KENWOOD

KX-9010

 

ケンウッドのカセットデッキの末期モデルと思われるKX-9010です。

9010という型番から当時の上位モデルのようですが、詳細についてはWEBにも資料が無いのでよくわかりません。それだけタマ数の少ないモデルという事でしょうか。

DP-X9010というデジアウト専用のCDプレーヤーがありましたが、そのシリーズだとすると高級機の部類に入る事になります。しかし、往年の名機?KX-1100Gはもちろん、880Dよりも安っぽく見えてしまうのがなんとも.....。

そのあたりを確かめたく、ジャンク品を入手して解析を兼ねて復活させてみました。

 

アモルファスの3ヘッドでDDデュアルキャプスタンという点もKX-1100Gと同じです。

ただ、このプラスチクなホルダーが気分を台無しにしていますが。

 

 

 

 

 

 

 

やけにスッキリしてしまっているボタン類。

キャリブレーション機能がマニュアルだった1100Gに対してこの9010は自動となっていました。

そのため、キャリブレーションに関するツマミ類が一切無く、またアナログカセットの醍醐味である手動による使いこなしが一切出来ない仕様になってしまいました。

 

 

 

 

 

ツマミ類がテンコ盛りだった1100Gから見るとかなり寂しいですが、コレも時代の流れなんでしょうね。

80年代前半と違って、この頃は自動化のほうがコストも安く済んだようです。

 

 

 

 

 

 

さて、内部を攻めていきます。

これといって普通ですが、RECレベルVRが長いロッドを介して付けられているのが唯一高級機っぽい所でしょうか。

多分、この部分は性能云々よりもカタログに載せる都合上によるものだと思います。バブル末期でしたから(笑)

 

 

 

 

 

高精度ディテント型ですね。カタログに載せるならこのくらいしておかないとですね。

どうせここまでやるなら、もっとリアパネル(入力端子直近)に付けて欲しかったですね。この位 置ではメリットよりもデメリットのほうが大きいと思います。

 

 

 

 

 

 

ドルビーはおなじみCX20188です。プラグインで2枚刺さっています。

 

 

 

 

 

 

 

 

再生イコライザも部です。オペアンプM5220一発によるシンプルなものです。

 

 

 

 

 

 

 

 

電源基板です。

音響用のでかいのが付いていました。

なんといいますか、他の部分とのバランスが...

これもカタログ効果重視だったのでしょうね。

 

 

 

 

 

ロジック回路はこれ1個でまかなっているようです。

オートキャリブレーションも組み込まれているのでしょうか。パイオニアCT-A1の頃から見ると凄い進歩に見えてしまいます。

 

 

 

 

 

 

使いっぱなしだったようですね。

カセットデッキの清掃をキチンとやってたユーザーって、全体的にはほんの一部だったのかもしれませんね。

クルマで、オイル交換をキチンとやってる人が少ないのと同じかな?

 

 

 

 

 

 

メカを取り出してメンテ開始です。

メカは1100Gはもちろん、ヤマハやナカミチCRと同じ物でした。

アイドラーはゴムではなくギア駆動で、こちらのほうが経年によるトラブルが明らかに少ないです。

 

 

 

 

 

キャプスタンはダイレクトドライブです。

このメカに限っては先代からのコストダウンは行われていないようです。ちょっと安心!

 

 

 

 

 

 

 

いぢり慣れたメカなので楽勝です。

バンバンばらしていきます!

 

 

 

 

 

 

 

フライホイールに錆が...!

表面処理に不備があったのかな?それとも保管環境の影響??

ピカピカに磨いてしまうと表面処理まで落ちてしまうので、軽く錆を落とす程度にしておきました。

 

 

 

 

 

 

このメカの弱点であるリーフスイッチによるモード検出機構。

必ず動作不良を引き起こしますので、接点処理は必須です。

 

 

 

 

 

 

 

もちろんベルトも新品交換です。

せっかくですのでDDモーター駆動基板も再ハンダしておきましょう。

 

 

 

 

 

 

 

バックテンションのベルトも交換しておきます。

こういう時、各種ベルトを揃えておくと便利ですね。

 

 

 

 

 

 

 

酷い汚れも根性で磨き上げてピッカピカです!

プロの修理業者さんでは、ここまでやらないですからね。我々素人はこういうところで少し差を付けてあげましょう(単なる自己満足!)

