12月16日建設常任委員会での陳述


 12月2日に北鎌倉史跡研究会代表出口茂他3372名より提出された「緑の洞門(北鎌倉駅沿いの岩塊・トンネル)の保存を求める陳情」に関して、12月16日(火)、鎌倉市議会建設常任委員会にて、会の代表が陳述を行いました。以下にその内容を掲載いたします。

 

 北鎌倉史跡研究会代表の出口茂です。10分という限られた時間での陳述ですので、5点にわたって簡潔明瞭に述べます。

 第1に、私の陳述は、地元北鎌倉の多くの人々が保存を求めており、そうした大多数の声を代弁してのものです。陳情に添えた署名3372筆は、11月末集約として事実上10日余りで集めたもので、12月に入ってからも続々署名が集まっています。また、12月13日に開催しました「北鎌倉駅沿いの岩塊・同門(トンネル)の保存について考える集い」は、スリッパや椅子がたりなくなり、座布団を床にしいて参加いただくほどの大盛況でした。添付資料1のメッセージにありますように、こうした熱烈な保存をもとめる大多数の願いを尊重していただくようお願いします。

 第2に、新しく作成した、チラシ、ポスターにて、重要文化財「円覚寺境内絵図」を明示しましたように、円覚寺の結界として、かつ、東の朝比奈、西の山ノ内たる鎌倉の内外を隔てる境界として、緑の洞門・岩塊は、貴重な史跡として守るべき景観です。さらに、鎌倉ガーネットと呼ばれる美しく貴重な地層が見られるだけでなく、何よりも地元住民はもとより訪れる人々が愛でる景観としてとても大切な文化財です。かまくら景観百選、関東の駅百選の北鎌倉駅のランドマークであり、鎌倉の玄関口を象徴する大事な景観を後世に伝えられるよう特段のご配慮をお願いします。

 第3に、26年間緑の洞門の破壊を執拗に企んできた都市整備部の情報操作、破壊計画の不当性を糾していただきたくようお願いします。都市整備部は、自らが管理するにいたった年月を9月25日まで偽っていただけでなく、7月文化財専門委員会の議事録の改ざんまで行いました。また、昨年6月に洞門に接する地権者の保存を求める意見書を11月20日の第6回「北鎌倉駅裏トンネルの安全対策協議会」にいたるまで握りつぶしたままです。
 さらには、四半世紀を超える間、都市整備部は岩塊上部の間伐もせず、荒れ放題に放置し、落石防止ネットもせず、今にも崩れるといいながら安全対策を放棄してきました。添付資料2にありますように、「噂の現場」での放映では、市長をはじめ破壊計画に責任ある方々は誰一人登場せず、しかも都市整備部道路課は文書回答において、一方でトンネル破壊工事は「近隣の土地所有者の同意を頂かなくとも、可能である」といいながら、他方で「トンネルやトンネル付近は、地権者が複数存在し、市が管理する部分だけの対策では、安全を確保することはできません」と矛盾することを平然と述べ、26年間安全対策を怠ってきた責任を回避しています。

 第4に、第3回協議会に都市整備部が提案した「緊急仮設工事」、トンネルを内部から補強する3案について、「自動車の通行について検証を行い」「自動車の通行が出来ないことから・・・」(第4回協議会議事録)と語っていますが、これは虚偽であり、そのような虚構の上に開削案つまり全面破壊を是とすること自体が不当です。添付資料4にありますように、第2の案、ましてや第3の案で車が通れないわけはありません。実際、トンネルから大船側に5、6台の車が駐車しておりますが、一昨日そのうち一人の方が、洞門のところで、内部補強案で車が通れると証言しています。「北鎌倉駅裏トンネル安全対策の早期実現を求める陳情」でもまったく同様の虚構が語られています。付け加えるに、この陳情は協議会の会長と他4名で提出されていますが、協議会に参加している町内会12からすればあまりの少なさです。また陳情の理由では、「人身事故」や「緊急車両」のことなども語られていますが、大船警察や消防署に問い合わせたところ、過去5年間人身事故はなく、また消火栓は鎌倉よりにあってけっきょくそこから引っ張ってこざるを得ないなど、まったく説得力がありません。

 第5に、補強策で対応できる剥離や落石と、岩塊・洞門全体の崩落は別次元の話であり、今にも崩落するとの都市整備部の主張に信憑性はありません。添付資料3、4にありますように、都市整備部がサンコーコンサルタントに業務委託した図面と写真を比較すれば、目視のレベルで「トンネル推定破壊モード」の虚構性がわかります。JRのホーム側で4mほどの幅で支える構造が細く描かれ、岩塊の上部がおおげさにデフォルメされており、三次元的なアーチ構造の厚み・強さが何も評価されていません。
 私どもはこれまで土木や建築関係、学者など様々な専門家に相談し、証言を得、鎌倉市として緑の洞門を保存しつつどのような安全対策を図れるのか、三次元の模型からはじめて、対案を準備していきます。都市整備部は業務委託や各町内にカラーコピーを回覧して破壊を煽ったり血税を使い放題なのに比べて、私ども市民が対案を作り上げることはたいへんな負担です。たとえどれだけ大変な作業だとしても、「鎌倉市民憲章」が謡い上げる市民の責務として成し遂げる所存です。

 以上、私どもの陳情を採択されるよう切にお願いいたします。