野口先生は、「整体」ということを次のようにも言われました。
整体とは
いつどこででも
活元運動が
発動している
状態である
活元運動というものがきちんと出る体、それは正坐が正しくできる「上虚下実の身体」を目指すことです。それが整体を保とうとすることです。「自然治癒力を行使する」といっても、普段から基礎的な体力と身体感覚を養う訓練をして行かなければできないことなのです。
その上で、風邪などの症状をきちんと経過し、すっきりと気持ちよい体に戻った時、「身体が整った」と感じます。この時、症状が出る前の体は、偏っていて「整体」ではなかったと気づくこともできます。私等は、このようにして「整体である」ことを保持して生活しています。金井個人はこの道四十年、医薬の世話になったのはムヒを一回塗ったことだけで、体の持つ抵抗力により健康を保持しています。
(このことから、当会を「自然健康保持会」と名づけています。)
人体が物質化する理由は、体から心が離るゝためです。又心が一部分に滞つて感覚の伝導が公平に行なはれぬためです。ですから、全体が一つにならず、ために合目的性が発揮されない状態になってしまふのです。しかし、心滞ることなく、体の働き鈍ることなければ、人は如何なる障害刺戟にも反応し、抵抗することができるのです。毒を薬に変ぜしむる位、簡単なことです。冷い風とか、病菌とかにさう易々冒さるゝものではありません。毒物が何です、病菌が何です、私らは生きてゐるのです。
このように、体の抵抗力がきちんとはたらくには、心身がひとつのものとして保持されることが必要です。
人間の体を物質的に扱うのは、体を肉体、また、さらに人体として考えていると思うのです。
野口整体では、体をもちろん、肉体としてではなく、「身体」、それは「心身と言うべきもの」として扱っています。