オムニ今そこにある危機
それは、ドールズ解散式の日
ジアス軍残党の討伐も終わり各隊員も元の隊へ復帰しようとしている
その日に
「ハーディいよいよ解散ね。」
本日 12:00をもってドールズは、解散となる。
「ああヤオやっと平和になったわね、これからは戦場へ出ることもなくあなた達は、シュミレーション私は軍総省で書類整理の毎日よ。」
ヤオができるだけ甘い声で言う。
「ハーディその前にやることがあるでしょ」
「何のこと?」
ヤオがハーディの左手の指輪を指して言う。
「結婚よ結婚」
「フェイ!」
沈着冷静のハーディも真っ赤になった。
一息ついてハーディが切り返す。
「ヤオあなたはどうなの?お互い年なんだから」
「あたしは・・あたしは、とりあえずいいの!!!」
「ウフ ウフフフフ・・・」
「アハ ハハハハ・・・」
二人の笑い声が何も無くなった司令室に響きわたる。
この基地はすでに備品は取り外され、兵器は他の基地に移送が完了
あとは隊員が退去するだけになっていた。
ヤオが聞く
「ねぇハーディ結婚式には・・・」
その瞬間けたたましいローター音が一機のVLC2の到来を知らせた。
一人の将校が司令室に入ってくるなり敬礼をして
「ハーディニューランド大佐 軍総省から緊急指令書をお持ちいたしました。」
ハーディは、敬礼を返しシルバーの筒を受け取る。
将校は、受け取りのサインと受け取り時間の証明をもらうとそそくさと司令室を後にする
やがてローター音が高音になりVLC2の離陸をハーディ達に教えた。
「ハーディなんなの緊急司令って まして将校が伝書鳩なんて・・」
ハーディは答えず筒の開放作業にかかった
この筒は、特殊ロックが施工されている
まず眼網のチェックにて外筒をはずし指紋照合にて内蓋を開け
さらに司令官に与えられるキーにて内筒を引き抜き指令書を出すのである。
ハーディは指令書に一通り目を通すと矢継ぎ早に命令を与えた。
「ヤオ中佐!私はこれより先に軍総省に出向きこの指令書の内容と主旨を確認します。
あなたはこの内容を全隊員に指示した後、タカス中佐・ファン中佐・イグナチェフ中佐を連れ
軍総省まで出頭すること」
「また、あなた達が基地を離れる際は全指揮権をレイバーグ少佐に委任し航空管制指揮権を
フェリクス少佐に一任すること」
ヤオは、ハーディがすでに軍人の顔に戻っているのに気づくと敬礼を行い
「イエスサー」と一言いうとハーディを送り出す準備にかかる
「
キム大尉!大佐が軍総省へ向かいますヘリの用意を アイクマン少尉!大佐のお供を」
リサとフレデリカは、敬礼をし準備に取り掛かるが内心は二人共
「何であたしなの?これから解散式でおいしい料理も食べられるのに!!!」
ハーディについて行けば時間もかかるハーディのことだ
「解散式は後回しにして食事をして待っていろ」というに決まっている。
当然立食パーティで料理も無くなる。
あ〜あとため息を吐く二人であった
しかし、この二人が一番楽をしようとは・・
やがてハーディが準備を終わらせロビーを出た
ヤオが傍らより現れ指揮権の委任を終わらせると先ほどの指令書を受け取った
「ハーディきおつけてね。」
「ヤオそれじゃ後よろしくね。2時間後に軍総省で会いましょう。」
車は静かに発進するとリサの待つPHC50輸送ヘリへ向う。
ヘリの格納ドアより車をすべりこますタイヤにロックがかかりドアがしまる。
ローター音が甲高くなりやがて離陸した。
ヤオが全隊員指令を伝えるため指令書に眼を通すそして
「なんなの!!この指令は!」
ヤオが驚く!
ハーディが慌てて軍総省に出向いたのも無理はない内容だ
格納庫に用意された解散式の会場に全隊員を招集
ヤオは壇上に上がり全隊員に敬礼をする
その後ろには隊員に向かい合って
タカス・ファン・イグナチェフの三中佐が並びヤオの言葉に聞き入る
この三人はまだ緊急指令書の内容は報せられていなかった。
「みんなも知っていると思うが先ほどVLC2が着陸し土産を置いていったハーディ大
佐は、土産の確認に軍総省へ出向き私を含めた中佐四人もこの命令を発令後軍総省へ
向かう。」
全員が一瞬ハットしちょっとしたざわめき起きたが指令の内容を聴こうと静かになった。
静寂のなかヤオの声が響き渡り指令書の内容が朗読される。
「Detachment of Limited Line Service全隊員自分の専用ローダーを受け取り復隊せよ。
指揮権は土田禾人中将を最高指揮官としハーディニューランド大佐を基地指令とする。
隊の構成は、ヤオ中佐を隊長とするローダー戦技研究隊
タカス中佐を隊長とするローダー開発研究隊
ファン中佐を隊長とするローダー戦略研究隊
イグナチェフ中佐を隊長とする防空及び攻撃研究航空隊とする。
この指令は本日12:01を持って発令する。
基地の機能回復は、本日12:30より物品を搬入し今後48時間以内に終了すべし。
なお中佐以上の将校は13:00までに防空軍中将土田禾人の元へ出頭せよ。
以上 軍総省 総司令官 ジョン・f・アイクマン 防空軍中将ツチダ ノギト」
ヤオは一息に読み上げるとざわめく隊員を見渡して
「何か質問されても困るがなにかある。なければとりあえず物品の搬入準備に取かっかて頂戴あと30分しかないのよ。私たちがいない間全指揮権をレイバーグ少佐に委任し航空管制指揮権をフェリクス少佐に一任します。ラザフォード中尉は私たちを軍総省まで送って頂戴」
「中佐・・」
「何パーシング大尉」
「搬入は、私たちだけでやるんですか?」
「そうよ何か不満でもあるの?」
「ここ今何にもないですよ、運び込むっても手でやるんですか?」
ヤオは黙って天井を指し
「あれがあるじゃない」
それはこの基地と一緒に廃棄されるはずだった天井クレーンである
「あんなんじゃ何時間やったっても終わりませんよまして滑走路までワイヤー延ばすの大
変だし」
「大丈夫よ禾人お兄ちゃん、ちゃんと先に道具おろしてくれるから・・」
全員がえ〜っと言う顔しナミが言う
「フェイ 禾人お兄ちゃんて・・」
ヤオが眼を剥き顔が一瞬にして赤くなる
そこへPHC50輸送ヘリのローター音が響き渡り着陸、全員がヘリを見つめる。
ヤオにとっては誤魔化すのには丁度よかった。
最大に開いた格納扉からパイロットが入ってくると
「ニューランド大佐殿はお居られますか?簡易航空管制システムとテレックス及び無線機を届け大佐殿及びヤオ中佐殿タカス中佐殿ファン中佐殿イグナチェフ中佐殿を御連れするよう土田中将殿より命令を受けてまいりました。」
ヤオは、受け取りを済ましラザフォード中尉に先ほどの命令を撤回するとPHC50輸
送ヘリにナミ達と共に乗り込んだ全員が見送る中ヘリは離陸した。
ヤオたちが出発するとすぐにジュリアが
「ぐずぐずしないで準備にかかりましょう。セシル管制塔を一時の司令所にして器材を
搬入して頂戴。」
「そうね早くセットしないとみんな落ちちゃうわ。マリー・メリサ手伝ってあとミノルも」
器材を台車に積み管制塔に向かう。
「マフィ、メインのブレーカー入れてきて頂戴全ての電源回復しないと」
「セルマ班とマーク班に分けて二機同時に荷卸しましょうそれぞれ無線もって」
「ジュリア少佐ほんとに手作業ですか?」
「エイミー、ヤオ中佐が言っていたでしょ禾人お兄ちゃんが先に道具降ろしてくれるって」
それを聞いてエイミーが笑い出す
「禾人お兄ちゃんていったときの中佐の顔ったら」
エリィが
「まるで夢見る少女状態」
マーガレットが
「中将の前に出たらぶりっこしたりして」
「そうそう中佐のこと知らない人ならかわいいと思うかも」
「でもさーそれって『いいかげんにしろよ!いい年こいて いつもいつも人のことシゴキや がって』て感じ」
一同大笑い、しばらくの間話題には事欠かないだろう
セルマが
「中佐だって女の子だから・・」
「でもーセルマ大尉〜もー女の子って言う年でもないし」
「ネェネェ土田中将のあだ名 調教師とか猛獣使いとかいいと思わない。」
「そっれって名案よ。」
「あなた達いいかげんにして!!準備にかかりなさい!!」
セルマはヤオのことをあまりにも言われ過ぎて切れる寸前
でも「中佐と中将の関係って何だろう・・」セルマは気になった。
管制塔では
「どうマリー セットできた」
「今アンカー打っているところ」
「メリサ 無線とテレックスの準備はいい?」
「はい準備すみました。」
テレックスのスイッチを入れる
出てくるわ 出てくるわ搬入リストの山また山
それを見てげっそりするセシルであった。
それじゃと次とばかりにセシルは3人に誘導灯とヘッドホンを渡す
「なに私たちが誘導員なの?」
「そうよ流石に素人に任せられないからそれでミノルにも手伝ってもらうのよ」
「そう言えばミノル元気無いわねどうしたの?」
「土田中将が来たら私きっとドールズウイングに回されちゃう。ローダーの方がいい」
「ミノル土田中将 知ってるの」
「空軍時代の上官です鬼です悪魔です・・あ〜ん」
ドールズウイング隊員が中将て・・・一瞬ヤバイ考えが過ぎった。
「そろそろ時間ね」
無線でジュリアを呼び出すと
「ジュリア司令輸送隊の着陸許可を」
「司令は止めてよ」
「いいじゃない今後呼ばれるかわからないんだから」
「ハァ〜着陸を許可します。」
「それじゃジュリア司令上に来てテレックスの整理して降ろす順番指示して頂戴」
「わかったわ」
ジュリアは、格納庫を後にし管制塔へ向かった。
軍総省ロビーではアイクマンが土田中将への面会手続き行っていた。
「ハーディ大佐 土田中将はこちらにおられないそうなんですが?」
「どちらに出かけているか言っていっていなかった?」
「はい でも今将校の方がこちらにいらしてくれると」
「そうか」
数分後
「ハーディ大佐」と呼ぶ声に振り向く
そこにはハーディも顔見知りのノエル ノルン少将が立っていた。
「ノエル少将」
ハーディは敬礼をする
「ハーディ知らない中じゃないんですからかたっくるしい挨拶は抜きにいたしましょう。」
「はい」
「ところでほかの方々はどういたしました?お迎えに上がらせた筈なんですが」
「中将にいただいた指令書があまりにも急な内容だったもので、先に確認に来ました。」
「そう・・でも あの人の執務室は大統領官邸に移されたんで皆さん揃って来ていただいた
方が宜しかったんですが」
「大統領官邸??」
「ええもう一年になります。何をやっているかもよく分からないんですよ。家に帰って来
ても何も話してくれないし・・ハーディあの人にちょっと言っていただけません。」
といわれても二人とも自分より年上である
また、オムニ軍では異例の出世をとげた最年少中将その年36歳
「ハア」
ノルン少将はおっとりとしていてもいい軍人には違いない
だが時々とんでもないことを言い出すとハーディは思った。
「少将ただ今連絡がありましてDOLLSの方々が空港に着かれたそうなんですが」
「わかりました。ハーディそれでは官邸まで送らせましょう。」
「いえ大丈夫です。車で来ているものですから」
傍らに立つアイクマンがぺこりとお辞儀をする
「では官邸に入れるよう連絡を取っておきます。」
「よろしくお願いいたします。」
ノルンは連絡を取るとハーディの見送りに出てきた。
「今度家のほうにでも皆さんで遊びに来てください。彼も喜ぶと思います特にフェイちゃん
が一緒なら」
「ヤオですか?」
「はい」
ハーディは不思議に思ったが
「はいノエル少将それではまた・・」
車が発進するとフレデリカが
「大佐 中将と少将の関係ってご夫婦ですか?」
「そうだ名前は違うがな 仲のよいご夫妻と聞いている」
遠ざかる車を見ながらノエルが一言つぶやいた。
「彼がまた彼女たちに地獄の門をくぐらせようとしているのね・・」
一生乗れない筈の大統領専用リムジンに彼女達はいた
「ウフ ウフフフ・・」
「ねぇファンなんか恐くない」
小さな声でナミが聞く
「ちょっとね」
エリオラは見て見ぬふりをする。
「禾人お兄ちゃんウフ ウフフフ・・」
「フェイどうしたのよ?土田中将とどうゆう関係なのよ気持ち悪いから教えてよ」
「禾人お兄ちゃん?・ウフ ウフフフ・・ナミそれは ひ・み・つ」
腿の間に手をはさみ小首をかしげ にやけるヤオ
ちょっと普段と違う?フェイルン達を乗せ車は一路官邸へ向かっていた。
大佐達を待つキムはあまりにも暇だった。
ドッテ!!
