第2回公開質問状 テキスト版


                                                2015年4月30

鎌倉市長 松尾崇 殿
鎌倉市都市整備部部長 小磯一彦 殿

                       北鎌倉緑の洞門を守る会
(北鎌倉史跡研究会)
代表 出口茂
鎌倉市山内904-201

 当会は、発足以来「北鎌倉駅沿いの岩塊・トンネル」(緑の洞門)の安全対策を実施の上、保存する事を強く訴えてきました。今年1月9日の要望書では「内部補強だけでなく、上部表土を取り除いての補強策」を実施して欲しいなど、具体的に要望してきました。しかし、対策が一向なされないため、4月24「北鎌倉駅沿いの岩塊・トンネルの緊急安全対策を求める陳情」を市議会に提出いたしました。「樹木・樹根の手入れ、落石防止対策、はく離対策」を緊急に行われたい、というのが陳情内容です。市当局におかれても、陳情内容を真摯に検討の上、緊急対策を早期に行った上で、「開削案」についてはこれを一旦白紙に戻し、市民・専門家を交えて、開削に替わる保存工法検討の場を設ける事を強く希望します。

 去る327日開催の第7回「北鎌倉駅裏トンネルの安全対策協議会」席上で、都市整備部職員から「当会が安全対策代替案を出さないがゆえに安全対策が進まない」といった趣旨の発言があったと傍聴者からの証言がありました。しかし、これは誤りです。当会ではすでに212日に、市役所において「市民目線の安全対策モデルによる具体的工法の提案」を発表済です。この時提案の工法(4案を提示)以外にも様々の工法提案は可能です(付記参照)。しかし、具体案を作成する前提として、当会で断面図を作図したところ、基本的な洞門壁の正しい形状等が不明であることがわかりました。箇所による強度・脆さの評価の考え方に矛盾があり、これでは責任ある安全対策案は出せないとわかり、急遽3月10日公開質問状にて不明箇所をたずねたという経緯です。

 324日、公開質問の回答を得たものの、回答内容は全く不十分でした。更に、回答で指示された報告資料を公開請求したところ、「調査に相当の時間を要するため」6月5日に期間が延長されるという結果となりました。以上より、第2回公開質問状を記します。5月13日までにご回答願います。

付記) 工法のバリエ—ション例示(a.からd.にむかって。より大掛かりな工法)
a.      表面剥落しそうな岩の除去
b.      樹木の伐採と根の除去、空隙への親水性樹脂封入
c.      暫定)内部への支持棒の挿入、四輪車両通行止め
d.      恒久)鉄骨など外部補強(開削ではない)


公開質問状(第2回)

 

424日付け公開質問状に対する回答で、不十分・不明瞭な点を再度質問する。また、428日より、あらたに実施された「北鎌倉隧道の通行禁止」につき質問する。5月13日までに回答願いたい。

以下、今回「通行禁止」措置に関連して

1)428日現在、トンネルは通行禁止となっている。その理由は「点検調査により、利用者に対して影響を及ぶ可能性が高い」との道路課による判定ということである(市ホームページより)。根拠となる点検調査報告書につき、報告機関の正式な名称と依頼先の担当課(事務担当課と実施課が違うのであれば両方とも)を開示されたい。また、報告書の結果を受け行われた「緊急対策」については、何をどのように実施するかにつき、だれがどのように策定したものかご回答願いたい。

2)同上「緊急対策」は、歩行者に対する緊急対策という意味のほか、トンネルに対する緊急対策という意味も含まれると理解される。後者の意味では、今後どのような緊急対策を予定しているか?具体的回答を示されたい。

3)同時に示された市ホームページ掲載資料(「北鎌倉隧道の安全性に関する検証結果について」)には、次のことが示されている。「構造物の機能評価については詳細調査(地質状況を含む)を実施することで「トンネル構造の機能評価」を診断することができる。」という報告結果を受け「詳細調査については平成27年3月に報告された「平成25年度 北鎌倉トンネル改修設計等業務委託」にて行っており、内容の検証を現在行っております。」ということである。

どのような検証をどのような会社もしくは機関のどの部局がおこなっているのか?明確にご回答されたい。

以下、第一回公開質問状への回答に関連して

4)崩落の実態調査につき、詳細が述べられていない。どのように崩落を把握したのか?記録,写真の提示を求める。「詳細な記録・写真は保存されていない」という返答であったが、そもそも記録があったのか、なかったのか、撮影記録したけれども紛失または破棄されたということか?正確な返答を求める
(参照Q1)。

