旧川越織物市場保存運動の経過報告    平成14年2月7日

   立春の候、皆さまにはご健勝のこととお慶び申し上げます。
昨年は皆さまに、旧川越織物市場の保存運動でたいへんお世話になり、重ねましてお礼を申し上げます。遅くなりましたが、その後の経過をご報告させていただきます。

  松江町2丁目自治会・立門前商栄会・川越蔵の会・川越唐桟愛好会が発起人となった「旧川越織物市場の保存再生を考える会」は、昨年11月10日以来、署名を集めてまいりました。平成14年1月24日までに、合計2万314名(うち川越市民8896名)を集め、すべて、川越市長に提出しました。保存再生基金には423250円の寄付が集まりました。
  こうした状況の中で、川越市は旧川越織物市場を何としても買い上げ、保存再生するという意向を強く示しており、土地については、その76%分を売買予約し、仮登記をしました(平成13年12月14日)。残る24%分の土地と建物については、現在、所有者と主張している川越織物工業協同組合などと、川越市が交渉しています。

  この間、川越織物工業協同組合およびそこから委託を受けた橋本不動産・田川工務店といった業者が、旧川越織物市場の建物を取壊そうとし、予定では昨年中にも旧川越織物市場は解体取壊されるおそれがありました。
  しかし、川越市による前記の仮登記がなされ、また、浦島囃子連の事務所の存在を理由として建物解体禁止の仮処分命令が裁判所から出され(平成13年12月19日)、現在のところ、旧川越織物市場は幸いにも解体・取壊しを免れております。

  一方、そうした中で、借家人に立退き料残額が支払われなくなるのではないかといったおそれもありましたが、若干のやりとりの末、その支払期限であった平成14年1月20日までには、旧川越織物市場の部分の住民たちには、すべて立ち退き料は支払われました。

  現在のところ、川越市と残る24%分の土地と建物の地権者である前記協同組合関係者との間の交渉がすすんでおり、マンション業者の買取価格と川越市の示した価格はほぼ同一レベルまできており、合意も近いと客観的には思われます。
  しかし一方、協同組合関係者等は「旧川越織物市場の建物を取壊す」と今なお主張し、「火事が心配だ」などと発言、不測の事態が生じかねません。
  
 「旧川越織物市場を保存再生させる会」では今後も、浦島囃子連の事務所への張り番・泊まり込みに協力しつつ、現場で不測の事態がおきないよう、監視・警備活動を続ける予定です。また、浦島囃子連事務所の保全をはかるための裁判などの手段も活用して、川越市の買い上げによる旧川越織物市場の保存再生が実現できるよう、力を尽くしていく所存です。

  あと一歩まできています。今後とも皆様のご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。
                
旧川越織物市場の保存再生を考える会:戸田喜一郎・田中冨美雄・原知之・井上浩