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幸運の25セント硬貨 |
スティーブン・キング(著)/浅倉久志ほか(訳) |
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『幸運の25セント硬貨』 このタイトルだけを聞いたら、 めちゃめちゃ「えぇ話」なのかと思うでしょ? いえ、たしかにそうなんですが、そうじゃないんです。
えぇ〜と、わかりにくかったですね。説明します。 この文庫本は、ホラーの王様・スティーヴン・キングの 短編小説集。 どの話も、まるでジェットコースターに乗ってるかのような 急展開でもって、スリル&サスペンス&オカルト満載なのです。 そんな中、唯一ハートウォーミングな一編、それが タイトルにもなった『幸運の25セント硬貨』だというわけ。
ちょっとダマされたような気もしました…。 (怖いのって苦手なのでね。)
しかし、読み始めてしまうと、そうも言っていられません。 なにせ、一度乗ってしまったジェットコースターからは 降りられないんですからね。 乗ったが最後! そこに待っているのはスティーヴン・キングの世界です。
もうね、ほんと、ジェットコースターなんですよ、 読んでるときの感覚は! ある瞬間、突如として悲劇に襲われたり、 自分の持つ数奇な能力に翻弄されたり、 ある出会いが徐々に悪夢へと変わっていったり。 "うわぁぁっ!"とか"あわわわわ…"とか "アチャ〜、そうきたかぁ"みたいな言葉しか 出てきませんでした。
特に、「ゴーサムシティで昼食を」という一編があるんですが、 これ、悲劇の上に悲劇が起こるお話なんですよね。 でも、その悲劇同士のベクトルは正反対なわけ。 片方の悲劇が突然降って湧いてこようが そして、その問題が解決したところで、 もう片方の悲劇には何の影響も及ぼさず、 悲劇は悲劇のまま(事態はさらに悪化して)続いてしまうんです。 なんつうか、その潔さというか、 「バ〜カ!それとこれとは話が別なんだよ!」 みたいな爆走っぷりが、怖いけど笑えるお話でした。
爆走あり、ひたひたと忍び寄る恐怖あり、 とにかく、物語のすさまじいどんでん返しっぷりに拍手! |
posted on 2004.06.24 |
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