 5)昨年10月住民に提示された回覧板文書の「土砂が線路まで流れ込む恐れがあります」という記載について質問したが、貴課の回答は強度についての説明に終始し、土砂の流れ込む恐れの根拠については全くふれていない。しかもサンプル(試料)箇所を検討していないため、原資料を誤読していることは明らかである。再度、「土砂が線路に流れこむ恐れ」についての根拠を説明願いたい。(参照Q3)

 6)回覧板文書中の「推定破壊モード」の根拠資料提示を求めたが、貴課からの回答は「資料(平成25年度 北鎌倉設計改修等業務委託)が繰り越され、平成27331日まで報告として提出されていないため、今後報告されたものを行政資料公開請求されたい」であった。しかし、当会の質問は、昨年10月に各町内会を通じて回覧板で周知された「『トンネル崩壊の危険』を裏付ける資料」の作図について尋ねているのである。「未だ正式報告されていないので図面はない」ということでは、回覧板の公式文書としての信憑性が疑われるであろう。回覧板文書を住民に提供する時点で、道路課はどのような資料の何に基づき危険性を判断し、作図を行ったのか?(参照Q4、Q5)

 7)当会では、上記貴課の回答に従い、同報告の終了引き渡し後、4月6日「行政資料公開請求」をおこなった。すると2週間後、「作業に相当の時間を要するため」6月4日まで公開決定期間延長」との通知を受け取った。(参考資料1)作業とは「個人情報に関わる記載箇所を確認」することだと書かれているが、氏名等はすべて黒塗りで結構。可能な限り早い公開を求めるものである。

8) 「日本考古学協会からの要望書」に対する鎌倉市からの回答文書にて示された、トンネル線路側の壁厚50センチの箇所を問うた。貴課回答では、ほぼトンネルの中央部にあたるとおもわれる箇所を示されたが、証拠となる計測値が示されていない。再度、壁厚50センチを裏付けるデータの提示を求める。(参照Q10

 9) 同文書における「トンネルはかろうじてその安定性を保っている」という記載につき、貴課回答の「平成17年度北鎌倉トンネル調査業務委託」を資料請求し、該当箇所および全体を精読した。その結果、「トンネル破壊」の危険性は高くないと判断できた。破壊の危険ありとの結論との食い違いについて、更なる説明を求める。なお、食い違いにつき、専門家をまじえた公開検討会を開くこともご一考されたい。(参照Q11

 10)同文書において「平成25年点検調査の結果により、剥離・崩落の危険性が高まっている」とあるため、根拠となる文書の正確な提示をもとめたところ、「平成25年度事業で行われた北鎌倉トンネル改修設計等業務委託」を公開資料請求されたい」との回答であった。しかし、「点検調査」と「トンネル改修設計業務委託」では、文書名が明らかに異なる。再度正確な回答を求める。(参照Q12

 11) 同文書において「トンネル上部の崖崩落、JR横須賀線軌道敷への影響」を懸念する根拠を質したところ、急傾斜地崩壊の一般論が回答された。当会の質問は、北鎌倉のトンネル上部の土砂がどのように崩れると想定しているのか、という点である。測定値からの予測等の説明がなされるべきであろう。再度説明を求める。(Q14

 12) 「樹木の手入れ」につき「現状を維持することが適切」と判断して一切の手をふれなかった、という回答であったが、その理由は理解不能である。再度正確な返答を求める。当会では「樹木の手入れが必要」と考えるが(参考資料2)、今後手入れを行う予定を回答されたい。(Q13

 13)貴課回答では、測量結果は、(平成25年度 北鎌倉設計改修等業務委託)の報告を待たなければ得られないということである。しかし、この報告は先に6)で述べたように、未だ市民への公開が果たされていない。当会では、一刻もはやくトンネルの安全補強策を練りたいと考え、平成2年度の測量図を公開請求にて得たが、当該図面には、JR側の壁部分につき標高が記載されていなかった。トンネルの内側測量、外側測量調査がこれまで正確になされぬまま、工法策定のみが進んでいたという事態に驚きを禁じ得ない。仮に、今回最新の報告(いまだ市民に未公開)以外に、これまでの調査における詳しい測量結果が存在するのであれば、早急に公開し、市民とともに必要に応じた「保存的工法」の検討を行うことが妥当と思われるが、如何お考えか、回答を求める。   以上


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