緑の洞門通行止め2周年にあたっての声明


   本年4月28日をもって、洞門封鎖から2年が経ちました。当会では以下の通り通行止め2周年にあたっての声明を発表しました。

仮設工事を実施し一刻も早く人が通れるように求める
緑の洞門通行止め2周年にあたっての声明


 2015年4月28日以来、緑の洞門(北鎌倉隧道)が通行止めにされ、2年もの年月が経過しました。この間、地元住民をはじめ実に多くの人々が、大変な不便を強いられてきました。松尾鎌倉市長ならびに鎌倉市行政にたいし、すでに確定された仮設工事を実施し、洞門封鎖を解除して、一刻も速く人が通れるよう早急の施策を求めます。

 昨年7月の文化財専門委員会では、緑の洞門を含む岩塊・尾根筋、文化的景観を保存していく総意が示されました。松尾鎌倉市長も、洞門開削の方針を転換し、昨秋からこの3月まで、鎌倉市行政から業務委託された「北鎌倉隧道安全対策検討委員会」が開かれ、仮設工事と本設工事が検討されてきました。これに伴い、すでに昨年11月28日の記者会見の時点で、松尾鎌倉市長は「ライナープレートによる仮設トンネル工法の安全性が確認できた。地権者との交渉を進め、来年の夏過ぎまでには何とかしたい」と明言しています。この公約を確実に実施されるよう求めます。

 緑の洞門は、90年近く前に、人や自転車が通れるようにと素掘りされた見目麗しいトンネルです。北鎌倉には、さらに大船側に赤の洞門、その先に青の洞門があり、浄智寺など寺社内にも素掘りの洞門があります。わけても緑の洞門は、素掘りの掘り跡が美しく、鎌倉ガーネットとよばれる貴重な地層に触れることもできます。その景観が2年もの間、白いシートで覆われたまま、目にふれることもできないのは、大変な損失です。

 北鎌倉駅沿いの緑の洞門とそれを包む岩塊・尾根筋は、横浜や大船方面からやってきて、はじめて鎌倉らしい風情を実感しうる象徴的存在です。通学する生徒やそこを通る多くの人々に親しまれ、時には夏の涼を与え、時には雨宿りや遊び場として慈しまれてきました。緑の洞門は、地元住民・市民にとって、北鎌倉周辺の数々のやぐら群、切り通しや、車の通らない静かな路地とともに、とても大切な文化的景観です。無用な開発を押しとどめ、緑豊かな鎌倉らしい情景を織りなしてきた、そのシンボルが緑の洞門に他なりません。

 松尾鎌倉市長ならびに鎌倉市行政が、来る6月議会において必要な措置をこうじ、夏には仮設工事を実施し、安全対策を施して洞門を人が通行できるよう実行することを心から願います。

2017年4月28日
北鎌倉緑の洞門を守る会(北鎌倉史跡研究会)
共同代表  出口 茂   鈴木一道


  ↓2015年4月28日 閉鎖された緑の洞門