胞培養により製造されたものを混合したものであるということでございますのと、自社株MMRワクチンに用いました原液は、細胞培養によるものであるということでございまして、統一株に用いたものと自社株に用いたものと違うという内容でございました。これにつきまして同法人は、ウイルス学的には同等だという認識のもとにこういったことをやったというふうに説明をしております。
 この報告を受けまして、私どもといたしましては、内容裏づけのための詳細なデータの提出を指示いたしました。あわせまして、事実関係の究明を行うため、五月十八日から二十日までの三日間、香川県の観音寺に同法人の製造所がございまして、阪大微研観音寺研究所と言っておりますが、ここへ立入調査を行ったところでございます。現在、立入調査で入手をいたしました資料、それから法人からの報告につきまして精査、検討を行っているところでございます。
西山登紀子君 ワクチンは、弱体化されていてもやはり病原体です。その培養方法が違えば別々のワクチンだと判断するのが当然だと思うんですけれども、阪大微研がウイルス学的に言えば同等だということで、届け出は要らないというふうに主張しているのは言い逃れだとしか思えません。厚生省がそのような立場をとるべきではないと考えますが、いかがでしょうか。
政府委員(岡光序治君) 培養方法等製造の方法が一部違った場合に、同じ医薬品と言い得るか否かにつきましては、その製品の成分等に関します同等性について専門的な判断が必要でございます。今回、同じ占部株が製造に用いられていたと阪大微研から報告を受けているところでございますが、現在そういった中身につきまして調査をしている段階でございまして、調査結果をもとに専門家の意見を十分聞きまして、会社側の主張が正しいものかどうか私ども判断してまいりたいと思っております。
西山登紀子君
 薬学界の常識だそうですから、厚生省も厳正に調査をよろしくお願いしたいと思います。 済みませんが、時間がなくなったので、次は四番目の大臣への質問に飛ばさせていただきたいんですが、この占部株以外の武田、北里の自社株、MMRワクチンについても、問題がないかというとそうではなくて、千百人から千八百人に一人の割合で副反応が発生しているわけです。当初、厚生省が言っておりました数十万人に一人からすると、とてつもない数字だと思います。先日の委員会での主張は繰り返しませんけれども、中止を決定して以降、厚生省がしなければならないことは、阪大微研の問題も含めましてこの四年間、国民がこの問題で率直に感じている疑問にきちっと答えることだと思います。親も子もお医者さんも安心できる予防接種行政の実現のためにも、今回の阪大微研の調査結果についても公開し、納得いくような報告がされるべきだと考えますけれども、大臣の御所見をお伺いいたします。

国務大臣(丹羽雄哉君) MMRワクチンをめぐりまして、国民の皆様方の間にいろいろな不安や疑問の声が上がっておりますことを謙虚に反省をいたしております。しかし、ワクチンそのものは疾病対策上重要な役割を担っておりますので、それだけに有効性、安全性、品質の確保を最優先としなければならないものと考えております。
 それから、阪大微研の件でございますけれども、阪大微研におきます培養方法の変更などをめぐる問題につきましては、現在事実関係などについて調査を行っている段階でありますので、その結果を踏まえまして適切な対応をしてまいりたいと考えております。