町内会長への要望書


 北鎌倉駅ホーム横の岩塊・トンネルの現状を知ってもらい、住民の声を反映するために周辺12町内会長(「北鎌倉駅裏トンネルの安全対策協議会」メンバー)宛てに以下のような要望書を提出いたしました。

北鎌倉駅添いの岩塊・トンネルに関して 町内会長・役員の方々への要望書

1.要望の趣旨
 8月28日の第5回「北鎌倉駅裏トンネルの安全対策協議会」には、私どもの会から会員3名が傍聴し、見聞きした議事運営、発言、採決について、会員42名に報告しております。この協議会によって、地元住民のほとんどすべてが知らないままに、貴重な史跡、景観の破壊が決せられていくことはぜひとも避けるべきだと考えます。
 当該町内会のすべての町民に事実を告げ知らせ、各町民が破壊に賛成なのか、保存に賛成なのか、アンケートなどによってその意志を確かめ、尊重されるようお願い申し上げます。

2.要望の理由など
1)私どもの会では、去る6月16日に「鎌倉史の中の北鎌倉山ノ内 -北鎌倉駅ホームに突き出た塁壁の意味を中心に-」と題する講演会を48名の参加で開催し、馬淵和雄先生(日本考古学協会理事他)から史跡としての価値を詳細に学びました。岩塊は、横須賀線開通時に一部が破壊されたとはいえ、円覚寺境内絵図に明らかなように、円覚寺の結界にあたる貴重な史跡として残存しているものです。
2)北鎌倉の地元住民はもとより、訪れるたくさんの観光客も、およそ85年前の昭和初期に掘られたトンネルも含め、慈しみ愛でる景観です。北鎌倉駅は、運輸省(現・国土交通省)関東運輸局管内の特徴ある駅として、「古都鎌倉にふさわしく、静かで素朴な駅」との理由から、1997年第1回選定において「関東の駅百選」に真っ先に選ばれています。さらに、「かまくら景観百選」に選ばれている北鎌倉駅の景観は、岩塊・トンネルをはじめとする、他に類をみない独特な周辺環境で成り立っているものです。
3)トンネルはまた、めずらしい地層としても貴重なものです。「文化財専門委員会会議」の地質学の専門家の方によると、約300万年前の丹沢噴火で積もってできた、鎌倉ガーネットという地層の露頭であり、「北鎌倉のトンネルの所が、それを観察するのに最適で、地層が傾いているのがそのまま見られる」「できれば生で見られるようにしてほしい」と語っています。
4)鎌倉市文化財専門委員会」の発言から、市当局が意図的に読まなかった発言部分を引用しておきます。「昭和初期の建物は登録有形文化財になるご時世なので、近隣住民にとっては心の風景になってしまって、工事に反対ということになると思う。反対があっても押し通せばよいというものではなく、手を尽くしたとしても崖を崩せば地形が変わってしまう。長い目で見て、鎌倉のまちに何を残し、何を変えるのか、歴史的風致を軸に市全体で考えてはどうか。」
5)以上のように地元住民にとって貴重な「心の風景」「歴史的風致」を破壊して後世に禍根を残さないよう、住民自治の根本にたって、善処されるようお願い致します。

2014年9月18日
町内会長、役員各位 様

北鎌倉史跡研究会代表 出口 茂