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バードウォッチングのための
手作り8ナンバー車
(キャンピングカー仕様)
この車は排ガス規制のため、2005年12月に廃車となりました。


自分で作るぞ!

クルマを移動の道具だけにしておくのはつまらない。若い頃はワンボックスカーの後部座席を撤去して、通勤電車みたいなシートを作りつけ、大勢でワイワイ乗って楽しんだっけ・・・。

昔を思い出して、バードウォッチングに便利なアウトドア-向きのクルマが欲しくなり、我が家のライトエースワゴンを改造することを思い立った。わがトシを自覚すれば違法車という訳にもいかないので、問い合わせてみた。
「後部座席を撤去したいのですが、車検はとれますか?」
「とれません。ダメです」

アレコレいろいろ考えたが、どうにも規制が多い。任意保険の改造車規定も気掛かりなので、結局、キャンピングカーとして8ナンバーをとる方法が一番無難かな、ということに・・・・。

で、ウェブで調べた「8ナンバーの必須要件」を満たす前提で、自分のコンセプトを決めた。

   @後部空間を使いやすくするために、思い切って乗車定員は2人にする。
   A後部は「動く居間」。食事が出来て、宿泊は「一応」出来れば良い。
   B外観内装とも飾らず、使い勝手と機能を重視する。
   C収納スペースを大きくする
   Dなるべく手作りで、DIYを楽しむ。

(注意 : 写真は、撮った時期が異なるので、様子がマチマチです)

木工事開始

まず後部座席6人分を撤去した。回転座席は猛烈に重い。こんなものを常時積んで走っていたのかと驚く。
左端の茶色の棚は8ナンバー必須の調理台で、下部は引き出しと開き扉の、小物収納スペースに。

運転席後ろの木枠は寝具類の収納スペース。
右側の木枠スペースには、全面ベッドにするためのパネルと雑貨を収納する。

木工事はボク、カーテンはカミさんの担当。

延べ10日間で完成

ほぼ完成した写真。
ご覧の通りシンプルな構造で、
シンク、調理台、椅子(ベッド兼用)、テーブル。
最後部のシンクは、980円の風呂ポンプと 100円ショップのステンレスボウルを使って手作りした。
風呂ポンプのスイッチを押せば水が出る。

流し台内部には、8ナンバーの必須要件である10Lタンク2個(清水&汚水)を収納してある。

しかし使い勝手が悪く、後日改造した(後述)

テーブルは玄関用踏み板を加工して足を取り付けたもの。端材をくり抜いてカップホルダーも自作。
邪魔な時は付けたまま跳ね上げが出来るし、着脱もワンタッチ♪


テーブル下に松下電工のポータブル電源を設置。AC100VとDC12Vが使える。走行充電も可能な優れモノで、なかなか便利。

座面のマットは少し凝って本格貼りに挑戦。12ミリ合板に、フェルト+硬質ウレタン+ウレタン+布地、をタッカ-(ホビーホッチキス)で止めた。このマックス社のタッカ-は丈夫で重宝な道具だ(他社のはすぐ壊れる)。
収納部のフタを開けば、シンクと共に車外から使用可能な調理台にもなる。
まだ使ったことは無いがキャンプ時には便利かも。
最後部の隙間に折畳みテーブルが収納出来る。
ポータブル電源に繋いで、12Vの蛍光灯を2箇所に取り付けた。
はずせば車外まで引き出せる。

天井は手を加えておらず、少し殺風景かな。
テーブル横の椅子下には、ベッド用のマットが収納されている。
マット裏面には、はずれ防止用にペットボトルのキャップが留め付けてある。
これは適度な弾力性があり具合が良い。
マットを並べれば、たちまちベッドルームに早替わり。

フラット部分の大きさは前席をスライドさせれば、最長250センチ

後日シンクを低くしたので全面フルフラットになり横幅は146センチと広々した。
シンクを低く改造

これでベッド時には完全フルフラットになった。

また風呂ポンプ利用の給水は水ハネするため、素朴な重力方式(?)に変更これで電池切れの心配もナシ。
着脱式のアミ棚

ベッド使用時には脱いだ衣類などの置き場に
困るもの。空中に収納OK。


5ナンバーのまま利用開始・・・
使ってみて満足!

