北鎌倉駅添いの岩塊・トンネル破壊計画の取り止めを求める請願書

１　請願の趣旨

　この7月から8月にかけて、都市整備部・道路課によって、北鎌倉駅添いの岩塊・トンネルを壊して４ｍ道路を通すという計画が急ピッチで進行しています。
　この岩塊は、横須賀線開通時に大半が破壊されたとはいえ、円覚寺の結界にあたる貴重な史跡として残存しているものです。北鎌倉の地元住民はもとより、訪れるたくさんの観光客も、およそ85年前の昭和初期に掘られたトンネルも含め、慈しみ愛でる景観です。さらに、「かまくら景観百選」に選ばれている北鎌倉駅の景観は、岩塊・トンネルをはじめとする、他に類をみない独特な周辺環境で成り立っているものです。
　以上の主旨から、後世に取り返しのつかない禍根を残さぬよう、地元住民の意向を尊重し、この計画をただちに取り止め、保存に尽力されるよう求めます。

２　請願の理由など

１）私どもがこの計画の急展開を知ったのは7月のことです。7月8日に開催された第4回「北鎌倉駅裏トンネルの安全対策協議会」（山ノ内8町内会をはじめ、大船、小袋谷、市場、高野台の計12の町内会長、、円覚寺、雲頂庵、学校関係者が参加）では、まず安全のためにと、トンネルを内側から補強する「トンネルの緊急架設工事」を早急に実施するというのが道路課の案でした。しかし、8月28日の第5回の同会には、JRの同意、「文化財専門委員会会議」の都合のいい解釈によって、いきなり全面的に破壊する開削工事を提案したのでした。こうした乱暴なやりかたで、決をとって強引に推し進めるのは不当です。

２）何よりも問題なのは、地元住民のほとんどすべてが何も知らないままに、事が決められていくことです。北鎌倉駅周辺の住民全体に事実を知らせ、12町内の住民一人一人が破壊に賛成なのか、保存に賛成なのか、その意思を確かめ、尊重するのが住民自治の根本です。

３）トンネルはまた、めずらしい地層としても貴重なものです。7月29日の「文化財専門委員会会議」では、地質学の専門家の方は、約300万年前の丹沢噴火で積もってできた、鎌倉ガーネットという地層の露頭で、「北鎌倉のトンネルの所が、それを観察するのに最適で、地層が傾いているのがそのまま見られる」「できれば生で見られるようにしてほしい」と語っています。

４）「鎌倉市文化財専門委員会」の発言から、市当局が無視した発言部分を引用しておきます。「昭和初期の建物は登録有形文化財になるご時世なので、近隣住民にとっては心の風景になってしまって、工事に反対ということになると思う。反対があっても押し通せばよいというものではなく、手を尽くしたとしても崖を崩せば地形が変わってしまう。長い目で見て、鎌倉のまちに何を残し、何を変えるのか、歴史的風致を軸に市全体で考えてはどうか。」こうした包括的な視点に立って、市政を過たないよう望みます。

2014年9月12日
鎌倉市長　松尾　崇　様

北鎌倉史跡研究会代表　出口　茂