■2006年3月6日提出「予防接種の副反応情報と健康危機管理について」




2006年3月6日
厚生労働大臣
川崎二郎 様
予防接種に関する検討会
座長 加藤達夫 様
MMR被害児を救援する会
事務局長  勢馬 彰
ワクチントーク全国
事務局代表 藤井俊介
日本消費者連盟
代表運営委員 富山洋子
全国薬害被害者団体連絡協議会
代表世話人 花井十伍
予防接種の副反応情報と健康危機管理について(要望)
 1994年の予防接種法改正の際に行われた付帯決議により、5年ごとに制度の見直しが行われ、2004年10月以来11回にわたる予防接種に関する検討会において、議論がすすめられて来ました。
 本年1月27日の第11回検討会において、副作用情報の収集や評価・公表、安全確保に関する厚生労働省の見解が示されたことについて、使用経験のないワクチン導入が予定されている折から、下記の通り要望いたします。3月14日までにご回答をお願いします。
(回答届け先:栗原 敦 0774-21-4533 FAX)
要望の趣旨 予防接種法を根拠に、健康な子供の疾病予防として勧奨される予防接種において、特段の安全確保策が講じられるべきことは、MMR(新3種混合)ワクチン製造上の薬事法違反と、国の副作用多発への対応の誤りから被害が拡大したことに如実に示されました。現行ワクチンの法定接種において未知の副作用が疑われた場合、もしくは使用経験のないワクチン導入に際し、迅速な情報収集や中止判断がなされるよう、第11回検討会で了承された貴職の見解の早期具体化を強く要望します。要望の詳細は以下のとおりです(第11回検討会資料「資料3 副反応報告の活用について(案)の4.副反応を早期に察知する方法の強化について」にかかわる内容で、「 」部分は同資料からの引用です)。

要望事項

1. 貴職及び検討会においてMMR導入から中止の全経過についての問題を検証すること。

2. MMR問題の検証がなされていないため、新規のワクチンで副作用が多発した場合に国がどのように安全確保するのかという不信、また使用経験のないMRワクチンの必要性・安全性についての疑問等が国民及び接種従事者にも少なからずあるとみられる。よって明確な安全確保策とMRの必要性等に関する十分な説明がない限り、国民の選択の自由を確保するために、定期接種において単味の麻しん、風しんワクチン接種を認めること。

3. 平成18年4月1日から導入される2種混合MRワクチンについて「慎重に副反応を把握する」方法を緊急に具体化し、実施主体である市町村と接種医への指導を徹底すること。

4. 「予期せぬ重篤な副反応、あるいは予期せぬ頻度で副反応が生じた場合に、早期かつ正確に把握し、予防接種の継続、中止等に関して適切な対応を行う」ための体制を緊急に具体化すること。

5. 副反応・副作用情報の公表について、感染症・予防接種審査分科会予防接種健康被害認定部会の議事概要は内容が乏しいため、「予防接種のリスクとベネフィットに係る正確な情報」とはいえない。よって医薬品副作用被害救済制度における「副作用救済給付の決定に関する情報」(医薬品医療機器総合機構)の水準で被害認定情報の公表を行うべきである。
以上
添付資料

全国薬害被害者団体連絡協議会とは

 1999年10月団体の枠を超え薬害の根絶と薬害被害者の早期救済および恒久対策の充実を実現することを目的に発足した。当初、6薬害8団体で構成されていたが、現在では9薬害11団体で構成している。構成団体は次の通り。