バードウォッチングの最適シーズンは冬だが、このクルマだと車内でヌクヌク食事が出来る。
食後はベッド状態にしなくても2人なら横にもなれる。

スコープの三脚を最長にしたまま積み込めるので、クルマで移動して乗り降りを繰り返すバードウォッチングには、機動性が良い。

野鳥はクルマを恐れないから、車内に三脚を立て、クルマをシェルター代わりに、お茶をしながら待ち伏せするのも楽しい。
フルフラットのベッド状態で、横になってヤマセミを待ち伏せしていたら、小春日和に負けて眠ってしまったこともある。ヤマセミは出なかったが(出たのかもしれないが)、気持ちは良かった。


波崎海水浴場にクルマを停めてお泊りテスト。
一人で広々と寝られたので、自宅と変わらぬ熟睡。
しかし、早朝に釣師の物音で起こされ、4時からのバードウォッチングになってしまった。

使ってみてつくづく感じたことだが、車内で手が洗えるというのは実に便利だ
アウトドアで汚れた手や、オヤツをつまんだ手がきれいサッパリ出来て、今はもうシンク無しの車など考えられなくなってしまった。
使い勝手がとても良い良いので、次回の車検時期までにキャンピング車の登録をすることにしよう。





8ナンバー取得体験記



構造変更とユーザー車検はワンセットで

構造変更の許可を貰うには、同時に車検も取り直す必要がある。
つまり、ユーザー車検も受けなければならない。
ウェブで調べた「8ナンバーの必要条件」は相手が法律なので、なんとか法律どおりに作業し終えたが、次のハードルは陸運事務所のお役人。
さあて何が起こるかな・・・


暇な時のお役人は親切だが

書類が難しそうなので陸運事務所で事前に入手。
インターネットは有り難いもので記入方法のページを発見して作成するが、それでも難しい。
そこで、空いていそうな日の、空いていそうな時間帯に陸運事務所を訪問し、暇そうな係員に尋ねることにした。

事務所の皆さんは親切だったが、自分の担当以外については「決して」教えようとしないのには驚いた。
民間企業であれば、「タライ回しにしないのが顧客サービス」と考えるところだが、ここは全く違う。
ヒマそうにお茶を飲んでいるだけの人が沢山居るのに、その件の担当の手が空くまで待つしかなかった。
今まで役所相手の仕事をしたことがなかったから驚いたものの、これはお役人流の責任体制なのだろうな。


陸運事務所

いよいよ本番の日。
9時に陸運事務所到着。
車検料1400円の印紙を購入し、検査表に貼ってもらう。
保険と税金を除けばユーザー車検の費用は、たったの1400円なのかと驚く。
ボクが知らなかっただけか。

この時点で、普通は税金も納入するのだが、構造変更なのでクルマの重量が分からない。
だから先に検査を○番ラインで受けなさいと指示され、書類一式を返してくれる。
カウンターの女性も親切だった。


検査ラインで構造検査

書類一式全部を、自分で持ち込んだバインダーに挟んで担当官に渡す。
担当官は書類をめくり、必要な書類を見つけ出して、なにやら記入したり捺印する。
実はこのバインダー、ユーザー車検の必須アイテムなのだ。
沢山の書類をグチャグチャに抱えた状態で、「○を出しなさい」と言われたら、パニクッてしまうこと請け合い。
○がどれだか、まるで分からないのだから・・・。
これはインターネット検索のお陰で、ホント助かった。


車体重量計測

車内に余分な荷物は積んでいないし、ガソリンは満タンにしておいたし、スペアタイヤは予め外しておいた。
これでクルマの重量が正確に計れる。
「スペアタイヤは降ろしていますね?」
「はい」
「ガソリンは満タンですか?」
「はい」
「じゃ、計量します。」
極めてスムーズ、これもインターネットのお陰。