「いた〜い!!」
リサは、ヘリの中で眠っていて荷物の上から落ちたのだ
眠い目をこすりながらあたりを見回し背伸びをすると
「おなか空いた〜」
一言いうと基地の食堂へとことこ歩いていった
今、基地ではパーティが行われているものと思いながら。
DOLLSの基地は鉄火場と化して全員が切れる寸前だ
「キャ〜何なのよも〜」
荷物を抱えて走る走る
「ヤオ中佐〜 何が禾人お兄ちゃん道具降ろしてくれるのよ!!」
アリスが邪魔臭いとスカートの縫い目を破き走り出す
「アリス ナイスアイデア 」
他の隊員達が真似をする
「まったくまだ4機目よ後24機待機しているなんて!!!」
「早くしないと落っこちるて、管制塔から指示するのもいいけどこっちの身にもなってよ
まったく」
「ヤオ中佐!!!ちゃんと連絡とれてるの!!!」
セルマが天に向かって叫んだ。
「あ〜おなか空いた〜も〜だめ〜」
まだ昼食を取ってない。それでいて
「ジュリア司令!!こちらセルマもう下は限界ですなんとかして下さい!!!」
「こちらアヤセもう飛行場はいっぱいになりました。」
「こちらセシル上から確認するがもう少し詰まられる再度調節せよ。」
「フェリクス少佐もう無理ですよ牽引用ローダーでもなければ調整出来ません!!」
「ジュリア司令!!」
の連発である。
「ジュリア! 大佐達と連絡つけないの?ほんとに限界よ!後2時間ぐらい飛べるのは旋回で
待機させているけど」
「Dolls管制こちら輸送機211号当機の着陸の許可を要求する。」
「こちらDolls管制 下は満杯だもうしばらく旋回待機を願う。」
「こちら輸送機211号当機はすでに当エリアにて2時間の待機をしているもって後20
分だ」
ジュリアとセシルは顔を見合わせ焦った私たちのミス!!
「セルマ!!直に一機飛び立たせておっこちゃう!!」
「ジュリア!!書類確認して何号機から降ろしたっけ!!」
「212号機!」
「書類が212号機からなのよ!!」
セシルがあたりを見回し
「ジュリア!そこの下!」
一枚のテレックスがジュラルミンボックスの下にあった
「211号機あった!」
書類を見てジュリアは凍り付いた。
「こちらセルマ216号機完了しました。」
「こちらDolls管制216号機離陸して下さい。」
「ジュリアなにやってんの書類見せて!」
セシルはまっ白になった。
二人の考えは同じ「マズイ!ヤバイ!!袋叩き!!!」
二人は視線を合わすとお互いさめた笑いを交わした。
ミノルが誘導灯を振り216号機に発進合図をする
逆側から211号機が進入し着陸。
パイロットは、降りてくるなりミノルを捕まえ
「バカヤロウ!!何やってんだもう少しで落ちるところだ!!」
あくまでも冷静なミノル
「機を端に寄せて下さい。他の機が離着陸できません。」
「もう燃料がなくて動かせん!!」
ミノルとパイロットのやり取りを聞きセルマ達が駆け付け取り囲む、セルマとパイロットの言い合いが始まり、それを聞いていた周囲の隊員は「壊れたコンピュターは恐い」と思った。
マークの班は見て見ぬふりをし、他の機体から荷物を降ろしていたがそこへ
「少佐すみませんがサインをお願いいたします。先ほどからあなたの隊の大尉と内の隊長
がもめてまして」
「まだやってるの」
「はい簡単な輸送とのことで動いてましたが、まさか2番機から降ろすとは、燃料なくなっ
て、いや〜ビビりました内の隊長けっこう操縦上手いから助かったけど丁度からっぽ」
「ちょ ちょっとまってどーするのあの機体端に寄せられるの?」
「ペイローダー積んできてますので牽引すれば大丈夫ですよ。」
「ペイローダーって!積み荷は何なの!!」
搬入リストを眺めると「ハァ〜」とため息を吐いて大きく息を吸い込むと無線に向かって
「このドジ!!ナニ見て仕事してるのよ!!ふざけてるんじゃないの!!」
マークが切れた!睨み付ける様に管制塔を見上げるとペコペコ頭を下げる二人の姿があった。仕方ないかと言う素振りをするとマークはセルマ達に寄っていく
「セルマ大尉」
「マークちょっと黙ってて あんたね・・」
まだパイロットに絡んでいくセルマは意外としつこい
「セルマ大尉!!」
「なによ!!まだ言いたいこと半分なんだから!!」
みんなが「まだ言うのかパイロットがかわいそうだろ」と内心思った。
「みんなお腹空いていらついているんだからもう一寸大人しくやりましょう。セルマ大尉
あなたの班から食事にして頂戴」
「ピアスン少佐ちょっとまって早く荷物降ろさないといけないのに私たち休憩したらまず
いんじゃないの?」
「それが大丈夫なのよ・・」
後ろからクラクションが鳴りエイミーが手を振っている
「皆さんツナギと作業靴おもちしました。」
エイミーが乗っているのはカーゴローダーACL-2荷台には作業着作業靴ヘルメット
セルマが目を丸くし尋ねる
「どっから沸いたの?」
「俺の機が積んできた資材だよ!あとフォークリフトとクレーン!俺の機が最初に降りら
れるって中将に聞いてきたんだけどよ!」
一瞬の静寂・・いったい誰が悪いのか・・・猛獣使い・・ちがう・・パイロット・・
ううんこの人大事なもの積んできた英雄今の状況では支援砲部隊よりも頼りになる。
全員が一斉に管制塔を見上げた。
「あ!!逃げた!」
しかし、逃げられるはずが無い管制塔を離れる訳にはいかないのだ
二人はしゃがみこんで話し合っていた。
「どうするのよ!ジュリアあんたがちゃんと見ないから!」
「なにいってんのよ!スイッチ入れたのあんたでしょうが!」
「しかし、言い合っていても仕方ないこうなったら誤魔化すわ!!」
ガラス越しに二本の手を出し振り出すやがて姿を見せては引っ込める
まるでシンクロナイズドスイミング引きつった笑いでぺこぺこお辞儀をする
みんながそれを見てあきれた。
「それでは、ピアスン少佐 セルマ班45分の休憩に入ります。」
「隊長さん先程は申し訳ありません、一緒にお食事でもいかがですか?」
大人しければセルマほどの美人はザラにはいない、
輸送隊長は機嫌を直し付いて行った。
食事といえばパーティの為に用意していた料理だ
セルマがみんなに一言注意した。
「あなたたち意地汚いんだから、一言いいますけどみんな食べちゃ駄目よ、ちゃんとマークの
班の分残しておくのよ。」
いちお みんなうなずいた。
セルマは気を使ったのだマークが後の休憩を選んだから
「ねぇ・・マギー」
「何によ」
テーブルの下を指差す、そこには口の開いたワインがあった。
「エリィあんた飲でんのそれってまずいわよ!まだ作業中よ!」
「チョットぐらいわからないわよ。」
しばらくマーガッレトは考えたが
「それもそうね!私にもチョット頂戴」
しかし、軍人にとって任務中に酒を飲むなど言語道断、
感の良いセルマは怪しげな二人を見つけると。
「あなたちなにしてるのかな〜?」
「あの セルマ大尉もお飲みになります?」
「ばかもの!!エリィ軍曹!!マーガレット准尉!!すぐに腕立て伏せ500回始め!!!」
マーガレットは肘でエリィを小突きしぶしぶ腕立て伏せをはじめた。
「こちら管制塔、セルマ大尉あの食事持ってきてもらえませんか?」
運の悪い二人だったエリィが飲まなきゃ少しは機嫌がよかったのに
「何!!食べたいの!食べたきゃ下きなさいよ!!みんなの顔見られればだけど!!!」
まだ ほとぼりは冷めてはいない。特にセルマは・・・・・・
みんなが食べながらやっちまえの合図をセルマに送る。
「あ やっぱり 大丈夫お腹も胸もいっぱいだったわ。」
「そーでしょ そーでしょ!みんなが作業終わるまで大丈夫よね!!」
ふん!と無線を切るとセルマはチキンの足を引き千切りかぶりついた。
管制塔では
「ねーセシルなんか無い」
「あるわけないでしょ!」
「あ・・」
セシルはポケットから一枚のガムを出すと半分ジュリアに渡し噛み出すと、二人ともぽけーっとマーク達の作業眺めた。
ヤオ達は、官邸の前にいた。
「ここどこ?」ヤオはたずねた
「フェイあなた今乗ってきた車、なんだったっか分かてる?」
ナミが言うとフェイルンは首を横に振っる、
三人は頭を抱えた。
「フェイルン 大統領官邸だ。」
「ハーディ大佐」
ハーディの車が丁度ついた
「何だ、フェイ自分が何に乗ってきたのかも解らないのか?」
「え、ええ」
「そりゃそうですよ大佐、フェイったら『禾人お兄ちゃん・うふ うふふふ・・』のしっぱな
し もー気持ち悪いたらありゃしないんですよ。」
とナミが言うとハーディが駄目を押す
「せっかく大統領専用リムジンに乗れても ヤオには関係ないと言うことか」
ファンまで面白がってからかう
「まったくエリィじゃあるまいし意外なフェイの一面見せてもらったな」
「な なに 良いじゃない・・べつに」
ヤオは一瞬後悔した 大統領専用リムジン!
