ペットボトルスピーカー3号機

「TYPE-R」 の製作

 

前作は音質はいいものの、見た目がおせじにも良いとはいえず、仮にゴミと間違えられて捨てられても文句が言えないような出来映えでした。そこで、今回は「見た目」を重点に基本から見直しをし、インテリアにもなるように仕上げてみました。もちろん、音質についても今まで得たペットボトルSP技術(?)を惜しみなく投入し、リファレンスモデルとして使えるように仕上げました。ペットボトルSPの新しいスタンダードです。

 

まず、デザインですが、最近はとてもキレイなスピーカーが多くなりました。やはりそれだけインテリアとして設置したいという声が高いのでしょうか。

今、私の中で気になっているのがこのシステム。箱の仕上げをみていただきたいのですが、鏡のようです!バッフルは無垢削り出しのホーン一体型。ものすごく手のかかった製品・・・いや作品であります

スピーカーもこのくらい美しいと堂々と部屋に設置できます。今回はこの作品を見習って設計しました。

・・・って、実はコレ、ペットボトルSPの産みの親である謎の塗装職人ばぢる師匠の作品なんです!

こういうマニアックな画像を送ってくださるので、そのたびに私のココロはくすぐられてしまいます・・・(^^;

 

 

 

ではまず、どんなスピーカーにするか考えます。ペットボトルを使う以上デザインは限られてしまいます。一番キレイな方法は箱の中にペットボトルを入れるのがいいのですが、それでは全然意味もなく面 白くありません。

ペットボトルを使用しつつ、「おおっ?」っと言わせるような斬新なデザイン・・・ということで、MDFでベースを作ることにしました。これなら安定性も抜群で、あのスーパーウーハーの音圧振動に落とされる心配もありません。

それでは製作にかかります。

 

今回は余った材料で製作しました。点数も少ないので比較的ラクです。しかし、インテリアをうたう以上、手を抜くわけにはいきません。

ジグソーでカットし、仕上げはヤスリで丁寧に行います。なかなか根気のいる作業ですね。

さきほどのbasilさんの作品は、本当に手がかかっていると思いますよ!!

 

 

 

一通 り加工が終わりました。まあまあの出来です。

ここまで約2時間ほどかかりました。

 

 

 

 

 

 

 

いよいよ塗装ですが、悩みました。ニスにするかスプレーにするか・・・。本当はスプレーで仕上げたかったのですが、あいにく風が吹いていて、塗料が隣の家のクルマなどに付着してしまうと大変なのでハケ塗りでやってみました。色は高速化事業部イメージカラーのライトパープルです!

これが悲劇の始まりだった・・・。ハケ塗りなんてほとんどやったことがないため、せっかくツルツルに仕上げたMDFが・・・・・ちょっとがっかり。

でも、まぁ、この方が「自作」っぽくていいかなと・・・そう自分に言い聞かせるのでした。

 

 

次はいよいよペットボトルの加工です。今まではユニットを直接ボトルに接着していましたが、今回は接着剤は使いません。バッフルにユニットを取り付けて、ボトルは後方から「押し当てる」ように付けます。こうすることにより、組立後の分解やセッティング変更などにも対応できるのです。

カットしたボトルには密着度を高めるためにスポンジパッキンを付けます。

 

 

 

 

ベースとボトルを合体させるとこうなります。だんだんカタチになってきました。

アコースティック・スタビライザーや背板の接合は木ネジで行います。

 

 

 

 

 

スポンジパッキンはこのようになります。接着剤ではうまく出来ませんし、一度付けてしまうと外せませんから、この方のがいいと思います。

 

 

 

 

 

 

この真ん中のささえが今回新たに開発(?)した「アコースティック・スタビライザー」(仮称)です!

ペットボトル単体だけではどうしてもボトル特有の響きが出しゃばってしまいます。それを押さえて音質をコントロールするのが目的です。ボトルに何カ所かこのようなものを付けてテストしましたが、1つが一番良い結果 が出ました。また、付ける場所によっても音質が変わりますので色々やってみるといいかもしれません。

製作にあたっては、ちょっとキツ目に作るのがポイントです。ゆるいとビビってしまい逆効果 です。

 

 

今回使用するユニットは自作の定番であるフォステクスのFE-83です。ちょっと高域にクセがありますが、価格も安くナチュラル系サウンドで私のお気に入りであります。

今回は以前バックロードに使用していたものを外してきました。そのためマグネットが2枚重ねで強化してあります。ペットボトルにこのユニットではちょっとオーバーダンピングかもしれません・・・。

今回はとりあえずコレで行きます。

 

 

 

ユニットを取り付けて完成です!

