利息制限法を上回るサラ金
違法を助長するテレビCM自粛を

 北海道内の民放テレビでは、昼夜のべつサラ金のCMが流れている。画面には年利20%を超え、中には29.2%もの表示が、イメージ映像と共に放送されている。本州から北海道に来てテレビを見た人々は、サラ金とパチンコ屋のテレビCMの多さに驚いている。本州では一般企業のテレビCMが多く流れているが、北海道では高額なテレビCM料金を負担できる体力のある企業は限られているため、違法を承知でテレビCM放映となっている。

 利息制限法では、上限金利10万円未満=年20%、10万円以上~100万円未満=年18%、100万円以上=年15%と定まっている。出資法では、上限利息年29.2%を上回ると、5年以下の懲役若しくは罰金1000万円以下(個人)、3000万円以下(法人)[併科あり]となっている。利息制限法が定める上限金利と出資法が定める上限金利との間を、いわゆる「グレーゾーン」と呼ばれ、貸金業者は処罰の対象にならないため、グレーゾーン間で金利を自由に設定営業している。しかし、利息制限法に定められている上限を超える請求は無効で、法的保護を受けることはない。司法書士や弁護士は、利息制限法を越えて支払われた金利を計算し直し、貸金業者に対して請求、元本返済に充当されている。利息制限法を上回る高金利は、民事上の違法行為となるため、司法(裁判)の場でも、高利貸金業者は敗訴している。何らかの理由で貸金業者の返済資力が劣った場合、違法行為に加担・助長して利益を得たマスメディアに対しての、連帯責任追及もありえる。

 テレビ放送は、放送法の適用を受けるが、放送法第1条では、【放送を公共の福祉に適合するように規律し、その健全な発達を図ることを目的とする。…放送が健全な民主主義の発達に資するようにすること。】と定められている。公共の電波を免許事業として放送に用いているが、違法行為は勿論違法行為の助長や加担も許されることではない。全国紙新聞社が、サラ金から5000万円金品受領とのニュースが発覚している。マスメディアが違法行為の加担や助長を行えば、公正な報道は揺らぎ、マスコミの存在意義を危うくする。
 テレビCMで、違法高利回りのサラ金を、真っ当な会社であるかのようなイメージ映像と共に頻繁に放映した結果、CMを見て利用した多数の人々が苦しみ、増大する自殺者の要因ともなっている現実に、放送関係者はどう接するのであろうか。            以上

 参照リンク:利息制限法(総務省・法令データ提供システム)
  2004年10月31日写真家
縄田賴信
 
 
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