『もっと観ておくんだった・・・・・』
官邸から一人の男が現われ傍らに来ると
「ハーディニューランド大佐殿ですか?」
「そうだが?」
「どうぞこちらへ中将が待ってます。」
ハーディ達は付いて行くが途中
「そちらの方 中佐殿以上の方しか面会できませんのでこちらの部屋にて待ってください
いま食事と茶をお持ちします。」
アイクマンは別室へ入って行った。
しばらくいったところのドアをノックする
「こちらです。土田中将、dollsの方々をおつれしました。それでは私はこれで失礼します。」
男は人を馬鹿にしたような態度で去って行く
さっきからそうだ一寸ムットきた。
やがて部屋の中から
「どうぞ」と
一言あるとハーディは扉を開けようとした
しかし、ヤオがチョットまっての仕種で止めた。
バックの中よりファンデーションを取り出すと化粧を直し出す。
ハーディが
「フェイ、熱でもあるのか?」
ナミが
「フェイルン、ほんとどうしたのよ?」
ファンが
「禾人お兄ちゃん・うふ ふふ・・なんとなく解るなそんなに好きなの?」
フェイルンはにやつくばかり
だが一言
「14年ぶりなの・・」
いままで無言だったエリオラが
「土田中将て空軍じゃかなりの鬼で通っていた人、フェイちょっと気持ちを変えた方良いと
思うわ。」
「開けるぞ」
フェイルンはこっくりとうなずくとこれは無いというぐらいの笑顔をする
「失礼します。」
戸を開けるとぷーんと酒の匂いが鼻を突く
髪はボサボサ無精ひげ服はよれよれの男が正面に座っていた。
全員が? 鬼? フェイルンが夢中?ヤオに至っては?????状態
「土田中将殿でいらしゃいますか???」
「そうです。ハーディニューランド大佐」
禾人は千鳥足でハーディ達に近づくと握手を求めた。
「中将、あの指令書の内容に付いてなんですが・・・・・・」
禾人は、ハーディの言葉を遮ると
「食事まだでしょ用意させますから」
禾人は電話をかけると隣のミーティングルームへ行くよう皆に促した。
「禾人お兄ちゃん・・・・・・」
フェイルンは小さな声で呼びかける
「フェイ久しぶりだなぁ14年ぶりか、おまえが小学生のころにあったのが最後だったなぁしかし、美人になったな、あのおてんばが・・・・」
「お兄ちゃん 変わったね・・・・・」
「そうか・・・」
小さい頃の思い出がヤオの頭を過ぎる
近所のツッパリお兄ちゃんでカッコよかった
そして父の教え子で私にはやさしい・・・・
「時間が経てば人は変わる・・さあ食事にしよう」
音を立てて汚らしく食べる兄
周りのさげすんだ目も気にせずウィスキーの瓶を開けると
「飲みますか?」
「いえ結構です!」
強い口調でハーディが断る。
「そうですか」
瓶に口を付け飲み出すヤオはだんだん悲しくなってきた
ヤオの心の中で大きく膨らんだ兄の姿が一気に崩れ落ちる・・・
「ところで中将あの指令書の内容は・・・・」
ハーディが切り出すと禾人は隣の部屋に移り自分の椅子にかけると
「dollsに次の大統領候補の宣伝をやってもらおうと思って。ジョニー・K・アイクマン
次期大統領候補、俺の親友なんだぁ。」
「緊急司令とはそんなことだったんですか?」
ハーディが呆れ返る。
「うまくと行くと俺は大将になれるんだ・・・・ふ ふふふふ・・・」
禾人の話に対して父の言葉を思い出す
「あいつは俺の教え子の中で最高の兵士いや戦士だな、自分の理想と思いだけで戦ってる。オ
ムニの為じゃない、おまえとの約束を守る為だけにだ。」
なんで ・・・・・禾人お兄ちゃん・・・・・なんで・・・・・
「お断りします!dollsは軍隊です!マスコットガールの集団ではありません!」
落ち込むヤオの隣でハーディが声を荒げた。
「ふっ それは無理だ、この提案にはジョン・f・アイクマンあいつの親父が絡んでる。いや
なら軍をやめることだ。軍に居る以上、上官に逆らうな!」
権力を振りかざし、更にくだらない任務に就いて話し出した。
「派手に行こうエリオラ中佐の率いるアクロバットチームだろ、フェイルン中佐にはローダーによるアクロバット、それでだタカス中佐、君には空飛ぶローダーを作ってもらう、えーとどこにやったかな?あのゲーム地球の古いやつなんだが・・・あった!じゃ見てくれ」
大統領を狙う男
狙撃に失敗すると別働隊に指示をだす
トラックの上が開き飛び出すマシン
タンクローリーの後ろが飛び発進するマシン
乗っ取られたマシンと戦う女性兵士を乗せたマシン
バーニヤをふかし飛び上がる敵
肩のミサイルポッドが連射される・・・・・。
ナミは馬鹿らしいと言う仕種で観ているが禾人は興奮しながら
「どうだタカス中佐!こういうの作って派手に行こう!!そうだ!dollsにはトップレス
で肩に乗って・・・・・・」
「馬鹿!禾人お兄ちゃんの馬鹿!何言っているのよ!!なんでそんなになちゃたのよ!!」
禾人はヤオを上目使いに見上げ
「フェイ金だよ・・いい服きて、いいもの食って遊び暮す、安心しろおまえ達にも倍の給料を出せるよう工作してある。」
「そんなことじゃない!あたし達は、オムニの為に戦ってきた!あんたが考えてるような部隊じゃない!!!!」
「だがフェイルン中佐dollsが制圧した基地等の記録が無い、かなりのデカイ作戦をこなしても勲章もなし、全て上の人間次第所詮女の部隊じゃ・・・俺ならおまえ達を・・・・・」
「もう聞きたくない!!」
フェイルンは拳を握り締めうっすら涙を浮かべた
「フェイルン・・・」
ナミが立ち上がりフェイルンを慰めようとする。
「隙あり!!」
禾人はナミの尻を触った。
「キャーアーー!!」
バッシーン!!! フェイルンの平手打ちが禾人の左の頬を直撃する。
「痛てなぁ〜」
フェイルンは禾人を睨み付けると部屋を飛び出した、3人が後を追う
「ハーディ大佐、追わないのか」
「あの三人に任せれば良いそれより貴方だ中将、私は貴方を許せない!!!」
所詮女・・・自分を馬鹿にされただけなら我慢もする
dolls隊員を馬鹿にされフェイルンの心まで踏みにじる行為に怒りを露わにしたのだ。
「好きにしろ・・・・」
禾人は椅子に座るとサングラスをかけ窓の外を眺める。
ハーディは怒りの視線を禾人に浴びせ掛け続けた。
ヤオが化粧室に駆け込んだ
後を追って駆け込む三人
何事かと先ほどの男が顔を出した。
フェイルンは洗面台に両手を付き涙を我慢していたが、やがてナミの肩に顔を付けると
「ナミ、ごめん少しだけ肩貸して・・・・・」
フェイルンは声を押し殺して泣いた。
そして小さな声で禾人について話し始めた。
「あ〜あ 残り15機か・・・」
エイミーが言うと
「全部着陸できたから私たちも休憩しましょう。dolls管制良いわね!!」
「はい!結構です。」
流石にみんなローダー乗りだけのことはある一機5分足らずで荷卸をした
211号機さえ一番に降りていれば悔やみながら格納庫に入って行く
「マギーにエリィなにやってんの?」
ミキが聞いた
「話し掛けないで・・・疲れが増すから・・・150.151.152」
セルマは答えた
「その二人任務中にもかかわらずお酒飲んだのよ。」
セルマは着いた荷物の中よりラップトップを取り出し何やら打ち込んでる
「セルマ大尉、何しているんですか?」
エイミーはサンドイッチを片手に画面を覗き込む
「土田中将に付いて調べてるの」
よく観るとラップトップに無線を取り付け軍のメインコンピューターにアクセスしている。
セルマは周りに聞こえるよう読み上げた
「ツチダノギト防空軍中将 36歳 少年工科学校特殊戦闘科課程終了後、航空コースに進む卒後、防空軍第三戦術戦闘航空隊に入隊5年後中佐になり航空隊長に就任翌年、戦略空軍空挺特殊機甲師団、第一大隊スコルピオン隊に転属4年後隊長に就任少将になる同時に戦技研究班の担当を兼任、えーと父親はツチダヒロト現防空軍司令官、故郷はヤオ中佐と同じ住所はすぐ側じゃない! 」
セルマは士官学校時代フェイルンにクリスマスカードを送った事がありヤオの実家を覚えていた。
セルマは更に検索を続けるそして大きな声を出し、
「14歳のとき4人殺害!!!」
全員の行動が一瞬止まりセルマの周りに集まってくる。
マギーとエリィも寄ってくるが
「あんた達まだ終わってないでしょ!!後300!!」
セルマは数えていた。
「何なのその4人殺害て?」
「チョットまっていま調べてる。えーっと当時の新聞記事があるって表示させるから見出しは14歳の不良少年テロリストと格闘の末犯人を射殺、大統領を救う。えぇ〜〜〜〜!!記事の内容は、土田禾人君14歳はノエルノルンさん14歳、キリカノルンちゃん5歳、ヤオフェイルンちゃん5歳と4人でオムニ移住記念日のパレード見物に来ていたところ、後方より群衆に忍び寄った反オムニ政府組織ガイアのテロリスト2人より銃撃を受けた。禾人少年は三人を庇ったがノエルさんは腹部に銃弾を受け、キリカちゃんフェイルンちゃんも手足に被弾、禾人君も足に銃弾を受けたが果敢にもテロリストに飛び掛かりもみ合っているうちに暴発しテロリストの頭部を貫通又、銃を奪い取るともう一人のテロリストにも反撃大統領のパレードカーにロケット砲を発射しようとしていた2人に対し発砲射殺したこの時の死傷者は25名禾人君の活躍が無ければもっと増えていただろう、か。」
