山メシのヒント

山での食生活について述べてみます。「夏山・数泊の縦走」を中心に、ときおり冬の話も交えて、単純に「私はこうしている」というふうに書き進めたいと思います。なにかのヒントになればいいですが。


ほうれん草カレー、サラダ、ほうれん草とワカメのスープ、マンゴープリン
一口サイズ餅、早炊米、ブランデーケーキ
シチュー、ワカメサラダ、スープ、フルーチェ
雪上でおでん
豚肉味噌漬、野菜炒め、松茸ごはん
シチュー、ポテトサラダ、鶏めし
カレー、ワカメサラダ
なすのピリ辛炒め、ひじきサラダ、卵のスープ
チンジャオロースー、高野豆腐、卵のスープ
麻婆春雨、シウマイ、ワカメサラダ、みかん
うな丼、野菜サラダ、スープ、ワイン
雪上でチーズフォンデュ
ハンバーグ、鶏めし、ひじきサラダ、スープ、ワイン、マンゴープリン(小)

基本プラン

朝夕をしっかり食べて、昼間はレーション(行動食)で過ごします。山頂などで1時間近くのんびりするときでもそうしています。行動中に火を使うことはまずありません。ただ、例えば冬の日帰りハイクで、目的が「昼食おでんパーティー」とかいうときは話は別です。しっかり昼を食べますよ。

朝食について

レーションの場合、朝食はかなり大事です。しっかり食べないとあとがこたえます。

フリーズドライのピラフや、エスプレッソパスタなんかをよく食べます。パスタだけだと腹持ちが悪いことが多いので、餅を入れます。餅は、直径3cmくらいの一口サイズになって大袋に入っているものを愛用しています。パスタに餅かよ! と思うかもしれませんが、食感がモツァレラチーズに似ていて意外に合うんです。見た目もとろーっとしていてチーズっぽいし。

ラーメンは、あまり食べません。汁に塩気が多いせいか、よく喉が渇くからです。飲まないで捨てるわけにも行きませんし。ただ長期になるときは変化をつけるために1食くらいは持っていきます。食べるときはスープの粉を減らしたりして味を薄くしています。

行動時間が長くなる日はパンにすることがあります。理由は簡単、調理しなくて済むので出発を早くできるからです。一袋に小さいのがたくさん入っている、ぶどうパンとかチョコパンが好みです。これだと行動食にもなります。パンの欠点は、ザックの中でつぶれてしまい、しかもぎゅうぎゅう圧縮されて食べにくくなることでしょうか。


昼食について

というわけで、冬の、昼食目的の山行でないかぎり、食べません。やはり冬は鍋物がいいですよねえ。チーズフォンデュとか、キムチ鍋とか、おでんとか。


夕食・メインについて

大展望の山頂・美しい花畑とともに、山中で一番楽しみな時間です。

ごはんは、以前は米から炊いていましたが、ここ数年は早炊米にしています。早炊米とは言うものの、湯を沸かす時間、炊く時間(7〜10分)を総合すると、米から炊くのと時間的にはそう変わらないです。最大のポイントは米を磨がなくていい、つまり磨ぎ汁を捨てなくていい、ということでしょうか。胸いっぱいで食べられそうにないなーと思ったときでも一応炊いて食べられるだけ食べ、余りご飯を翌朝雑炊にして食べます。

1〜2泊くらいのときはザックにも余裕があるので、肉類を凍らせて持参します。夏でも、凍らせたゼリーなどを保冷材がわりにして断熱袋に一緒に入れれば、1日目の夕方にはちょうどよい解凍具合です。(一日中曇って気温が低く、融けきらなくて2日目の夕食になったこともありました)
ハンバーグ、ステーキを持っていくことが多いです。ハンバーグはレトルトのしか使ったことないけど、自分で作ったのを持っていったら美味いだろうなあ。ステーキは、あらかじめサイの目に切っておいて、ニンニクといっしょにジップロックとかに入れて凍らせます。焼いているときのニンニクの香ばしいかほりといったら!
味噌漬は冷たくなっても美味しいので、すぐに食事が冷めちゃう山には向いていると思います。

肉に合わせてワインを飲みます。下界では2人で1本開けますが、山ではハーフボトルで充分です。よく小屋で売っているものは国産の安物で美味しくないので、下界で好きなのを買って担いでいます。ただ、山小屋限定のラベルはほしいなあと思います。