どうです??ペットボトルでもなかなかいいでしょ?飾っておいてもいいんじゃない?って思えません?

 

後ろもなかなかいいでしょ?

端子の付いている板でペットボトルを強固に押さえています。

 

 

 

 

 

2本並べるとこんな感じです。

 

 

 

 

 


試聴

さっそく試聴してみます。いつもこの瞬間がたまりませんね!

さて、気になる音質ですが、アコースティック・スタビライザーが効いているおかげでスッキリしたサウンドです。これはちょっと意外でしたね。ちょっと効きすぎかな・・・?とも思いましたがエージングが進むにつれて丁度良く感じてきました。

ペットボトル特有の響き過ぎるあの音はほとんどありません。FE-83特有のクリアーで軽快なサウンドが楽しめます。しかし、ユニットの性格なのか、前回の2号機よりは低音は出ません。ま、2号機はボトルがかなり響いていましたし、ユニットもパワーの入るタイプですので簡単には比較できませんけどね。

それでも容量1.5リットルのペットボトルから出て来る音とは思えない素晴らしい音質です。部屋で小音量 でBGMを聞くのには最適です。小音量でもレスポンスが良いので、このへんは小口径ユニットの利点がよく引き出せていると思います。

ボーカルなどが非常にクリアーで、クリアなペットボトルのイメージに良くマッチしています。

今回は強力磁気回路の軽量コーンというハイ上がりなユニットでしたので、このような結果 となりましたが、分解交換可能な仕様にしてあるのでユニット交換を積極的に行ってみることにしました。


ユニット交換

強力で軽量なコーンのユニットではあまり良い低音が得られないようので、ちょっと質量 多めの面白いユニットに交換してみました。

 

これはDIY AUDIO というメーカー(らしい)の 製品でSA/F80alという8センチユニットです。

コーンはアルミ製で防磁型、エッジは柔らかいラバーでフレームは樹脂製というユニークな製品です。最近ではコイズミ無線でも取り扱いを始めたようです。価格は1本3880円とかなり高価ですが、どうしても気になってしょうがないので買ってしまいました(ほとんど病気です)。

以前これで小さめのバスレフを組んだことがあったのですが、背圧をかけると極端に音質が悪くなる性格のユニットのようで、良い結果 が得られず眠っていたものです。 はたしてペットボトルで良い結果が出せるでしょうか!?

 

 

このユニットを取り付けるには、国産の一般 的な8センチユニットよりも取付穴径を大きくする必要がありますので、今回はヤスリで軽く広げ、パッキンなど付属していないので「スキマテープ」を細く切って貼りつけて対処しました。

取付穴ピッチはそのままでOKです。

 

 

 

 

 

ユニット交換完了。使用する環境を考慮して、不本意ではありますがカバーも付けました。でも、仕上がってみるとカッコイイですね!見た目だけでもいい音しそうです!

下にあるシステムは先日H/Oで2000円で入手してきたソニーのミニコン用システムです。このシステムの下には16センチのウーハーシステムが付くのですが、そっちには興味がないのでバラして使っています(笑)

さて、TYPE-R改の気になる音質。ユニットの性格でしょうか、能率は非常に低いのですが低音はかなり出るようになりました。ボトルのポート(?)がけっこう響いていますが、ひどいというほどではなく、それはそれでいい感じかと思います。でも、要チューニングかもしれませんね。

なかなかパワーも入り高域はFE-83よりも素直で、ロックなどゴキゲンで奏でてくれます。まずは成功ですね!

しかし、欠点もちゃんとあります。FE-83などと比べると、中域のクォリティや抜けの良さなどは劣っています。FE-83とSA/F80al、どちらも甲乙付け難いのですが、一般 的にはアルミコーンのSA/F80alの方が良いと思います。

 


その後、、、

1ヶ月ほどイジりながら使用してみましたが、やはり不満が消えません。ユニットの性格上、どうしても中域の抜けが悪く聴いていて疲れてしまいます。もう、こうなったらまたユニット交換しかありません!

 

またユニット交換!