ディスプレイ上に禾人達4人の救急車に乗るところの写真が表示された。
「スゴーイ!オールバックメッシュいれて、ねぇミキこの服になんて書いてあるの?」
アリスがたずねた。
「げ!完全なツッパリじゃん、喧嘩上等、御意見無用か、へぇ〜今時いないよこんなやつ」
セルマは禾人に抱えられるヤオとキリカの姿と禾人の心配そうな表情を見つめていた。
「セルマ大尉、ノエルノルンさんてひょっとして海軍のノエル少将?」
ミキが聞いた。
「あ!そう言えばこの話聞いた事がある、ノエル少将にお腹の傷尋ねたときフェイルンとの事も教えてもらったっけでも土田中将の事はいってなかったな」
セルマは片肘をテーブルに付き
『ヤオ先輩にとって近所のお兄ちゃんで自分を助けてくれた王子様ってところか』
とディスプレイを見つめながら思いを巡らせていた。
「・・・・で救急車の中であれが言ったのよ『これからもどんな事してもおまえ達を守ってや
るって』・・・・でも・・・・でも・・あれじゃ・・駄目・・ね・・・・もう・きっと忘れ
てる・・」
フェイルンは涙で言葉を詰まらせた。
「フェイあなたらしくないわ。しっかりして!ほんとにもうこんなになちゃうなんて」
ナミがフェイの肩を抱きながら慰める。
「しかし、いったい何があったんだろう、4・5年前にあったときとはぜんぜん違う」
「エリオラ、あなたあれ知ってるの」
ファンがエリオラに情報を求める
自分なりに禾人に付いて分析しようとする。
「戦略空軍空挺特殊機甲師団、第一大隊スコルピオン隊司令官兼隊長」
「何、空軍最強の特殊部隊の司令官!!あれが!!」
「そうだ、オムニシールズ、グリーンベレー以上に過酷な任務ばかりを扱ってきた超一流の戦闘制圧部隊でも最近はあまり噂を聞かなくなったな。」
「じゃあ、かなりの堅物だったわけ。」
「そんな事はない逆に柔らかすぎたぐらいだ、側を通る女子兵士お尻をさっわては喜んでいる
様な、私も触られてナイフで格闘した事があった。」
「でもよくセクハラで訴えられないわね。」
「口癖は、『訴えても良いぞ明日俺死んでるかも知れんけど』『さわらしてもらった以上おま
え達を守ってやる』って現実私も助けてもらった事あったな輸送中敵に追い回されたときだ
った戦闘機で救援に来てくれたっけ」
「戦闘機も乗るの?」
「戦闘機、戦車、潜水艇、ヘリ、パワーローダー、宇宙船以外は何でもそれがスコルピオン隊
のモットーその上格闘術と何か一つ特殊な技能が無ければならないそれが隊員の最低条件
ま、特殊技能ていっても酒が強い、芝居がうまい催眠術ができるとかだけど」
「へえ〜」
フェイルンは『あいつ凄かったんだ・・・』心の中でつぶやくと涙をぬぐい
「もう・・もう・戻ろう。」
「フェイ大丈夫なの?」
「大丈夫、あんなやつもう関係ないわ。」
「そう」
強がるフェイルンを先頭に4人は化粧室を出た。
禾人は立ち上がりグラスに氷を入れウイスキーをなみなみと注ぐ
「中将!!あなたはフェイルンを泣かせ何とも思わないのか!!私はあなたとフェイルンの関
係を知らないが彼女が涙を流すなんてよっぽどの事だ!!!」
「う〜んそうだなdollsのヌード写真集もいいな。」
禾人はまったく別の考えを話し出す
「な、なに!!いい加減にしろこのスケベ野郎!!!」
ハーディは右手を大きく振り上げ禾人の顔めがけ振り下ろした
禾人はその手を掴み体を入れ替えハーディを壁に押し付ける
ハーディから禾人の肩越しに明けっ放しになったドアの向こうを何人かの人が行き交うのが見えた。
「良いのかさっきから人に見られていて?あなたの立場が無くなるんじゃないのか?」
ハーディは禾人を牽制した。
「構うかこんな良い女が前にいて我慢するのも限界だし」
禾人は胸に手を持って行く、ハーディは禾人の手の行方を目で追う
「な・なんなの!」
次の瞬間、禾人の体が宙を舞い左肩より落下応接用のテーブルを破壊した。
立ち上がろうとする禾人を目掛けヤオの踵落しが炸裂
更に襟首をつかみ鳩尾に膝蹴りを入れる。
「やめろ!ヤオ中佐!!」
「ハーディなんで止めるのよ!!」
「いいからやめろ!仮にも中将だぞ!」
フェイルンは襟首を放さず睨み付けた。
「ヤオ中佐、俺は中将だ敬ってへつらえ」
禾人はヘラヘラした態度でフェイルンを見つめる。
「わかったわ。」
「ぐぇ!」
フェイルンは手を放す瞬間に再び鳩尾に膝蹴りを入れたのだった。
暫くすると禾人は立ち上がり脱臼した左肩を手近な壁に肩を叩きつけ直した。
フェイルンは肩で息をしながら
「dollsを使わないほうが良いんじゃないこんなのばっかよ!」
「構わない怒ったフェイルンもかわいいなぁ」
「なに!なに言ってのあんた!!!」
電話が鳴り禾人が出る。
「おう、そうか今そっちへ行く」
際ほど注いだグラスのウィスキーを飲み干すと
「ジョニーの部屋へ行くぞ」
ハーディは黙って付いて行くが
「ハーディ大佐、私達はこの命令を拒否します。」
後の三人も肯く
「私の命令でもか?」
「なんであんなやつの命令を聞くの?貴方襲われそうになっていたじゃない」
ファンが聞くと
「私は給料2倍ほしい」
ハーディはいとも簡単に言ってのけた。
「そんな・・・」
「私も給料2倍欲しくなったな」
エリオラはウイスキーの瓶を置く
「ま、行こう」
ハーディの命令だという事でしぶしぶとヤオ達は付いて行く事にした。
「ジョニーーー俺だーー入るぞーー」
扉を開け入ると一人の男が何やらディスプレイを覗き込み考えを巡らしている。
「お!禾人もういいぞ、やつは官邸を出た」
禾人は、顔を拭きながら
「15分以内に奴が馬脚を露さ無ければ大統領の緊急発表に間に合わないぞ。あ、悪いが一寸
座って待っててくれ」
ハーディ達に座るよう促すとハーディが
「中将先ほどのメモを」
禾人は胸のポケットから「すまない!!もう少し協力してくれ!」と書かれた紙を出した。
「かかった!!!158番の電話ボックスだ!」
ジョニーが叫ぶ
「長かったなDoLLSが利いたか」
「ワザと落とした緊急指令書が利いたな。解散決定のDoLLSを緊急で招集を掛けたんだ内
容が気になるだろう」
ジョニーが言うと
「中将、私達は単に囮として招集されたのですか?」
ハーディが尋ねた
「いや違うその話は後だ招集したのは別件だ、それと別に・・・・・ジョニーあれ出せ!」
「あれはマズイ!彼女たちには見せない方がいい!!」
「いいから出せ!どうせ大隊長が銃殺刑になれば真相を知る!!!」
金庫から出された一通の調書がハーディに渡された
「これは!中将!!いったいどういう事ですか!」
禾人は答えようとしたが
「禾人始まったぞ!」
ジョニーの一言で遮られたスピーカーより聞き覚えのある声が流れた
禾人の所へ案内した男の声だ
「DoLLSの件だが、あの呑んだくれ中将単に自分が大将になりたい為に友人の大統領候補ジョニー・K・アイクマンのマスコットガールに使う気だ、やっはり奴は単なる親の七光りの馬鹿でしかない。」
「ユーは本当にそう思っているのか?」
ハーディが
「この声カルツォーネ!!まだ生きていたのか!」
「なんだ知り合いか?」
禾人が苦笑いしながら尋ねる
「DoLLSのストーカーだ」
四人が笑ったがヤオは下を向いたまま笑わない
「禾人お兄ちゃんは内通者の洗い出しの為駄目中将を演じていただけ、そういえば息はお酒臭くなかった、もう一寸よく観れば解ったのにその上投げちゃうなんて・・・・嫌われちゃうね・・こんな女じゃ・・」
ヤオの考えはすべて禾人へ行った自分の行動についての反省と化していた。
「ユー達の情報は大変役に立ったが今回の情報は当てにならない!ユーと情報部のベン・ジョーダン、ジャック・ハーネスの三人はよくやってくれたが今回限りだ!我々は、地下に潜るユーの情報を当てにしていたら危険過ぎる!それではアディオスアミーゴ、おっと一言いっておくが自分達の身の心配をする事だこの電話盗聴されている」
「一寸待てカルツォーネ!!」
慌てる男電話は冷たく鳴り響くだけ
「禾人!!」
ジョニーが禾人に身柄確保を促す、禾人は通信ユニットを手に取り
「こちらスコルピオンファーザー、スパイダーネット今の会話録音取れたか!」
女性のオペレーターが答える
「こちらスパイダーネット今の会話録音しました、データ照合結果ベン・ジョーダン、ジャック・ハーネスに関して24件にのぼる情報漏洩の疑惑がある事が解りました。全てが第一級の機密事項です。」
「完全な有罪だな」
「ベン・ジョーダンは情報部大佐、ジャック・ハーネスは情報部少将です」
「解った!スコルピオン隊ベン・ジョーダン、ジャック・ハーネスの身柄を直ちに確保、軍事裁判所へ連行、スパイダー隊は大統領補佐官の身柄確保せよ!敵もなかなかやるな有線盗聴システムを使用したのにばれたか、だがあの野郎気に食わん俺達に不用になった3人を始末させる気だ」
「裏切り者は裏切られるか」
ハーディは禾人が落ち着くのを待って話し出す
「中将、スパイダー隊というのは海軍ノエル少将の特殊部隊ですか?」
「そうだノエルの部隊だ海軍ただ一つの女性特殊戦闘部隊」
「ノエル中将はこの事を知っていたんですね。」
「ああ全て知っている。ジョニー先に降りてる大統領がきたら・・・」
