2月25日の建設常任委員会について


・2月25日の建設常任委員では、いくつかの新事実が明らかになりました。

・松尾市長は、安全性の再検討を打ち出しました。

 

◎3人の市議による、道路課への質問

 まずは、長嶋市議が、「トンネルの大部分の土地は、今も鎌倉市ではなく国(建設省)のままで登記されている」という事実を、登記簿に照らして取り上げました。道路課は「平成16年に国から市に対して、他の多くの土地とあわせて一括譲与されたので、市の所有である事は確か」と答えましたが、年度の説明で間違ったり、やや狼狽していました。
 次に長嶋市議が取り上げたのが、平成17年度報告に見られるトンネル安全対策工法案として、第1案:開削工法(トンネルを全て取り去る)、第2案:山岳トンネル工法(現トンネルは壊してあらたにトンネルを造る)のほか、第3案:トンネル補強工法(注)が提案されていたという点。(注:これはトンネル内部を補強して地山にアンカーを打ち込むもので、洞門を残せるばかりでなく、工期も短くて済み、工事金額も安い。)ところが道路課の森課長は、第3案の内容を説明する事が出来ず、回答が二転三転し、この案が存在していた事を知らなかったように見えました。(本記事下のYouTube動画25:10以降を参照ください)また、長嶋市議は、第3案が地元協議会の会議資料には載っておらず、第1案、第2案のみ掲載されている、ということを指摘しました。これに対して道路課は、検討した結果、第3案は「恒久対策工事としては△だから」、地元協議会では紹介しなかったのだと答弁しました。

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 赤松市議は、前回委員会に引き続き「文化財委員会の議事録・改ざん」問題を取り上げ、道路課がつくった「議事録まとめ」の誤りを強く指摘しました。「今鎌倉市は、歴史と共生するまちというのが大きな柱の一つになっている。今まさに歴まち法に基づく鎌倉の歴史的風致維持向上計画を作っている真っ最中。そういう時に、文化財的価値がないから専門委員さんの発言までカットするなんて、そんな権限はないですよ道路課に」、「文化財専門委員会を所管するのは文化財課、先生方は極めて学術的な話をしている。史跡に指定されているか、法によって指定されているかによって、大事、大事でない、などというものではない」などと発言しました。

 上畠市議は、トンネル内のJR用地について、「いったい譲ってもらえるのかどうなのか」という質問をしました。「市としては、譲ってもらいたいのか」という問いには、道路課長は、「恒久安全対策を行う場合にはJR用地を使うことによって、まっすぐな道路になる。法面を斜めに切るということになるので、山の所有者の墓地等への影響がなくなるので有効なことと考えている」と答弁しました。

(3人の市議とも、それぞれの発言の中で市長の答弁「理事者質疑」を要求したので、休憩の後、市長に登場してもらう事になりました。)

◎市長の答弁

 長嶋市議が、道路課の、工法や安全性への説明が不明瞭な点をとりあげたところ、市長は、「実際には住民の方々からは、調査自体もいかがなものか、という声も出るくらいな」という認識を示し「…調査のやり方、方法、範囲なども適切なのかどうか、というところも今一度そうした専門の方に見ていただく必要があるだろう…そうことを実施をしていきたい」「…何よりも安全を確保していかなければいけないという、そういう前提で取り組んで来ている…ただ、その前提条件ということについて、そうした疑問の声もあるというふうにも承知をしており…きちんと専門家もしくはそうした専門機関、そういうところに意見を聞いて確認をするということをやって参りたい…」と答弁しました。

 赤松市議は、10/9の市長会見を話題にし、TBS「噂の現場」での市長回答が、道路課の改ざんした文化財専門委員会の「議事録まとめ」を元にしているようだ。市長は改ざんを知らずにこのような発言をしたのではないか。日本考古学協会という、非常に権威のある学会の指摘に対しても、業者に委託した調査結果を紹介しただけの失礼な回答になってしまっていて、安全性と景観面の両立を図りたいという市長の考えが出ていない。この回答は検討をお願いしたい、と述べました。これに対して市長は、回答を見直す、ということは言われなかったものの、「安全性について再度ここで一度立ち止まってと言いますか、検証という事をしていきたい・・・そういうなかで、今ご提案いただいたような事を含めて、検討してまいりたいと考えております」と答弁しました。

 上畠市議が「噂の現場」で答えた市長の姿勢は変わっていないのか、ということをたずねたところ「それは変わっていない」と市長は答えました。

 

・建設常任委員会の結果を受けて
 今回、松尾市長は、「安全性と景観面の両立が出来れば一番いい」ということを繰り返し述べました。これは、景観が歴史的風致を意味するのであれば、当会の考え方と全く一致するところです。
 その上で、これまでのいわば「危険神話」を繰り返す事なく「住民からの疑問の声も聞いている」、「今一度こうした安全性ということを確認して行く中で、どうした方法がとれるかということは検討して参りたい」ということを明言していました。私たちは、市長と保存&安全対策について話し合いを求めます。そして今後、安全性の再検討を、地元住民・市民に開かれた形で行ってほしいと願っています。
 安全性と歴史的風致の両立を図ったより良いプランの実現を目指して、また、責任ある市民として、経済的な点にも留意しつつ、実りある討論の実現に努力して行きたいと考えています。