映画『ブラックホークダウン』バージョンのデルタ、通称Dボーイズの製作過程をご覧いただきましょう。
今回はC.F.E.2002展示とアームズマガジン1月号12インチフィギュア特集の扉ページで使用するため、
全部で8体のフィギュアを製作しました。
同じ装備のフィギュアを複数揃えると、完成したときに迫力が有るのは確かなのですが、
カスタムするとなると、同じ過程を人数分繰り返さないといけないわけで…
これが結構、しんどいのです。
もちろん、締め切りという物理的タイムリミットもありますし…(笑)
と、いうわけで、着せ替えと汚しのみの、簡易版を5体、
それなりに手を加えたものをメイン用に3体製作しました。
手を加えた、といっても、自作部分は極力控えめに、
流用で済ませられる部分は(多少映画と違っても)手を加えない、
という方向で作業していますので、個々の作業の難易度は決して高くない、と思います。
市販のプラモデルを完成させられる程度のスキルが有れば、
どなたにでも同じものが製作できると思いますので、是非一度挑戦してみてください。

STEP-1:資料を集めよう

なにはともあれ、カスタムを行うなら資料は多いに越したことはありません。今回は史実に沿った考証ではなく、映画の再現がテーマなので、いつもとは少々勝手が違ったりもするのですが、かえって資料集めのポイントは絞りやすいかもしれません。
本当なら映画のムック本等が有ればそれが一番良い資料になるのでしょうが、残念ながら『BHD』にはそう言った解説本のたぐいが出版されていないようなので、今回はアームズマガジン2002年5月号の特集記事を参考に、フィギュアの装備を決定しました。
もちろんこれだけでは、完璧というわけには行かないので、足りない部分は映画本編を繰り返して観たり、ネットで検索したりして補っています。ちなみに、ネットの検索は、装備の名称や型番が判っていれば、かなり有効な手段だと思います(何よりお金がかからないのが有りがたかったりします(^^;)。

STEP-2:カスタムポイントをチェック!

すべての装備を自作してしまうつもりならともかく、カスタムの計画を立てるには、元になる製品があった方がなにかと便利だし無駄も省ける、というわけで、まずはベースとなるフィギュアをチェックしておきましょう。

『ブラックホークダウン』関連のフィギュアは、ドラゴンから発売されているUS Ranger "Matt"と、"Matt"にUS Delta Force "Jeff"を加えた2体セットの2種。他に、ドラゴンの米代理店MPI社がトイショーで限定販売したUS Ranger "MacKnight"が有りますが、ヘッドが実在のマクナイト中佐(モガディシュの戦闘時に車輌隊の指揮官だった人物)になっている以外は"Matt"と同内容です。

今回製作するのはデルタなので、当然ベースは"Jeff"ということになりますが、この"Jeff"君、同社の既存パーツを寄せ集めた感が強く、映画とはかなり装備が異なっているのです。
気になった点を列挙すると…

1:ヘルメットの形状が何だかおかしい。
2:無線機がヘッドセットではなくスロートマイクになっている。
3:ボディーアーマーとベストが映画の衣装と異なる。
4:銃にエイムポイントが付いていない。
5:映画ではデザートブーツかGSG9ブーツを履いていた。
6:ブットパックが付属していない。

等々、となります。
では、これらを極力“楽”な方法で(笑)出来るだけ映画の衣装に近づけていきましょう。

STEP-3:パーツを入手する

カスタムのポイントが決まったら、必要なパーツを集めます。
今回のように同じ装備のフィギュアを複数製作する場合は特に、なのですが、
例えばGSG9ブーツのように、必要なパーツが他のボックスセットにしか付属していない場合は
やはりルーズパーツを探すのが賢明な方法でしょう。
最近はパーツのばら売りをするショップも増えてきていますし、
オークションにも大量に出品されているので、困ることは少ないと思います。
万一、必要なパーツが見つからない場合でも
海外のオンラインショップなら、非常に品揃えの充実しているところがありますので、
よほど貴重なパーツ以外は大抵のものが入手可能だと思います。
もっとも、海外のショップにオーダーする場合は、ある程度の数をまとめて注文しないと、
送料で割高になってしまうのが難しいところ、なのですが…

まずは何を置いても手に入れておかなくてはならないのが上の2点。
TOY SOLDIERの“PTボディーアーマー+チェストハーネスセット(左)”と
a.c.e.の“BHIアーバンアサルトベスト(右)”です。
ドラゴンのデルタはTAC-V1ベストを着用しており、
しかも、このベストがお世辞にもフィッティングが良いとは言えないので、
これを上記2点と交換するだけで確実に見映えが良くなります。
いわば、今回のキーアイテムとなるパーツがこの2点、なのです。

同じパーツが複数のメーカーからリリースされている場合は、
何を選択基準にしたら良いでしょう?
最終的には各自の好み、ということになるわけですが、
最低限、全体の統一感だけは、考えておいた方が良いと思います。

上はドラゴン(左)とBBI(右)のキャンティーンカバーとマガジンポーチですが、
全く同じものをパーツ化しているにもかかわらず、これだけの違いがあるのです。
今回のようにリアルなベストやボディーアーマーと組み合わせるのが前提なら、
他のパーツも出来るだけリアルな形状のものが望ましいわけですが…

完成度に明かな差がある場合はともかく、実際に装着してしまうと
パーツ単体で比べたときほどの違いは感じられなかったりもするんですけどね(^^;

STEP-4:作業を始める前に〜フィッティング調整

カスタムを始める前に、最低限やっておきたいのがユニフォームのフィッティング調整。
カスタムも着せ替えもしない、という場合でも、簡単な作業で確実に見た目が良くなるので、
これだけではやっておくと良い、と思います。

1:使用するのはドアや窓の隙間防止用スポンジテープ。今回使ったのは厚さ5ミリのもの。
2:アクションフィギュアのボディの多くは、足を揃えたときに腿と腿の間に隙間が出来てしまいます。
股関節の関係で、ある程度は仕方がないのですが、やはりズボンを履かせたときのシルエットが不自然です。
3:そこで、内股にスポンジテープを貼って、隙間を埋めてやります。
4:スポンジ貼りをした上にズボンを履かせた状態。腿の間に注目!

5:スポンジ貼りボディにホルスターを装着してみました。
6:こちらはスポンジを貼っていないボディ。
スポンジ貼りボディの方は、ストラップが腿に食い込んでいるのが…判ります?

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