秋葉原散策でたまたま見つけたジャンクユニットです。

フォスター製で見た目は地味ですがラバーエッジでPPセンターキャップというなかなかの作りです。インピーダンスは8オーム、最大入力15Wというスペックで防磁型です。コーン紙もいい感じでなかなか鳴ってくれそうです。

これは秋葉原の鈴商で1本1500円で入手したものです。後日行ってみると何と1000円に値下がりしてやがりました!悔しいのでもう1セット買ってきちゃいました、、、。在庫はあとわずかとのことです。

 

 

交換作業に入ります。

フォステクスのグリルを付けるにはフレームの角の部分をカットする必要があります。今回はトタン用ハサミでパキンとカットしました。

交換に関する作業はこれだけです。

しかし、それにしても地味だ、、、。

 

 

 

 

試聴

このユニット、見かけによらず音が良いので驚きました。全体的にバランスが良く、低音も良く出ます。センターキャップが大きめなので心配していた高域も問題ありません。キレイな音です。

ペットボトルとの相性も良く、価格も安いのでこれはオススメです!

アルミコーン??そんなの知らねぇよ!!

音質的にはロック向けでゴキゲンなサウンドなのですが、なんといいますか、うまく表現できないのですが、堅いんですよね、、、。ヴォーカルなんかが堅い感じでちょっと気になります。おそらくこの手の音のユニットは複数駆動すると滑らかになっていい音が出るタイプかと思います。単発はちょっと厳しいかな?でも価格を考えればすごくいいのでオススメです(^^)

 


TYPE-Rのユニットがほぼ決まって落ち着いていたある日、秋葉原散策でコイズミ無線へ立ち寄ってみたらFE-87EというFE-87の改良版が発売されていました!知らなかった、、、!

 

最上位 の6N-FE88ESと同じESコーンを採用し、繊細感あふれる滑らかな 音質で30KHzまで伸びた高域特性を獲得したとのこと。価格は2610円と手頃でしたので迷わず購入。衝動買いですね(^^;

AV対応防磁型で周波数特性もFEシリーズとは思えないほどフラットです。こいつは期待できます!

 

 

 

 

30KHzという帯域までの再生を可能にしたセンターキャップ。独特の形状でモッコリしています。コーン紙は従来のFEよりも白っぽいです。

さあ、どんな音を聞かせてくれるのでしょうか?!

 

 

 

 

 

さっそく取り付けて試聴です!

下がFE-83かるがも君ですが、センターキャップの違いがおわかりいただけるかと思います。

すごく気になる音質ですが、これはいいですよ!!

今までのユニットにあった抜けの悪さが解消され、しかもFE-83にあった高域のクセも改善されています。とてもナチュラルな音で聴いていて気持ち良いです。

FE-83の時に問題となった低音の問題も改善され、小音量でもレスポンスが良く、部屋で聴くには最適です。

FE83系とFE87Eは音質そのものが全くといって良いほど違います。FE83系はハイ上がりで明るくメリハリのあるサウンドですが、FE87EはAV対応ということもありアダルト?な感じで、極めてフラット。元気の良いサウンドではありませんが、素直でとんがった所がないので長時間聴いていても疲れません。肩の力を抜いて気持ちよく音楽と接することができる、このクラスでは数少ないユニットだと思います。

正直、このユニットには惚れました(^^)

 


 

あとがき・・・

とりあえず私はユニットをFE-87Eに決定してコツコツとセッティングを出して行く予定です。しかし、他のユニットが悪いというわけではありません。こればかりは個人の好みの問題ですので、自分に合ったユニットを探すというのも自作ならではの楽しみだと思います。

セッティングですが、スピーカー工作で必ず使う吸音フェルトは使わない方がいいみたいです。好みの問題ですが、ペットボトルの良さ(楽しさ)がなくなってしまいます。見た目もNGですしね(これ重要)。

飲み終わったら捨ちゃうとか、ロケットにしてブっ飛ばすだけじゃもったいないですから、みなさんもペットボトルスピーカー製作にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?「ペットボトルの新たな可能性を探る・・・」というと聞こえはいいのですが、製作も簡単でこんなに良い結果 が出せたのでオススメですヨ!

今、このスピーカーで「image2」を聴きながら書いていますが、3ヶ月になる娘がいつのまにか眠ってしまってました。こんなこと、今までなかったのでちょっと驚きです!やっぱり、いい音だと心地よいのでしょうね!FE83かるがもに切り替えたら泣き出してしまい、二度びっくり!!偶然にしては出来過ぎです(^^;

エージングが進めばもっと良い結果が得られると思いますので今後が楽しみであります。

ちなみに「TYPE-R」とはリファレンスのを取って付けたもので、決してホンダのタイプRシリーズが好きだとか、B18C-96specRエンジンが欲しいとか、それをEF8 CR-Xに載せて走りたいとかいう理由から付けたわけぢゃないです(^^;

 

 

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