「解ってる直ぐに降りるよ」
禾人は本棚より3冊の本を取り出すと本棚を手で押す
本棚の後ろからリニアエレベーターが姿を見せた
「さぁどうぞ」
五人を中へ促す扉は閉まり静かに降下した
ハーディは先ほどの書類について質問を始めた
「ところで中将この書類の内容は一体何だというのですか『第177特務大隊第三中隊DoL
LSの略奪に関する報告書』私達が略奪をしたというのですか!」
三人は驚いたがヤオは俯いたままだった
「安心しろ、もしその報告書どおりだとしたら今ごろ処刑場だ、第177特務大隊のハンメル
少将に感謝しておけ俺も大変感謝している、俺は約束を守れたしかし、ハンメル少将は私に
連絡してきた後、暗殺された・・・・」
禾人はサングラスを掛けると更に話を進める
「内容は『大隊長がDoLLSの中佐4人を事故死させた後ハーディ大佐に罪をかぶせ処刑する計画が進められている阻止してもらいたい』だった、発端はホーガン渓谷の要塞攻略!!あの地下に30トンに上る金塊があった、おまえ達が制圧後他の部隊が交代で維持に入ったろその部隊が逃げそこなったジアスの将兵を射殺、金塊を略奪した・・・・、そしてストーリーは維持に入った部隊の記録を消し、逃げ延びたジアス兵に金塊があった事を証言させDoLLSに殺人および略奪の罪を着せる、ただ君たちが部隊でいる以上手出しは危険と考えたんだろう解散後一人一人と消すつもりだったんだ最後はハーディ大佐の銃殺刑で幕を引くその報告書は証拠品として押収したものだ」
ファンがつぶやく
「そんな・・・オムニの軍が・・・」
「最初は奇麗、そして欲が絡み醜くなる・・・オムニ独立の名のもとに起きた戦争だが、ある
隊では地球移民の村を制圧し略奪や婦女子に暴行を行った」
ハーディが
「中将、ひょっとして大統領の緊急発表てというのは」
「地球移民とオムニ住民に対する謝罪と公開銃殺刑に当たって軍と役人の粛正の促し、オムニ
政府の政権下では全星民が安心して暮せる保証に付いてだ」
エリオラが
「オムニ団結と裏切り者を出さないようにする為の見せしめか」
「オムニ内にはまだまだ寄生虫がいる、押え込み探し出し排除するが手が回らないので活動を
押さえる脅しだ、そのままにしておけばオムニの危機となる事は必死だからな」
エレベーターは地下750Mに達しった
ガラス張りの向うに巨大なホールが姿をあらわす。
中央に25mm対地二連機関砲が構えられており屈強な兵士がフロアーを固めている。
「中将ここは」
「オムニ最後の砦だ」
「はぁ?」
「正確には、オムニ非常事態分析指揮管制センターだ、めんどくさいので最後の砦て言う」
エレベーターの扉が開くと兵士が整列している。
「中将は、オムニ非常事態分析指揮管制センターに入る!」
一人の兵士が号令を掛けると全員が敬礼する。
ハーディは言葉から海軍の戦艦艦橋への入室を思い出した。
「全員持ち場へ!ハロルド少佐!私は、着替えに行くその間にDoLLSの方の手続きを終わらせティールームへ案内を頼む」
「かしこまりました!土田中将!」
「すまんが30分程度で戻るのでお茶でもして待っていてくれ」
禾人は一言いうと別の方向へ姿を消した。
「どうぞこちらへ」
ハーディ達は案内されるままセンターのゲートにて手続きを開始する
眼網チェック、指紋、声紋、全てがクリアーになると右腕にかなり大き目のリストバンドが強制的に取り付けられた。
「一体何ですかこの機械?」
ナミが興味津々に聞く
「これですか?」
少佐は、自分の付けている物をゆびさすと
「強制活動停止ユニット、暗示催眠等によりセンター内で破壊活動を行う者に対し麻酔薬を打
込むのですよ」
「電気ショックじゃないんですか?」
「プラスチック爆弾を持っていると電流が流れた瞬間に吹き飛びますから」
「もしそれで眠らなかったら・・・・」
「青酸注入による完全停止」
「・・それって・・殺すって事ですよね?」
「そうです。それだけ重要な施設です。あまり内容の説明は出来ませんが内外の情報が集まっ
てきます」
ナミはしみじみと観ている。ファンは「内外の情報」言葉に不思議な違和感を覚えた。
「どーぞ此方でお待ちください、今日のティールームマスターはジェファニー中佐ですからミ
ルクレープがお勧めですよ」
ハーディが
「当番制で喫茶室をやっているのですか?」
「はい、部外者を入れるわけに行きませんので」
「ジェファニー中佐、5人お願いしますツチダ中将に付けてください。それでは皆さん私はこ
れで失礼します」
敬礼をすると立ち去った入れ代わりジェファニー中佐が聞きに来る。
「皆さん飲み物はどうされます?」
俯いたままのヤオに聞くが返事が無いのでみんなと同じコーヒーにした、ナミが
「私ミルクレープも!」
「そうだな私達も貰うか」
ハーディも頼んだ
「フェイいい加減顔あげたらどうだ」
「そうよ、良かったじゃない中将がまともで」
ファンが慰めるが
「だ・め・・・引っ叩いたし・・・投げ飛ばした・・蹴りまで入れた・・・禾人お兄ちゃん・・
痛そうだった・・・それに・・昔・・乱暴な女の子嫌いっだって・・・・・」
「しかし、意外な弱点だったなフェイがここまで落ち込むとは」
「どうぞ」
珈琲とミルクレープが出される
「しかし、当番制とはいっても中佐がやる必要があるのか?」
「言い出したのが私でしたからそれに中将も少将も当番に入ってますし、ここ意外とみんな仕事
の内容から精神的に疲労が溜まるのでゆっくり休める場所を作ろうって事で」
やがて禾人が姿を現す20分程度で戻ってきた
黒の戦闘服には3つのき章、黒のベレーにはスコルピオン隊章黒のスカーフ
髪はオールバック金と銀の鳥の羽を模ったメッシュを入れて
禾人は5人の前に来るとベレーをとり深々と頭を下げた
「先ほど大統領官邸ではあなた方を侮辱するような大変失礼な事ばかり申し訳ありませんでした。特にタカス中佐大変失礼な事をいたしまして申し訳ありませんでした」
「しかし、何か先に言ってくだされば良かったのですが」
肯く三人
「貴方がどのくらい芝居できるか解らなかった、いっそのことホントに怒って貰った方が確実だったもので投げられたのはチョット想定外だったが」
禾人は四人の見つめる方向に目を移動するとフェイルンのうな垂れた姿が目に入った
「あれフェイどうした下向いて14年ぶりだ俺に顔良く見せてくれ、ほら」
頭を横に振る。ファンが
「フェイルン、中将を投げた事気にしてて」
「フェイ黙ってた俺が悪かった許してくれ、顔あげてくれ俺が悪かった」
「禾人お兄ちゃん悪くない・・・・中佐としてもっと状況確認すれば・・息だってお酒臭くな
かったし・・・」
禾人は左手でフェイの頬を触ると顔を上げさせる、右手にミルクレープを乗せたフォーク
「はい、フェイちゃん、あ〜〜〜〜ん」
禾人の滑稽なカッコと言葉に四人は笑いをこらえる
心の中で「フェイお願い!食べないで我慢できなくなる」
フェイルンは上目使いに禾人を見つめる、禾人は笑いながら
「フェイ美味しいぞ」
フェイルンの口に運びいれる
「美味しいだろ?」
肯くフェイルン、エリオラが
「も〜〜我慢できない アハ アハハハハハ・・・ ド・・DoLLS・DoLLS一の猛者が」
皆が笑い出す
「何よ、いいじゃない久しぶりなんだから・・・・・」
ナミが
「フェイ・・そーゆー・・問題じゃない・ハハハハハァ・・・」
ハーディが止めを刺す
「自分が・・・ハハハ・・いくつか・解ってるんだろうな・・ハハハアッハ・・・」
ファンが
「フェイに・・ハハ・あって・・はじめて・・かわいいと思ったわ!」
「やっと機嫌が直ったみたいだなフェイほらもう一口」
フォークを出すが
「もう!自分で食べられるわ。それとごめんなさい禾人お兄ちゃん」
「いいって作戦だ」
ジェファニー中佐が話に割ってはいる
「中将、お楽しみのところすみませんが大統領緊急会見が始まります」
巨大モニターのスイッチが入り大統領の姿を映し出す
「禾人お兄ちゃん、大統領の緊急発表って?」
ハーディが
「ヤオ中佐、禾人お兄ちゃんじゃ無いだろう中将だ、それと先ほどからの話を聞いていなかったな」
「すみません ハーディ大佐」
禾
人は笑いながらフェイルンを見ていた
モニターでは大統領が演壇中央に立ちやがて静かに演説が始まる。
「オムニ全土に暮す全ての方々に対し私は許しを請わなければなりません、軍の一部の人間に よる略奪が先の独立戦争と今戦争で行われた事が判明いたしました。又、軍の情報部の人間が機密を敵に売り渡し多大な被害を出した事、最新パワーローダーの裏取り引き等・・・・」
延々犯した罪の内容が大統領によって発表される そして・・・・
「・・・この者たちがオムニ巣食った獅子身中の虫どもです・・・すでに軍事裁判にて有罪が確定しました。軍人は公開にて銃殺刑とし一般人は非公開の絞首刑といたします・・・刑の執行はこれより行われます。今後も軍の監視強化とスパイの洗い出しに対して全精力で挑みオムニが安全で住みやすい星とするべく心血を注ぎます。本当に申し訳ありませんでした。」
モニターに刑場が映し出され画面の下に名前、階級、罪名が流れる
「な・・なんで・・・大隊長が・・・」
フェイルンが声を上げるとナミが