続けてブレーキの検査

ローラーの上にクルマを停めさせローラーを回す。
そこでブレーキを踏ませれば効き具合が分かるのだろう。
インターネット情報どおり「床板を踏み抜かんばかりに」ブレーキを踏んだら、合格ランプが付いた。
ブレーキパッドが何ミリ残っていようが関係ない。
今機能していれば良い、というのが車検の考え方なのだ。
インターネットは神様だ。


前照灯の光軸テスト

自宅で点灯させて、クルマの前に立ったり、しゃがんだりして「合格」と判断してきたが、やはり合格だった。
もし不合格でも、すぐ隣にある民間の整備屋さんで調整して、急いで出直せば良い。
空いている日だからこその、余裕である。


いよいよ構造変更の検査

いろいろ調べられるものと身構えてしまった。
あらかじめ「8ナンバーの要件」を記載した法令を持参し、イチャモンが付いたら法令どおりであることを主張しなくちゃ、と思っていた・・・これはインターネットからの入れ知恵。

しかし、担当官は
「ベッドにしてみて下さい」
巻尺でベッドのタテヨコ寸法をサッサッとアバウトに測って、
「後部ドアを開けてください」
デジカメを出して来て、内部を一枚写真に撮っただけで構造検査はオシマイ。
ガクッ(肩透かし)。

何でだろう?
多分、保険と税金を逃れる目的の「エセ8ナンバー取得」が横行している中で、ボクのクルマは明らかに「まっとうな8ナンバー取得」であったのだろう。
考えてみれば、乗車定員8名を2名に減らすような「エセ8ナンバー取得」など、あるはずが無い。


ユーザー車検の検査ライン

どこに何が綴じてあるか分からないバインダーを返してもらい、残っている検査項目はユーザー車検の○番ラインへで受けるように指示された。
ラインへの進入指示ランプに従って乗り入れる。
窓から手を出して車種選択ボタンを押して進入。
既に済んだ検査項目はスキップして、下回り検査と、震度6ぐらいでクルマごと揺さぶる耐震(?)テストを受ける。
検査表を指定のプリンターに差し込んでデータ印刷し、担当官に検査終了印を貰って終了。


再び事務所へ

検査で重量が確定したので、重量税を支払う。
自賠責保険はあと1年残っているのだが、ここではそれが考慮されず2年分取られてしまう.。
重複分はあとで返還して貰えという姿勢。

おかしいのは自賠責の加入期間だ。
次の車検までは2年なのに、事務員が必ず「25ヶ月でよろしいですね?」と聞いてくる。
普通は検査前に自賠責の手続きをするので、万一不合格になった場合に備えて25ヶ月にするのだと言う。
24ヶ月払ってから不合格だと6900円が追加となるが、25ヶ月だと1050円で済むのだそうだ・・・よくワカラン。
ボクの場合は検査が合格済みなので「24ヶ月にしてください」と言ったらOKだった。
ご用心あれ。


やっと8ナンバーをゲット!

納税が終わったら、再び書類を検査ラインの担当官に持っていき、ハンコを貰う。
自動車保険の申告書を書き、ゴチャゴチャのバインダーを窓口に出して、ナンバープレート(1500円)を貰った。

知らなかったのだが・・・
ナンバープレートの付け替えは、自分でやらねばならない。
古い5ナンバーのプレートの封印を壊して取り外し、新しい8ナンバープレートを取り付けたら、担当官に封印してもらうという手順になっている。
担当官の仕事は封印だけ。

封印を壊すには大き目のニッパーが必要だが、工具を持参していないボクは立ち往生してしまった。
仕方なく手持ちのマイナスドライバーで、封印を突いて壊そうとするがなかなか壊れない。
担当官は無表情にボクの作業を見下ろしているだけ。
「工具をお借りできませんか?」と聞いたら、「置いていません」とニベもない返事。
じゃあ壊れるまで気長に待ってもらうしかないな・・・と駐車場の地べたに座り込み、封印をチマチマと削り始めた。

そのうちに、通りかかったツナギを着たお兄さんがニッパーを貸してくれ、ナンバープレートの交換が終わった。
新しいプレートを担当官に封印してもらい、全てが完了した。

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