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対話篇 |
金城一紀 |
『GO』で直木賞を受賞した、若手作家の最新中篇小説集。
"恋愛小説"、"永遠の円環"、"花"の3編を収録。
("花"は劇場映画化、"恋愛小説"はテレビ映画化されている。) |
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先日の『解夏』に続き、
「映画を観て感動したあとに小説を読む」パターン。
今回はオレの大好きな作家・金城一紀の短編集です。
(ちょうど一年前に発表されています。)
これまで発表された『GO』や
『レヴォリューションNo.3』『フライ、ダディ、フライ』は
はちきれんばかりの若さと前向きさで
逆境をモロともせず、グイグイ引っ張っていってくれるような
力強い物語でした。どれもが。
でも、今回の『対話篇』は少々トーンが違います。
歩いては立ち止まり、振り返る。
振り返った先には、何があるかというと
「死」が待っているだけ。
そしてまた歩き出す。
今回、物語は突っ走りません。
でもねぇ、やっぱり前向きなんですよ!
間違いない。人生は素晴らしい。 (『花』より)
オレの胸にズド〜ンと入り込んでくる言葉の数々。
キラキラした恋の一瞬と、
真っ暗闇の中にある死とが重なり合ったかのような
静けさが文章の奥底から湧き出てきます。
も〜う、キライになんかなれるわけがない!
これからも読みつづける本の中のひとつになるんだろうな。
個人的には、やはり、映画でも観た『花』がベストですねぇ!
たとえば、高校生なら高校生なりの、
若い社会人なら社会人なりの、
定年間近のオッサンならオッサンなりの感情移入ができる、
そんなお話になっていると思います。
結局のところ、
大切な人の手を探し求め、握り続けるためだけに
僕たちはうすのろな時間をどうにか生きてる。
ねぇ、そうは思わないかい? (『恋愛小説』より) |
posted on 2004.02.18 |
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