「まったく話を聞いていなかったのフェイルン、後で私が教えてあげるから」
やがて177の大隊長だった男が鉄柱に縛り付けられろと目隠しの要否を聞かれていた
「あんまりいい光景じゃないな、そろそろ会議室の方へ移るとするかまだ16人続く」
全員がティールームを離れる時スピーカーより射撃音が響いた。
通路を進むとやがて巨大なホールに出た
「ここは、第一指揮管制センター現在作戦名スパイダーネットがここを使用、この並びに後九つの同じセンターがある」
ファンが尋ねる
「最大十件の作戦指揮を行えるんですねでも、一寸少なすぎませんか?もっといろいろありそうですが」
「とりあえずオムニに迫る非常事態危機管理のみを扱うだけだから、それ程指揮管制センターは必要無いし現在の任務は、軍犯罪の情報、対地球連邦情報、ジアス残党の監視が主だ部隊もスコルピオンとスパイダーの総勢250名だけだし」
「そうなんですかしかし、情報収集や監視を行うのは情報部じゃないんですか?」
「それは、軍総省として作戦を立てるのに必要だからだろ、我々は軍総省でありながら緊急事態省の安全保障局と大統領の直轄の部隊だ。情報部が当てにならないから特別に組織された大統領より直接指示を受け情報の収集と作戦を立案し実行する、それ以外に私達が独自に情報を集め分析し大統領に報告し対応策を立てる事もある」
やがて禾人のオフィスの前に来ると
「禾人中将お待ちしていました」
ノルン少将が敬礼する。
「先程はご苦労、センターに居なかったので何かあったかのかと思った」
「作戦の結果報告を中将から隊員に対した一言頂きたかったんですが、なかなか来て頂け無かったので私から作戦の成功と引き続きの監視体制、作戦レベルを3から2へ移行の話をしました。」
「けっこう、私はほとんど何にもしてないし君がメインだ」
「でも中将が〆ていただいた方が良かったのですが、それとこれが頼まれていましたコピーとビデオです」
持ち出し禁止の封筒に入った資料が13冊ほど用意されていた
「例の件頼んでいた方々は?」
「もう付く頃だと思います」
「そうか、それではまた後で」
「は!失礼いたします。あ!フェイちゃんお久しぶりお元気でしたか?」
「はいノエルお姉ちゃんもお元気そうで」
「ホント美人になって、キリカも少し位貴方のようにお化粧してくれるといいんですが」
ハーディが
「ノエル少将先程はどうも」
「ハーディ大佐先程は何も申し上げなくてすみませんでした驚かれましたでしょ」
「吃驚しましたまたずいぶんでたらめな事で招集されたと思いましたから」
禾人が話に割って入った
「和やかな事は良い事だと思うが先に血なまぐさい話をさせてもらえないか?どうせこれから一緒の基地で暫く暮すんだ勤務外になれば階級を離れてゆっくり話も出来る」
「中将と少将はDoLLSの基地で暮されるのですか?」
「作戦終了までそうなるな」
禾人は扉を開け5人を中に入れた部屋は先ほどの官邸と違って机、モニター、電気スタンド
以外何も無いシンプルかつ機能的なオフィスだった
「さぁこっちの部屋が会議室になっている」
20人程度掛けられるテーブル正面にはスクリーンが用意されていた
「まずこのビデオを見てもらおう」
「裏ビデオですか?」
ナミが調子に乗って聞いた
「おう、凄いぞー10Pだ組んず解れず入り乱れだ」
聞くナミもナミだが答える禾人も禾人だと4人は頭を抱える
やがて天井からプロジェクターが現れビデオが映し出された。
会話が流れてくる
「接近10000 マッハ3.2 高度450 格納庫オープンした」
エリオラが食い入るように観ながら
「あのスピードで格納庫開くか?ふつう」
禾人が答えた
「開けないな」
「映像取れているか」
「取れてるぞ」
ブーメラン型をした超大型輸送機がソニックブームで地を破壊しながら接近してくる
「ここまでソニックブームが来る可能性は?」
「計算では風速10m程度の風は来るが破壊するほどの力はない」
やがて輸送機は上昇体制に移ると2機の蒼い機体が格納庫より放出された
「早い!捕らえているか?」
「3000mm望遠はきついフォロー頼む」
やがてレンズに機体が捕らえられた
ヤオが驚く
「何なのあの機体!!新型のローダー?」
歩いてたかと思うと機体が少しひざを曲げ浮き上がりスピードを増す
「ホバーユニット!凄いわ」
ナミは目を輝かせて声を上げた
ビルの間を高速で擦り抜け逆側より接近する3体の緑色の機体と大型タンクに向かう
やがて戦闘が始まった。
ミサイルがタンク目掛けて発射されタンク側から応戦のビームが発射される。
「ビーム兵器?開発が済んでいたのか?」
ハーディが呟やいた
一機がタンクを一機が3機のローダーの応戦に当たる。
「回り込んで!そう!!」
ヤオが声を張り上げる
「フェイ楽しそうだな」
「禾人お兄ちゃん!あんな凄い機体いつ開発終わってたのDoLLSに供給されるのよね!」
ビームが飛び交いやがて緑色の3体の機体と大型タンクは破壊された。
二体のローダーは周りを確認しながら停止
「でも、あんな無防備で良いのか?ビルの裏とか建物の影とか敵の可能性はあるのに」
冷静に分析するハーディ、二体のローダーは再び動き出した
「再度記録する」
ビルの向こう側に飛び跳ねる4機の白い機体
それを追いかけるビルを挟んで向かい合う形となった、
二機の機体は一気に300m上空に飛びあがりビルを越た
「バーニア!何トンあるのあの機体、飛ばすなんて凄い!!!」
やがて白い機体は全てスクラップと化し、約5分間で戦闘は終了した。
「あんな機体があったなんて」
「ナミ貴方が整備して私が・・・」
「こわすの?」
ナミの冗談を他所にファンはテーブルを叩き
「何の冗談ですか中将、あのような基地や地形はオムニに存在しません」
「私もそう思う、戦闘シーンをCGとしてみると精巧に出来ていると思うが」
「流石、ファン中佐ローダー戦略研究隊長として選んだ甲斐があった」
「じゃ禾人お兄ちゃんあれうそ?」
ファンの考えが先ほどの言葉、「内外の情報」が脳裏を過ぎる
「中将まさか!今の映像は・・・・」
ファンが言いかけたがドアがノックされジョニー・K・アイクマン大統領補佐官、アーノルド・
フィア大統領、ジョン・F・アイクマン軍総省総司令官、猪 猛徳 緊急事態省長官、ジャン・
ハインリッヒ陸軍司令、フォーク・バレル海軍司令、土田広人空軍司令、ダレル・ワイヤー安
全保障局長の八人が会議室に入ってくる
禾人を始めとする6人は立ち上がり敬礼で迎えた。
「さて禾人中将、この5人がDoLLSの司令官と隊長か」
「ハ!大統領閣下」
「君が選んだ部隊か、戦歴の報告書と部隊選考理由書を拝見させてもらった計画はあくまで秘
密裏にそれが条件だ」
「それでは最終報告を行ってくれ、禾人」
「ハ!」
総司令官に促されコピーを配る
「各人開封をお願いいたします。」
全員がペーパーナイフで開封する
禾人は、スクリ−ンの前に立ちスイッチを押すそして
「今回の調査開始は今を遡る事5年前になります我が部隊の情報網に『地球連邦軍が不利な条件でなければ直ちに休戦をオムニ側に申し入れよ』の情報をキャッチ発信元を調査していくうちに地球の最新鋭輸送艦の存在を確認いたしました」
スクリーンに映し出される旧式輸送艦
その外観と裏腹に後部噴射ノズルは異様な形をしていた
「この輸送艦は分析の結果、地球オムニ間を約一年で航行出来るエンジンを搭載している事が判明外観は偽装また、新方式の通信システムにより地球オムニ間を一ヶ月これによりオムニの情報は地球連邦中央政府に遅れる事無く報告されているようです」
ナミがエンジンのタイプを推測する
「まさか、ハイパードライブでもあれは理論上のはず」
「地球連邦は技術開発に全精力を注いだらしい160年では情報も何もかも当てにならないからな、一年でも地球は納得できないようだ」
「禾人中将!本題へ」
「部隊選りすぐりの兵士による情報収集部隊を緊急に編制し輸送艦に潜入させ地球へそして、現在地球の最新情報が入手できるようになっています」
「うまく潜り込めたんですか?」
ファンの問いに禾人は答え続けて
「軍に2名が潜り込んでいる、彼等からの報告によりますと地球軍が停戦協定に踏み切った訳は、地球連邦は第二の植民惑星を開発したもののオムニと同じように独立戦争が勃発そちらの制圧を重要視した為と判明いたしました」
ハーディが尋ねようとするが、一人の官僚が咳払いで制した
「ハーディ大佐あまり老人の事は気にしなくて良い聞きたい事があればどんどん言ってくれ」
禾人は周囲を気にする事無く言ってのける
敬語を使うが並んでいる人間はジョニーを除けば自分達の保守しか考えない人間としか思ってない
説明はDoLLSに知って貰えれば良いと考えていた。
「では、中将その第二の植民惑星はよっぽど恵まれているのですか?」
「その星はハイパードライブで地球より2ヶ月の惑星カシアスと言い、地形は先程見てもらったビデオで判るとおり岩山ばかりだ、ただ地球に近いし豊富な鉱物資源がある。もし、惑星間戦争が起きるならばオムニより地球の脅威になりうると判断した為の制圧らしい」
「しかし、ハイパードライブの輸送艦があれば何の問題も無くオムニに対しても攻撃できるのでは」
