■ 89.11.3 静岡新聞 静岡県MMR接種を中止(89.10.25「慎重接種」の厚生省通知を受けた都道府県の対応)

副作用で問題の新三種混合ワクチンの使用延期を通知−静岡県

 副作用による無菌性髄膜炎が問題になっている、はしか、おたふくかぜ、風しんの新三種混合(MMR)ワクチンについて静岡県衛生部は二日までに、静岡県内十七保健所所長と静岡市、浜松市の両市長あてに椎名正樹部長名で管内での患者の発生状況調査を要請するとともに、厚生省の調査結果が出る十二月初旬ごろまでMMRワクチンの使用を延期するよう通知した。
 厚生省では十月二十五日付で各都道府県に対しMMRワクチンの使用について慎重に対応するよう通知した。これは同省の公衆衛生審議会伝染病予防部会予防接種委員会が全国からの報告症例を検討した結果、従来、十万人に一人とみられていた発症率が地域によって数千人―三万人に一人の割合で発症する可能性があることが分かったため。

 静岡県では厚生省の指示を受けてことし四月から、はしか単独ワクチン以外に希望者についてはMMRワクチンを使うよう各保健所に通知。既に一―六歳児の九〇%以上がMMRを使用し、九月末現在、一万九千人が予防接種を受けた。しかし、厚生省が「慎重な使用」を通知したため全国の自治体では東京都国分寺市がトップを切って十月二十八日からMMRの使用を事実上中止し、はしか単独に切り替えたのをはじめ各都道府県とも対応を検討。本県でも今のところ公式にはMMRによる髄膜炎発症は報告されていないものの「非公式には二、三件の発症を聞いている」(県保健予防課)として延期に向け検討していた。

 県は今月十七日までに発生状況をとりまとめ、二十日に同省に報告するとともに独自に県衛生環境センター(静岡市)でワクチン接種による髄膜炎発症の疑いのある人の髄液について因果関係を調査する。一方、厚生省でも十二月初旬までに全国の調査結果をとりまとめるとともに国立予防衛生研究所で調査し、使用についての結論を出す方針だ。

 無菌性髄膜炎

 ウイルス性の髄膜炎で、急激に発熱し、頭痛、吐き気などを伴う。通常は二―三週間で完治するが、まれに筋力低下や不眠症、人格変化などの後遺症が残ることもある。