2018年 新年のメッセージ


  新年明けましておめでとうございます。

 私たち北鎌倉史跡研究会は、2014年元旦から会員募集を始め発足しました。同年夏に北鎌倉駅沿いの緑の洞門(北鎌倉隧道)の開削・破壊の強行策に衝撃を受け、その秋から保存運動を開始し、北鎌倉緑の洞門を守る会として精一杯の活動を継続し、今年で足かけ5年に入ります。これまで様々にご支援・ご協力いただいてきた方々に心より感謝いたします。

 2万余を集めた署名運動を始め、私たちは精力的に保存運動を展開しましたが、2015年夏には、松尾鎌倉市長が開削・破壊を決裁し、鎌倉市の9月議会でその予算も採択され、緑の洞門は風前のともしびでした。

 ところが、2016年春からおおきく潮目が変わり、明るい日差しが射し始めました。
 同年7月に開催された鎌倉市文化財専門委員会では、緑の洞門を含む尾根筋の価値が称揚され、尾根筋の保存と国指定史跡の追加指定の総意が示されました。これを受けて、松尾鎌倉市長も同月に、開削工事を止め2017年1月までに仮設工事を実現すると公約。また少し遅れて、2016年11月には、2017年夏過ぎには仮設工事実現と再び公約しました。つまり遅くとも昨年中には、危険な鎌倉街道を迂回することなく、人や自転車が緑の洞門を通れているはずでした。

 しかし、2017年に明らかになったのは、円覚寺とその塔頭である雲頂庵が、緑の洞門を人や自転車が安全に早急に通れる仮設工事の実施に抵抗し、反対し続けていることでした。このことは、市長自らの発言で明らかになり、その後の鎌倉市議会での審議の中でも明白です。

 2017年に問われたのは、たとえお寺の抵抗・反対が頑なであっても、市長自らが先頭にたって説得を試み、公約の筋を通し、不便を強いられている洞門利用者のために仮設工事を早期に実現することでした。2015年4月28日以来もうすぐ3年にもおよぶ洞門封鎖を続け、人々に車が渋滞する危険な迂回路を強いる施策を改め、緑の洞門を人や自転車が安心して通れるようにするのが鎌倉市長の責務に他なりません。

 緑の洞門は、この間ずっと嫌がらせのように白いシート覆われ亡きものにされていますが、洞門内の通気性が悪くなり、余計劣化を早めると専門家にも指摘されています。緑の洞門は、素掘りの跡・地層が中世以来の鎌倉らしさを象徴する美しい文化的景観になっています。全国各地でたくさんの素掘りの洞門が保存されており、この小さな洞門を、今時コンクリートづめではなく、素掘りの暖かみを残しつつ保存できないわけがありません。洞門上部に根を張る木々を間伐し、剥離しそうな側面を補強したり、現代の技術をもってすれば簡単に安全対策を施せ、通行可能にできます。

 私どもの会はたった数人で始まりましたが、昨年末で、地元北鎌倉・山ノ内を中心に115名の会員となりました。今年もまた、鎌倉らしい史跡・風情・景観を守るために鋭意努力していく所存です。2018年も、引き続きご支援・ご協力のほど、なにとぞよろしくお願い申し上げます。

 皆様方にとって良い年でありますように!

            北鎌倉緑の洞門を守る会(北鎌倉史跡研究会)