「技術的に大量の生産配備は現状でも不可能らしい、それと大型化は強度の問題から不可能」
「禾人中将で、現在の状況を」
大統領が先を急がせる
「現在カシアスは、地球連邦軍とカシアス連邦軍の合同軍によって解放軍を完全に制圧したと報告が来ています」
ファンの心配は現実と化した
「まさか、先ほどの機体がオムニに派兵される!!」
禾人は考えた言うべきか言わぬべきか一息つくと
「先ほど最終報告という形で連絡が入ったのですが、地球連邦はカシアス連邦政府に対して、オムニの分割統治を条件に参戦を依頼、カシアス連邦政府はこれを受諾」
「何だと!!地球の馬鹿どもが!!」
声を荒げて緊急事態省長官が立ち上がり大統領に進言する
「大統領閣下!直ちにオムニ全土に非常戦時体制を取りましょう!」
軍司令官達は黙って観ている
禾人の案を全て良いと認めた訳ではないが現時点では最良であったからだ、禾人は
「長官それはまだ早い、逆にオムニに居る元地球連邦軍兵士やジアスを刺激してテロを促進させる事も考えられます、それに地下に潜った奴等の行動を探らなければなりませんし今日の大統領緊急会見の意味が無くなります、時間は最低でもあと1年あります」
軍総省総司令官は
「土田中将、君の作戦は全て軍内部で行うとあるがオムニ4軍に何をさせるのかね」
「ローダーの基本設計は此方で行いますただ、材料や大型のエンジン等の制作は無理なので各軍の開発部の力を借りたい、一般企業は地球資本も入ってるので情報漏洩も起り得ますから使いたくない、特に港北重工業グループは先ほどの敵ローダーの制作を手がけている」
「港北に付いては最終的に軍による接収を行わなければならんか」
「港北重工業グループですって!!」
ナミは自分の居た企業の名が出てくるとは思っても観なかった
「現在数名の人間を潜り込ませ新型敵ローダーの制作を行っていないか調査しています」
「やる事が早いな」
アーノルド・フィア大統領が話を〆た
「土田中将、君に全てを一任は出来んがDoLLSとスコルピオン、スパイダーを指揮して対地球カシアスに勤めてくれ、アイクマン総司令取り纏めを頼む、後で報告をしてくれないかしかし、この件は今あるオムニの危機の中で最も憂鬱だ」
大統領補佐官と軍司令官を残し大統領と緊急事態省の人間は退出した。
「禾人中将、いちお各軍にもそれなりの戦闘準備はさせる、但し君の隊の要求は最優先とするそれで納得してくれ、いいな、各軍は最優先で援助する事」
アイクマン総司令はそう言うと誓約書を取り出し司令官全てにサインをさせた
「禾人中将、続きを」
「敵ローダーについてなんですが、発達はオムニと同じ作業用ロボットからとなっています。ローダーといわずギアと言い動力は素粒子対消滅ドライブ」
ナミが驚く
「反物質系の動力!反応塔の構造は分かってるんですか?」
禾人は首を振り
「兵器は陽電子キャノン、ミサイル、状況により電磁フィールド弾を使用出来る機体は無重力空間で均一生成されるハイブリットチタニウム合金を更にカーボンファイバーで強化してるらしいこの材質はもう少し調査しなければ分からないが我が軍のローダーとほぼ一緒だろう機種は高性能型エクトールと量産型エクタスが主力でバーニヤにより300mまで上昇できる滞空時間は現在不明。陽電子キャノンはチャージしている間は制限なしに打てる最大速度は確認しているだけで150Km/hレーダーはさっきの輸送機が上から索敵し情報を補うため死角が無い、部隊はAnti
Loderator Gear Army通称ALGA専門の特殊部隊だ」
全員から一斉にため息が出た
「此方に有利なのは相手の輸送船の都合で大量に持ち込め無い事ぐらいだ後市街戦想定の機体で山岳戦には不向きだと言う事」
「判った禾人中将、君の情報からすると既存のローダーでは対抗できない事になるやはり新開発になるか」
ハーディが首を振り
「その必要は無いと思います、現状のX4Sの改良で十分いけると考えられます、問題になるのは相手の兵器とスピードのみ、先ほどの映像から敵の射程は300m程度ですからX4Sにホーバーとバーニヤを付け攻撃回避性能のアップと装甲の強化のみで良いと考えます。」
ナミが肯く
「現状のエンジェルウイングでは狭所において広げられないと言う欠点がありますし長時間の噴射は不可能ですがエンジェルウイングの基本設計を利用してバーニヤを制作すれば4ヶ月程度で試作品が出来ますそこからテストしてラインに乗せ大量生産すれば一年以内に配備を完了できます」
「判った、土田中将良い部下を選んだようだな、お前の言いたい事を総て言ったようだ」
「はい、総司令、ローダー開発の専門家がですから」
「ほかなにか言いたい事があるものは居ないか?」
フォーク・バレル海軍司令がDoLLSの最終目的に付いて確認をする
「DoLLSの計画としてはバーニヤの開発、輸送機ガルバルディの迎撃、 ALGAの迎撃のみと作戦計画書になっているが、なぜALGAのみ標的にした」
「それは、ALGAこそ最強の敵となり得ると推測できるから、カシアスは先ほどの映像から判るとおり緑無き大地当然食料も自給できないがオムニの木々の移植、オムニにおいて食料の生産は自分達の星を安定させ豊かに出来る、彼女達はオムニ分割統治で自分達の星を豊かに出来ると言う希望を持ってくる。それに比べ地球の連中は地球の威厳を保つ為だけに来る大義名分を持ったものがどれだけ強いか自分達を見れば判るでしょうオムニ軍が強い訳を」
苦笑いをする司令官達を横目にファンが禾人に
「彼女たちって、女性の部隊ですか?」
「男も居るらしいが女の子が主体らしい」
「女の子?」
「下は16歳上は20歳と聞いている」
「16歳って」
「徴兵年齢が低いのか、適性検査でよっぽど優れていたかだ」
「話しの途中で悪いが禾人、我々は敵の主力兵器の内容と敵の反撃開始時期の推定が出来たので引き上げる、最後に一言言っておくがあくまでも秘密裏に出来るだけ早く結果を出してくれいいなそれと、あの人がDoLLSの再訓練に協力してくれるとは思っても観なかったが隊員が訓練から逃げ出さないようキチンとケアしろよ」
「総司令引き上げる前にDoLLSの各隊をサポート及び訓練を行ってくれる人を紹介しておきます先ず、ローダーの開発強化にタカス中佐をサポートする、軍兵器開発研究局技官キリカ・ノルン」
ドアを開け入ってくるキリカを観てフェイルンとナミが立ち上がり声をそろえて
「キリカ久しぶり!!」
フェイルンとナミは顔を見合わせ
「なんで知っているの?」
「私、中学途中まで一緒だった幼なじみ」
「私は、ナキストで一緒だった」
「お久しぶりです。ハーディ大佐これからよろしくお願いします」
キリカはクスリと笑うと一言言って退出した
「フェイちゃんナミちゃんまたよろしくね」
「次は航空隊だが私が教官となって指導するよろしく、戦略隊だがノエル少将がサポートに当たるそれで、ローダーだが・・・・」
「禾人お兄ちゃんが兼任してくれるんでしょ!さっきエリオラが禾人お兄ちゃんは凄い部隊だって・・・」
「バカモン!!おにいちゃん!おにいちゃん!てヤオ中佐!!公私混同も甚だしい!」
禾人はあらんばかりの声を張り上げ
「起立!!左向け左!!ヤオ・フェイロン海軍中将殿に敬礼――――!!!!」
黒の詰め襟を着、手を前で組み少し首を傾げ、少し長い髪は後ろで束ねている
「だから私が言ったのだ戦争が始まって兵士がいると言っても士官学校、工科学校の修学年数を下げていたら礼儀も知らない兵士ばかりになると」
「久しぶりだ禾人中将、それで間違えてもらっては困るが私はもう軍を離れた中将ではない」
ヤオ・フェイロン元海軍中将、元少年工科学校教官、フェイルンの父親 56歳
「おとーさんなんで??」
「中将におまえ達の再訓練を頼まれたのだが、軍事教練からやり直させなければいけないようだ、明日から私は教官でお前は一兵卒だいいな、それと禾人は中将だ言葉に気を付けろ」
総司令がヤオ元中将に
「お久しぶりです、此処ではなんですから私のオフィスで積もる話しもありますから」
そお言うと他の司令官ともども退出した
「ふぅーやっと行動に移れるな」
「長かった五年だぜ・・五年」
禾人とジョニーはしみじみと思いを巡らせる
「中将、私達は明日から行動に移らせて頂いてよろしいのですね」
ハーディの言葉に
「なんかジョニーが再結成パーティを今夜やってくれるそうだ、酒残ってたら訓練も出来まいそれに第三格納庫の地下開発センター搬入エレベーターも復旧しなきゃならんし明後日からだな、今後休みも無しになるし」
「地下開発センターってなんですか?」
ナミが聞いた
「あそこは空軍の基地だった時に地下に兵器開発部門があったそれをDoLLSに渡すときコ
ンクリートで入り口を埋めたんだ」
「へー道具はどうなっています」
「確かそのままの筈だ、また使うつもりだったらしいから」
「でも動くかな」
「動かなきゃ直せば良い」
「ねぇ禾人お兄・・・中将」
「どうも中将っていやだな、親父さん居ないときは、なんて呼んでも良いぞ」
「禾人、お兄ちゃんて呼んでもらいたいんじゃないか、血のつながらない兄妹禁断の愛が・・」
ボッコ!!