 

 

 

 

 

 

これでメカは完了です。

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょっと高級ゲな電源基板。まずはこれから。

 

 

 

 

 

 

 

 

ハンダ割れは今のところありませんでしたが、怪しい所もありますので念のため再ハンダを行いました。

 

 

 

 

 

 

 

このプラグイン基板達...この部分の再ハンダは必須でしょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

本体裏面 から再ハンダをしようとしたところ...

 

 

 

 

 

 

 

 

奧の部分が出来ない!!

作業性最悪!やっぱりケンウッドですねぇ...。

 

 

 

 

 

 

 

結局、基板全部取り出しました。

ま、このほうがハンダ作業はラクですからね。

 

 

 

 

 

 

 

ほ〜ら、やっぱり割れてました。

ヘッドホンのボリウム。ノーコンで爆音でしたからね。

ちなみにこのヘッドホンボリウムは、最小に絞っても少し音が出る仕様でした。ちょっとした気配りでしょうけど、下手すると超神経質なウルトラマニア様達からクレームが付きそうですね。

 

 

 

 

 

各基板類をチェックしながら再ハンダを行います。

 

 

 

 

 

 

 

 

バイアス&ドルビーHX基板です。

おなじみNECのuPC1297Cでした。

 

 

 

 

 

 

 

再生イコライザはM5220一発のシンプルなものです。

いいですね。この部分だけ他に流用できそうです。

 

 

 

 

 

 

 

せっかくなのでソケットを付けておきました(^^)

最近、コレばっか...

バカの一つ覚えみたいなもんですね(^^;

 

 

 

 

 

 

録音アンプです。

ケンウッド独自の定電流駆動アンプを搭載しています。オリジナルチップのようですね。

 

 

 

 

 

 

 

ドルビーNRはCX20188でそれぞれ共通 の基板で組まれていますが、録音側にはMPX回路が入っています。

これも他に流用できそうですね。

ナカミチZX-5をいぢってた時に出会えていたら...!

 

 

 

 

 

 

それぞれの基板を元通 りに組み上げます。

 

 

 

 

 

 

 

 

ツマミ類の接着が取れてしまいましたので全てG17で処理しました。

 

 

 

 

 

 

 

 

う〜ん、それにしても、このカセットホルダーはどうしても最高に気に入らんです。

KX-1100Gまではガッチリとした鉄板フレームだったのに対して9010はフロントパネル一体のオールプラスチック。しかもテープパススタビライザーという、これまたカタログ効果 を狙ったとしか思えない 無意味な機構が付いたおかげで完全に強度不足に陥っています。

 

 

 

 

 

カセットを入れるとこの通 り。ホルダーが斜めになってしまいます。

樹脂製ホルダーでも、アイワXK-005のように強度を十分に検討すればクリア出来るはずなのですが、そこまでは考えなかったようです。

これではまるでソニータイマーと同レベル。ガッカリです。

 

 

 

 

 

 

一通 り組み上がり、調整して完了です。

動作はバッチリ快調です。強度不足のカセットホルダーも使用に支障は無いようで安心しました。

 

 

 

 

 

 

軽く試聴

かなりガッカリする造りでしたが音はホンモノ!素晴らしいです!

まず高域の伸びは素晴らしい!強調したりといった味付けは無く自然に伸びています。ヤマハのK-1Xシリーズよりも全体的に厚みが増してしっかりとした音でボーカルの再現もリアルにこなすのでコイツはホンモノです。

先日仕上げたTC-K555ESRの再生音を聴いて少しソニーを見直していたところですが、もう段違いですね!目が覚めました。

アイワやナカミチの領域には達していませんが、それらを除いた世界ではトップクラスの音質だと思います。

ソケット式にした再生イコライザにNJM2068を付けてみたところ、これまた思いっきり私好みの音色になってしまいゴキゲンです!元々のキレイな高域に美しい響きが加わったような...シアワセになれる音です(^^)

見た目で判断しちゃイケナイですね。これは素晴らしいデッキです。

でも、どうしても、どんなに頑張って自分に言い聞かせても、あのプラスチックなカセットホルダーが許せません!見れば見るほど悲しくなります。そんな理由で、処分してしまいました。

オーディオ製品って、そういう部分大切ですよね.....?