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GX-Z7100LTD

アカイのカセットデッキ累計販売台数600万台突破を記念して発売された(と記憶してますが違うかな?)限定モデルZ7100LTDです。

Z7100をベースに細部を見直したモデルのようで、主に外観が大幅に変更されているように思えます。サイドウッドパネルや銅メッキシャーシ、セラミックインシュレーターなど、バブル期ならではの物量 投入が最高の一台です。

今回のこのZ7100LTDは、御世話になっている自動車ディーラーの営業さんから譲って頂いたものです。まさかこんな身近な所にこんなマニアックな方が居たなんて...嬉しい限りです!

気合いを入れて、バッチリ仕上させて頂きました。

 

これが頂いた時の状態...。

ホルダーがそっくりありません!!

今までアカイデッキを多数いぢってきましたが、ここまで損傷の激しいものはありませんでしたです(^^;

 

 

 

 

この手のアカイデッキは、グリス固着による不具合から、ホルダーを無理にこじあけた事によるテープガイド破損が一般 的ですが、ホルダーがそっくり無いのは初めてです(^^;

ガイドも、左側は無事でしたが右側は折れていました。

う〜む、会社はもちろん部品も残っていませんのでドナーのジャンク品に頼るしかありません。

 

 

 

 

それでは天板をあけてみます。

パっと見、Z7100無印と大差ないように思えますが、噂ではトランスのシールドが強化されているらしいです。

限定モデルですが、Z9100系のようにキャプスタンモーターもクォーツロック制御まではせず、このへんで9100との差別 化を図っているようです。

 

 

 

 

次はロワシャーシを明けてみます。

銅メッキシャーシがまぶしいです!このあたりは9100と同じですので、店頭効果 も相当高かったのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

再生イコライザ回路です。

Z9100系ではディスクリートで組んで いますが、Z7100系ではオペアンプ1発の一般 的な回路となっております。が、このオペアンプ、NJM4580DDなんです!

カセットデッキの再生イコライザといえば、M5220やM5240、NJM2043DやNJM2068Dが一般 的ですが、NJM4580DDを使っているのは初めて見ました。

そういえば、LTDは再生イコライザもブラッシュアップしていたような気がしましたが、選別 品のDDというのがソレなのでしょうか?

 

 

ドルビー回路はアカイデッキ御用達の日立製が左右独立で使われております。

このあたりはZ7100もZ9100も共通ですね。

 

 

 

 

 

 

録音アンプもオペアンプ1発のシンプルな回路です。

バイアス発振回路が別にあるので、とてもシンプルに見えますね。

 

 

 

 

 

 

で、これがバイアス回路で、別 ブロック化して干渉を徹底的に排除しています。

ざっと見た感じでは、Z9100系と共通のようです。

 

 

 

 

 

使われているVRも普通 のものでした。

Z9100系では 録音レベルVRに高精度ディテント型が使われていましたが、今回のLTDは普通 タイプでちょっとガッカリ(^^;

 

 

 

 

 

さて、それではいよいよメカのオーバーホールに入ります。

とにかく欠品部品が凄いので(^^;同型のジャンク品を某オクで入手しました。

自己修理失敗のジャンク品でしたが、ガイド類は新品が付いていました!組み付けがなってないだけで私にとっては超ラッキーなジャンク品でした。(^^)

 

 

 

 

あとはいつものようにバンバン進めます。

実は、この手のアカイデッキを一番多くいぢっていたりします。大好きなアイワを上回る勢いです。何故なのか自分でもわかりません(^^??

整備性が良好なのは基本設計がしっかりしている証拠。グリスの固着さえなければ剛性も高く合理的で完成度の高いメカだと思っています。

 

 

 

 

ベルト類は他社他機種の物で代用します。

あとは念のため基板を全箇所再ハンダしておきます。お守りのようなもんですね。

 

 

 

 

 

 

いぢり慣れたメカなので難なく終了です。

と、まぁ、ここまでは良いのですが、調整だけはちょいとコツが要るんですよね。

 

 

 

 

 

 

最後の仕上げ、調整です。

自分で言うのもナンですが、慣れたもんですよ(^^;

アカイデッキの調整は難しい部類に入ると思います。プロをうたう業者でさえタコな事をやらかしていますからね。 基本を理解していない測定器マニアにはまず無理な作業です。

 

 

 

 

外装パーツを組み付けて完成です!

紛失していたホルダーはドナーのジャンク品から移植して元通りになりました。フロントパネルも一緒にお風呂でキレイにしましたのでキモチ良いです(他人から見ればキモイかも?!)

やっぱり、高級機はサイドウッドですよ〜!

 

 

 

試聴

ん〜〜、バッチリ調整したのですが、イマイチですねぇ。

何がイマイチかといいますと、走行系の安定性です。測定器レベルでは問題ないのですが聴感上ではちょいと気になります。神経質になりすぎかな??

再生音質はZ9100系と大差ないと思います。GX-Z系特有の平面的な表現ではありますが、ノイズの低さと繊細感はフェライトヘッドである事を忘れさせます。

残念ながらGX-Z7100EXやZ9100EX等はすべて処分してしまいましたのでイコールコンディションでの比較試聴は出来ませんが、再生音質ではZ9100系と大差ないのでは?というのが正直な感想です。

良くも悪くもかなり真面目で地味な音だと思います。再生イコライザのオペアンプにNJM4580DDを採用したのはこのあたりを狙ったのかもしれませんね。NJM2068DDあたりを採用すれば、もうちょっと明るく見通 しの良い音になったと思いますが、あえてこの方向を目指したところにアカイのプライドが伺えます。

Z7100だけどZ7100じゃない、でもZ9100には届かないモデルですが、アカイが元気だった頃の貴重な限定モデルで外観もとてもキレイですのでコレクションとしてGX-93(金色)と共に大切に保管しておきたいと思っております。

 

P.S.

Nさん、貴重なブツお譲り頂き有り難うございました。いやぁ〜色々工面 してみたのですが、今回は車検通して次回余裕があったらという事で(^^;カーステレオも組み上がってやっとセッティングが出たところですし〜他社に浮気なんかしませんからご安心下さいまし〜(^^;