「痛てーじゃねいか!!禾人!!」
「くっだらないこと言ってんじゃね!!おめーはよ!!」
5人は笑い出した、先ほどまでの憂鬱そうな表情は無くなった。
「その方が良いな憂鬱そうな顔だと皆も心配するが司令官が笑っていられれば安心する、それとフェイなんて呼んでも良いと言ったがお兄ちゃんはやめてくれ、兄さんか兄貴にしてくれ」
「じゃ禾人兄さん、いつから基地へ来てくれるんですか」
「今日の7時ごろだなパーティに間にあわす、もう5時か、なんだかんだ忙しかったな」
ミネラルウォーターを開けると飲み干し
「それじゃジョニー約束どおり、リムジンと専用機でDoLLSを送ってくれ」
「わかってるって」
「それじゃ上まで送ろう、それとその書類は総ておいていってくれ」
そして
「フレデリカ、基地に戻るぞ」
「はい」
玄関先にリムジンが止められており禾人がドアを開け6人を乗せる
「それではまた後で」
「はい、お待ちしています、それで車は」
「車は後で送らせよう、ゆっくりワインでも飲みながら帰れば良い40分程度の飛行だがな」
「判りました」
やがて飛行場に着くとそのまま短距離大統領移動用の専用機脇まで車は入っていった
「どうぞお乗りください」
タラップをあがり機内に入ると機は滑走路へと移動を開始した
「ハーディ大佐、ホントに4ヶ月で試作品出来るんですか」
ファンが尋ねるとハーディに変わってナミが答える
「ハッキリ言ってほぼ不可能ね」
「なに言ってるの貴方できるって言ってたじゃない」
「あの場合言っておいた方が良いと思ったのよ」
「ハッタリも時には必要だと言う事だ、だが努力は惜しまない不可能を可能にするのがDoLLSだ」
「でも禾人お兄ちゃんの立場が・・・・」
エリオラが笑いながら
「アハハハ、中将はすべて判ってる昔からそうだ、ただ中将に見込まれたら徹底的に鍛えられるミノルなんか失敗するたびに踵落し食らったそうだ、それにメカにも強いきっと何か秘策があるんだろ」
やがて機内を沈黙が包み、ハーディは地平に沈み行く日の輝きを見つめながら
「我々の成すべき事は来るべき敵に対して備える事だ各人全力を尽くそう」
四人は静かに肯き、夕日に輝くオムニの大地を眺めるのであった。
エピローグ
最後の機を離陸させ慌ただしい一日が終わろうとしていた
「あーやっと荷おろし終わったわ」
「さて自分達の荷物が戻っているか確認して、あったら各自部屋へ移動、布団毛布も持っていって」
セルマが言うと各基地から送られてきた荷物をあけ探し始める
セルマの無線機に連絡が入ってきた
「セルマ、後一機来るみたいだから注意して」
ミノルが誘導に付き輸送機を180度回頭させ格納庫に近づけると後方ドアを開けさせた
中からは蝶ネクタイを絞めた初老の男性が現れ近くに居たセルマに話し出した。
「ジョニー・K・アイクマン大統領補佐官様より出張パーティサービスを承ってきたのですがこちらに準備してよろしいですか?それとこれを渡すようにとお頼まれしました」
封筒を受け取ると端を切り中身を確認する
『DoLLSの皆様再結成おめでとうございます。これから始まる地獄のトレーニングの前に
ささやかながらパーティを行いたくご連絡差し上げます。本日19時より同基地第一格納庫
にて開催、私服でご参加ください。 大統領補佐官 ジョニー・K・アイクマン』
皆にセルマがパーティの件を伝えると
「えー地獄のトレーニングって」
「どうせ今までと変わらないよ」
皆の話を遮るようにハーディ達を乗せた小型ジェット機が到着した、ジュリア達が集合して迎える
「大佐お帰りなさい。どうでした」
「いや対した事はなかった、いつでもDoLLSを投入できるようにする事だそうだ」
五人は決めたのだ皆にはまだ言わない
備えが出来たら言おうと
ジュリアは指揮権の返還を行う
そして
「ところでリサはどうしました」
「あ〜〜〜!!!忘れてきた・・・・・」
一瞬の沈黙、乾いた笑い
--
「さっきからリサ呼んでいるんですけど出ないんです」
「とりあえず皆はシャワー浴びて着替えろ、何とかなるよリサは」
そのころ
「中将、戦闘機の用意できました」
「ご苦労DoLLS基地まで10分か、早いし途中遊んでいくか」
「間欠泉アタックですか?」
「そのとおり!オムニ無頼の意地ってやつだウイングマークまだ外せんしな、ところであそこのヘリは」
「DoLLSのヘリなんですが」
「誰か居るのか?」
「さあ?」
ドアを開け中を覗くと荷物の上でリサが寝ている
起こそうと鼻を抓むと
「う〜ん、もう食べられない」
相当楽しい世界に要るらしい
「おい!起きろ!!」
禾人が声を掛ける
リサは眠い目をこすり禾人の顔を見詰めるやがて禾人の階級章に目が行き
慌てて荷物から飛び降りると敬礼をして
「中将!失礼いたしました!」
「ところでどうした?DoLLSの隊員だろ、もうすぐDoLLSの再結成パーティがあるんだぞ」
「え!再結成!ハーディ大佐をお待ちしているんですが」
「ハーディならもう付いてる頃だ、さては部下を忘れていったんだな、あと40分で始まる」
「そんな・・・・」
「よし!俺の後ろに乗ってけ、途中遊んでいくが戦闘機パイロットだろ大丈夫だよな?」
「は?はい」
この後リサが悲鳴を上げまくったのは言うまでもない。
禾人はアクロバットが好きであった。
「一寸遅れたな、キム大尉、照明が無い為計器着陸を行うので読み上げを頼む」
リサは次々とメーターを読み上げる機は滑走路へ、ピタリと着陸を行った
「オッシ!予定どおりじゃないな、10分遅れたな」
「あんな所飛行するなんて」
「明後日からあんなもんじゃないぞ、DoLLSアクロバットチームを作るんだからな」
リサは目を輝かせ
「アクロバットチームですか!一人居るんです、元戦技研が」
「知っている俺から逃げ出した奴だ」
禾人は無気味に笑うのであった。
「着替えている暇ないなジャケットだけ脱いで出席するか」
「はい」
パーティ会場に入っていくと直にボーイが飲み物を持ってくる
禾人は水割りを受け取り周囲を見回しミノルを見つけると、そっと近づく
「アヤセ中尉、元気だったか」
「げ!ツチダ中将」
「おいおい、げはないだろう、またアクロバットチーム組むから頼むな」
「DoLLSで組むんですか?」
「そーだ、お前もメンバーに入ってる、じゃ」
おちこむミノルを後に次々と声を掛けて歩いていく
あっちこっちでかなり出来上がっている
隊員を他所にフェイルンを探し出した。
「フェイ!」
「禾人お兄ちゃん!」
「やっと付いたよ、人数が少ない割には広い会場になったな、ジョニー来てないか?」
「さっきまでそこに居たのよ、ハーディ達とどっかいったんじゃない?」
「そうか」
禾人とフェイルンの間にマーガレットが割って入った
かなり呑んでいるようだ
「へぇーーーあんたが・ヒック! 噂の猛獣使いヒック!・・・・」
「マギーあんたなに言ってるの、中将よ、つ・ち・だ・中・将」
「ヒック!あに、の・ぎ・と・お・兄・ちゃ・んてかヒヒヒヒヒヒーーーげほげほ苦しい、猛獣フェイルンを猫のようにする猛獣使いケケケケケケケケーーーーー」
「何ですって!!」
エリィがヤオを突っつき
「ヤオ中佐お兄ちゃんと一緒でうらやましいです・・・・・」
「あのね」
フレデリカが先ほどの話を聞いていて
「猫はもっとかわいいです!マギー訂正してください」
「あんたら、いい加減にしろ!!」
フェイルンはマギーの後ろに回り込むと一瞬のうちに卍固めを決めた
「フェイまた、あとでな」
締め上げながら
「ええ!」
「ぐぇぇぇーーー、中佐ギブアップ〜〜〜〜〜〜」
禾人は格納庫から出るとたばこを出し火を付け、空を見上げた
「中将此処でしたか」
ハーディとノエルがそろって現れた手にはビールを持ってそのうち一本を禾人に渡す
「いつ付いたんだ?」
「6時40分頃です」
「中将、なに見られていたんです」
「アポロンだ、弟達が行っている。後一年で帰ってくるが、それと時間外は禾人でいい」
「中将に言っておかなければなりませんが五人の協議の結果他の隊員にあの話しはまだ伝えな
い事にしました、目途が付いたら話すつもりです」
「ハーディ、それで結構それにそんなに早く出来無いだろ物は」
「不可能を可能にするDoLLSです」
「頼もしい限りね、貴方が選んだ部隊だけあるわ」
禾人は会場を見て
「ああ、のみっぷりも頼もしい」
格納庫ではいつ終わるか判らない宴が続いていた
そして・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「測距!」
[イエッサー、レーザー測距器作動、距離10万より目視測距器併用]
「ハイライン!」
「イエッサー、左舷ハイラインユニット準備」
「艦間距離調整!」
「イエッサー!」
「左舷50に停船しました」
「ハイラインチューブ接続、チューブ内圧力調整終了」
「ハッチ開け」
「ハッチ開きます、タラップ接続、指揮官殿当艦へ乗艦します」
二人の男がタラップを渡り乗艦した
「お久しぶりです、カワサキ中将いや失礼しました、カワサキ カシアス連邦全権大使これからよろしくお願いいたします」
男は手を出し握手を求めた
「こちらこそよろしくお願いします、ジェファーソン地球連邦全権大使」
強く握手を交わす
「カシアスの合同作戦以来ですな」
「ええ、しかし我々が他の惑星の鎮圧に行くと思いませんでしたが」
「まぁ地球連邦の政策による惑星開発移住計画ですしカシアス連邦にも関係する事なので又、食糧供給はオムニから出来る予定でカシアスの開発を踏み切ったのでどうしても地球連邦の管轄下にオムニを置いておく事が必要ですから」
「ところであの約束は」
「調印準備が出来てますので」
そお言うと調印式の式場に案内をした。
やがて調印式の様子は地球、カシアスに放映され内容は惑星オムニの分割統治と鎮圧であった
「カワサキ中将、映り良いんじゃない」
「CGだったりして」
「ありえます〜〜〜」
「まさか其処までしないでしょ」
モニターを観ながら4人の女性が話している
「おまたせしました本日の特製ケーキです」
「あ、ユキトさん今日の当番ですか?」
「ええ、ナギサ大尉あなた方が眠る前にたくさん美味しいもの食べてもらおうと思って」
「半田さんはどうしたんですか〜〜〜〜」
「半田は食堂担当ですよ今日は」
「はぁ〜〜〜〜〜」
「どうしました大尉?」
「時間外は、ナギサでいいです。地球を見ていたんですあまりにも奇麗なので」
「オムニはもっと奇麗と聞いています」
「不公平ですね」
「なにがですか?」
「移住先が方や岩ばかりで、方や緑と水の惑星どう考えたって不公平じゃありませんか」
ナギサはガラスドームの向うに見える地球を見ながら
「オムニは地球からの移民が築いた事も判りますカシアスもそうだし、でも地球の援助無しで
出来た訳じゃないでしょだったら地球連邦の一員として連邦に協力するのが当たり前だし、
傀儡でもちゃんと政府は機能してる・・・・・・・・」
少し憂いに満ちた表情になっていた
「お〜〜〜い土田」
「何だ半田」
「カワサキ中将が戻ったて」
「それじゃ発艦か?」
「オムニに向けてな」
考え深げに地球を見つめる二人であった
「そいえば〜〜アルガ2のメンバーもうコールドスリープに入ったんですか〜〜」
「なんか面白い事も無いて言うんでささっと寝たらしいわ」
「私達も寝ましょうか?」
「せめて木星での重力ターン後にしない土星軌道からハイパードライブ使うらしいから」
艦内一斉放送が入る
「これより当艦は惑星オムニに向け発艦する繰り返す、当艦は惑星オムニに向け発艦する以上」
「ハイライン切り離し!」
「イエッサーハイラインチュウーブ切り離しハッチ絞めろ」
「測距!」
「イエッサー艦間距離10000まで測距!」
少しずつ離れていく輸送艦
「距離10000」
「輸送艦ガイア発艦!!」
「輸送艦カシアス発艦!!」
巨大な影がオムニに向け発進した。
一ヶ月後 打電入電ス
ワレ、タビダッタ、ソナエラレタシ、コノキキマサニ、サイダイナリ ユキト
1998年 3月31日 KAZZBON