「北鎌倉隧道の通行禁止」を受けての緊急声明


   4月23日(木)鎌倉市道水路管理課は、道路法46条に基づいて、4月28日(火)より(正確にはその前の最終列車の通過後に)、無期限で「緑の洞門」を通行止めにすることを公表しました。これは、安全対策放棄の愚挙であり、通行止めにして放置して開削・破壊に誘導する暴挙です。
 27年間もなんの安全対策もはからなかったことを責任回避し、安全対策を具体的に提示することなく通行止めにするのは、保存を求める多数の市民・住民の声を無視した決定です。しかも、私たちが連休明けに準備していた洞門の調査や公開測量、ほんとうに洞門はどの程度の構造上の安定性があるのかの実証を妨害する許し難い決定です。
 まず通行止めありきの愚策ではなく、樹木樹根の手入れによるひび割れ防止対策、(はく落による)落石防止対策、表面ケアによるはく離防止対策をただちになすよう要求します。この緊急安全対策のための工事期間の通行制限は当然ですが、通行止めにして放置することは許せません。
 本日午前、鎌倉市議会に、新たに「北鎌倉駅沿いの岩塊・トンネルの緊急安全対策を求める陳情」を提出し、陳情第1号として受理されました。この陳情書で求めたように、今ただちにやるべきことは、期間を限定した緊急の保全策です。

 また、トンネルの本体に関しては、表面のケアとは別に、より恒久的な保全のための妥当な工事が求められます。どのような保全対策が妥当かは、今回の報告書でも指摘されているように、「詳細調査(地質状況を含む)を実施する」必要があります。
 17年度25年度の調査は、部分的には不安定さがあるものの、トンネルの本体は基本的には安定していると解釈できるものでしたが、市が曲解といえるような評価をしたこと、調査自体の信頼性にも疑問があることから、妥当な恒久対策を策定するために正しい調査が必要と考えます。

 現時点で、トンネルを削り取ってしまう「開削案」というものが恒久対策と称してと進められようとしていますが、開削には、それしか妥当でないという理由がありません。トンネルを取り除いた崖に対して法面工事を行うという、極めて不自然不健全な計画です。現在のままのトンネルや岩塊に対して保全工事、緊急の安全対策を行うほうが、余程理にかなっています。

 開削工事はデメリットが大きく多すぎます。先ず、失うものが大きすぎます。安全策としても妥当ではありません。今以上の通行を確保する必要はないのに、交通事故の危険性が増えることになります。何よりも北鎌倉らしい風情が永久に消えてしまうことと、その傷跡が街にも人々の心にも永久に残ることです。結局鎌倉へのダメージになります。

 以上、緊急の声明とします。

北鎌倉緑の洞門を守る会(北鎌倉史跡研究会) 代表 出口茂