■  89.11.21静岡新聞 静岡県MMR副反応調査結果の発表に厚生省が圧力

新三種混合ワクチン副作用の発表  厚生省が静岡県に”圧力”

 静岡県は二十日、副作用による無菌性髄膜炎が問題となっている、はしか、おたふくかぜ、風しんの新三種混合ワクチン(MMR)について静岡県内で実施した発生状況調査結果を発表する予定でいたが、当日になって厚生省が「これは厚生省の調査。公衆衛生審議会にも資料として提出するので各県で個別に発表するな」と”圧力”をかけてきたため急きょ発表を取りやめた。これについて静岡市内の市民団体「静岡予防接種を考える会」(鈴木美子代表)は「子供の健康を心配しているからこそ県も接種延期を打ち出したのに肝心の調査結果が公表できないなんて。厚生省は一体国民か審議会か、どっちの方角を見ているのか」と同省の姿勢を批判している。

 MMRはことし四月から新規導入されたが、その後、副作用とみられる無菌性髄膜炎の発症報告があり、厚生省が十月二十五日付で各都道府県に「MMRの使用は慎重に」と通知したため十日現在十八府県が接種を見合わせている。本県でも「慎重に対応では市町村がかえって混乱する」として同省が調査結果に沿って最終判断を示すまでは接種を延期するよう県内十七保健所長と静岡、浜松両市長に要請していた。

 一方、県では各保健所を通して四月から十月末までのワクチン接種後の副作用発症例について調査。この結果、同ワクチンの接種が原因とみられる無菌性髄膜炎の症例が見つかったため二十日、同省に調査結果を報告するとともに結果の公表の準備を進めていた。

 ところが、同省保健医療局結核感染症対策室から発表に関し「待った」がかかり急きょ中止。県保健予防課では「患者のプライバシーを除けばなんら発表に問題はないはず。厚生省の調査といっても実際は県や市の機関が調査したもので、こんなことは異例」として厚生省の姿勢に疑問を投げ掛けている。