■ 財団法人 いしずえ(サリドマイド福祉センター)
 サリドマイド剤は催眠、鎮痛剤として十数ヶ国で販売され、その催奇形性により手足や耳に障害を持った被害児が数千名生まれました。日本では1963年に提訴、1974年に和解が成立しました。被害者認定数309名。現在は被害者の福祉のほか、サリドマイド復活による新たな被害防止をはじめとする薬害防止に関する事業に取り組んでいます。
■ スモンの会全国連絡協議会/■財団法人京都スモン基金
 スモンは整腸剤キノホルムによる薬害。歩行困難が多く視力障害も伴う。被害者約12000人。十数年にわたる裁判の結果、原告勝利のうちに「確認書」による和解を勝ち取る。10地裁での勝利判決、薬事法の改正と医薬品副作用被害救済基金法を制定させる。現在も薬害根絶と被害者対策としての恒久対策を前進させるため、被害者団体が協力して奮闘中。
■ 東京HIV訴訟原告団/■大阪HIV薬害訴訟原告団
 輸入非加熱血液製剤によるHIV感染被害者は主に同製剤を使用した血友病患者約5000人の内、約1500人以上にも及んだ。さらに感染被害は血友病患者以外の肝硬変、肝炎などの患者にも広がった。この空前の薬害事件「薬害エイズ」は国及び製薬企業を被告とした裁判が争われ、1996年3月29日に和解が成立した。
■ 薬害筋短縮症の会
 筋短縮症は風邪・発熱の症状に対して不必要な薬剤注射が打たれ、全国的に発生しました。この結果正常な身体で生まれた子どもが成長すると共に、手足の障害のみでなく、精神的な苦痛を受けることになりました。各地の裁判で原因究明も終わり和解しましたが、我々被害者は会を継続し被害者対策と医療・薬害の被害者を出させない運動を続けています。
■ MMR(新三種混合ワクチン)被害児を救援する会
 1989年4月に導入のM(はしか)M(おたふくかぜ)R(風しん)ワクチンは、厚生省は180万人接種で約2千人に被害を及ぼし、死亡・重篤な後遺症をもうみました。93年12月提訴、原告団は3家族。被告は国と(財)阪大微生物病研究会。03年3月一審判決では3人の内2人は請求容認。阪大微研会は法廷外で協定。現在、大阪高裁で控訴審。
■ 陣痛促進剤による被害を考える会
 陣痛を起こしたり強めたりする陣痛促進剤。産科医の団体は、1974年までにその副作用による母子の死亡・脳性麻痺等の頻発を把握していたが公表せず、能書改訂等の対策は被害者団体が国に訴える1992年まで全くとられなかった。その後も既に約200件の重篤な被害が発覚しており、十分な説明もないままの安易な使用が続いている。
■薬害ヤコブ病被害者弁護団全国会議
 薬害ヤコブ病(iCJD)の被害は、脳外科手術により移植された脳硬膜が原因で生じました。治療法もなく発症から1〜2年以内で多くが死に至る恐ろしい病気で、家族の悲しみ、無念さは、言葉では言い表せません。2002年に和解・確認書締結、2004.7までに提訴総数94名のうち和解成立は66名。2004.1までの報告では被害総数108名と増加を続けています。
■ 薬害肝炎訴訟原告団
 出産時や外科手術時の出血の際、フィブリノゲン製剤や第\凝固因子製剤などの血液製剤を投与され、多くの患者がC型肝炎ウィルス感染被害を受けた。1980年以降にフィブリノゲン製剤の投与を受けてC型肝炎ウイルスに感染した患者は少なくとも1万人以上いるといわれている。現在、国と製薬企業を相手に訴訟を起こし、審理中である。
■ イレッサ薬害被害者の会
 肺がんの治療薬として異例のスピードで世界に先駆けて我が国で承認された抗がん剤だが、承認後わずか3ヶ月間で間質性肺炎等により57人の死亡者を出した。2005年4月現在厚生労働省が把握しているだけでも急性肺障害、間質性肺炎等の発現は1555人、死亡者は607人に達している。東京と大阪で国・製薬企業を相手に訴訟を起こし、審理中である。

主な活動

○8.24薬害根絶デー行動
 1999年8月24日 薬害エイズ事件を機に厚生省に建立された薬害根絶「誓いの碑」前で、毎年8月24日に薬害根絶と被害者の早期救済を求めた要望書提出を中心に文部科学省交渉・厚生労働省交渉を行なう。2003年に厚生労働大臣がはじめて碑の前で要望書を受取った。

□ 厚生労働省交渉
 安全性を重視した医薬品の販売形態の規制強化を図ること、医薬品副作用救済制度の周知に努めること、薬害防止のため高等教育において薬害教育を取り入れ、医師・薬剤師国家試験へ薬害に関する問題の出題をすること、薬害ヤコブ病・MMR・薬害C型肝炎の各訴訟の早期解決・原因究明および被害者の全面救済をすること、独立行政法人医薬品医療機器総合機構問題などについて訴えてきた。 

□文部科学省交渉
 子どもたちを薬害の被害者にも加害者にもしたくないという思いから、小学校・中学校・高等学校の学習指導要領に、薬害の歴史や薬害再発防止に寄与する教育の充実を求め、学習指導要領にその旨の記載がなされること。高等教育においては、将来医療従事者になる学生が、薬害被害者の意見・体験を直接聞くことは悲惨な薬害を繰り返さないためにも、貴重な体験につながると考えられる。そのようなことが推進されるための具体的な取り組みをすること。また、国立大学付属病院におけるカルテ開示やレセプトの発行の必要性などを訴えてきた。

○薬害根絶フォーラムの開催
 1999年の発足以来毎年開催。薬害被害者による被害の実態報告やパネルディスカッションでの問題提起を通じて被害の再発防止を訴えている。おもに秋頃開催。

○ 教育現場での講義・講演
 薬害ヤコブ裁判和解を機に、文部科学省交渉で求めた薬害教育の充実に協力する形で、おもに国公立の医学薬学系大学での特別講義等で被害者自らが薬害被害体験と専門家の役割について語っている。

○ 独立行政法人医薬品医療機器総合機構との関わり
 国民の健康を守る義務のある国が、医薬品の審査や安全監視の薬務行政を放棄し非公務員型の民間組織に丸投げし、今までの機構に医薬品研究開発振興部門まで組み入れようとするばかりか、迅速な審査やバイドール方式の導入などを売り文句に、企業にすりよる法案であるのにもかかわらず、衆議院ではまともな審議もせず46法案一括審議で可決し、参議院では薬被連のロビー活動等の結果、異例の分割審議を実現させた、その後、坂口厚生労働大臣は新独立行政法人から医薬品の研究開発振興部門を分離させ新たな法人を設立することを明らかにした。また、独立行政法人の諮問機関に薬害被害者をいれる意向も表明した。大臣との面談・準備会との交渉の結果、機構に評議会を設置し、複数名の薬害被害者が委員として参画することとなった。また、旧機構時代から毎年保健福祉事業の充実や副作用被害救済制度の周知徹底などを中心に問題提起や意見交換を行なっている。

○ 各種検討会への協力
医薬品等に関する検討会に委員や意見陳述人を派遣している。

2005.6.30現在