NHK連続テレビ小説
『べっぴんさん』の撮影に参加して


神戸お手玉の会 山田カヲル、宮ア広子

 7月のある日「10月から放送のNHKの朝ドラにお手玉をする場面があるので指導してほしい。」と会長から連絡があり了承するとその数分後「NHKの鈴木です。急なことですが明日打ち合わせに出演者がくるので指導を・・・」と電話がありました。この依頼は日本のお手玉の会がNHKから指導を要請されたものを当会がお手伝いすることになったもので、よほど急いでおられたように当会が了承したとたんに連絡があったものです。

 指導する俳優はお手玉の経験がない方で3個ゆりを歌いながらできるようにしてほしい。俳優が技の練習をするのでその動画を撮るため明日の夕方5時に放送局にといわれ二人で行くことになった。
 当日は監督と6人の制作スタッフと打ち合わせを行い、お手玉の技の披露、次にその頃歌われていた歌を数種類歌いながらゆらした。小さい子どもが相手の場面なのでわらべ歌の「一番はじめは」に決まる。スタッフ全員に持っていたお手玉を配り基本の2個ゆりを指導、次に片手2個ゆりをしたがこれは難しくできなかった。

 本番に使うお手玉を見せていただくと、うずら卵を少し大きくしたお手玉でとても軽く飛び跳ねてゆらせないので日本のお手玉の会で使う座布団型を使うことになった。
 その後広い休憩室で待つこと2時間栄輔役の松下さんと出会い、大阪城の見える控室で練習を行う。両手2個ゆりはすぐ出来たが片手2個ゆりはこつがつかめずなかなかできない。汗だくになりながら2・3回ゆらせるようになるとさすが俳優さん、のみ込みが早く出来るようになる。両手3個ゆりまでと休憩をとらず頑張られたが東京へ帰る新幹線の時間が来て時間切れ。残った私達は3人のスタッフの方と歌いながら動画の撮影、手元、全体、横から等10日後の本番までにゆらせるようにと閉館まで撮られる。この日はやっと終わり帰りの地下鉄のホームでおにぎりを食べ少し元気になって家路に着く。

 7月の終わり鈴木監督から「急なことだが明日もう一人お手玉する人に指導を・・・」、午後1時に行き9階ロビーで待っていると「べっぴんさん」の記者発表があったようで主要メンバーの人たちが通られる。しばらくして新しい梛川監督を紹介される。

 週毎に監督が代わり5人で担当していることや、あらすじ等の説明を受ける。お手玉をするもう一人は永山さん(すみれさんの夫・紀夫役)、子どもの頃ボールで2個ゆりして遊んだ経験がありお手玉の2個ゆりはすぐできた。前回の動画を見ていたようでまっすぐ上げること、高さや手の位置、力の入れるところなどを説明すると意外と早く3個ゆりまで出来るようになり、あずき入りのお手玉で練習してもらった。次は8月2日・3日に行くことに決まる。

 8月2日は本番前の栄輔さんの練習を見る。歌いながら3個ゆりが出来ている。10日余りで完璧にできているのに驚いた。さすが歌手の俳優さん、歌も上手、本番で使うお手玉で何度も稽古、歌いながら両手2個ゆり、片手2個ゆりとゆり方も相談しながらゆってもらったが最後の場面で連続で3個ゆりをして終わりのところで高くゆって見せ場を作ることにする。撮影を終えた役者さんやスタッフの方が松下さんを見て「うまい!」「すごい!」と声がかかる。

 スタジオの休憩中に本番のセットを見学するようにと監督から言われ、8階のスタジオを見学、たくさんの家、街角、部屋などが作られ、すみれさんのバラックもあった。

 8月3日本番、松下さんはお手玉を自然体にゆらしている。子役のさくらちゃん(2歳4か月)は泣かないで我慢強い子どものようだ。お手玉をたくさん出して一緒に山に積み上げたり、重ねたりして遊ぶ。本番の声がかかり出演者はスタジオへ、私達は助監督と場所を移動しモニターテレビの前で待機する。
 すみれさんの家の中で栄輔さんが人形を使っての演技、本番の声がかかるとさくらちゃんがきて撮影開始、子どもは自由にさせていた。小豆を入れたお手玉をすみれさんから栄輔さんに渡すと歌いながらすぐゆらし、3個ゆりもスムーズにできていた。
 次に永山さんのリハーサルを見学した。本読みが始まり積木や台で組まれたセットの中で演技をしていた。

 8日間通い感じたことはNHKの監督始め皆さんがやさしかったこと、2人の俳優さんがイケメンでカッコよかったこと、でも「べっぴんさん」の放送が始まるまでは口外しないことやカメラ・録音・俳優さんと接触しないことなどと言われた。

 10月から「べっぴんさん」の放送が始まり36回〜48回の放送のうち何度かお手玉をする場面が放映されたが、ずいぶんカットされているのに驚いている。

 一生体験できないことが出来て今は感謝でいっぱいです。ありがとうございました。


NHK大阪放送局の前で 栄輔さん(松下さん)