というわけで、1日目の晩は豪華に飾り、あとはレトルトの食いつなぎです。山行を繰り返すうちに、いくつかのパターンができて固まってきてしまいました。だいたい以下のような食材です。今後は新規開拓が課題です。

真空パックの鰻蒲焼きで、うな丼を作ったりします。長持ちするので、長期山行では最終日に登場したりします。湯で温めるだけだし、見た目もゴージャス。山椒が食欲をそそります。缶詰のものはあまり美味しくないように思います。

カレーが、疲れているときでもすんなり胃に入るのはご存知のとおり。「疲れた体に効く度」ナンバーワンの王様と言っていいでしょう。しかし何と言っても、レトルトカレーの場合、水を使わなくていい、というのが山では最高です。ご飯を炊く分の水だけで済ませられます。水場が遠いときや、雨で水汲みに行くのが億劫なとき、重宝します。以前は函館五島軒のカレーを愛用していました。最近、なかなか美味いレトルトカレーに出会えません。水を使わない、という点ではレトルトシチューもいいです。

麻婆春雨の素を使えば調理も比較的簡単。辛くて、喉越しつるつる、野菜も入っています。疲れた体に効く度では、カレーと双璧をなす、と勝手に思っています。春雨は半分くらいに切った方が食べやすいかもしれません。

チンジャオロースーもまた「素」を使えば簡単。ピーマンは生で持参しています。ピーマンが多めになってしまうのがちょっと欠点か。

山の上では夏でもおいしく食べられるおでん。特に、寒い日だととても幸せな気分になれます。欠点はなんと言っても重いこと。2人分で1kg・・・食料は相棒が背負っているのですが、これを食べたあとは荷物が軽くなったのが体感できると言います。したがって、山行では初期に食べます。これも水を使わなくてすみます。

これらを適当に組み合わせて持っていきます。1日目の生肉以外は、基本的には生野菜を使うもの・重いものから食べることにして、なにをいつ食べるかは特には決めません。疲れ具合などによって適当に消化します。


夕食・副菜について

横浜崎陽軒のシウマイ(「シュウマイ」とは言いません。シウマイです)にも、真空パックのものがあり、神奈川県内では簡単に手に入ります。湯で温めるだけ。2パックあればメインにもなりそうですが、ウチは1つにして副菜にしています。里では濃いと感じる味が山では絶妙に。

粉末のカップスープは、中華系のスープを好んで使っています。洋物のクリームスープなんかだとカップの内側にべっちょり残って後始末が大変そうだから。

サラダは夕食時には必ず食べます。疲れた体に効く度では海藻サラダが一番。特にひじきサラダマヨネーズ味が私の好みです。

プチトマトを最低1パックは必ず持参しています。これほど携帯しやすくかつ食べやすい生野菜はないのでは。疲れた体に効く度も高ポイント。行動食にもなります。


デザートについて

山中では甘いものが猛烈に欲しくなるものです。

フルーチェは以前はよく持っていきましたが、できあがりがものすごく多くなっちゃうので、今はごくたまに。4人パーティくらいだとちょうどいいのかも。

マンゴープリンがウチの定番です。小分けしたものなら、行動中に食べるのも簡単です。

「フルーツたっぷり」とか「フルーツまるごと」みたいなゼリーも好みです。前述のとおり、保冷剤としても活躍します。


レーションについて

以下のような行動食を休憩のたびにこまめに食べます。

主戦力はクッキーです。数種類持っていきます。しっとりしたものなら、あまり水を含まなくても飲み込めます。

ケーキは、一口サイズの、しっとりとしたスポンジケーキが主です。ブランデーケーキのようなのがいいです。クッキーよりも腹の足しになります。山頂で紅茶なんかとともに食べると展望がなくても幸せな気分になれます。

ドライフルーツを練りこんだビスケットは甘くて重くて、食べ甲斐があります。口が渇くので私はあまり好きではありませんが、相棒が好んでいます。

甘いものが続き、ちょっと舌の感覚を変えたいなあというようなときには、チーズかまぼこを食べます。クッキーなどと違い口の中で溶けないので消化が悪いような気もしますが、そのせいか、満腹感が得られるように思います。

私は、歩いている間はほとんどずっとキャラメルを口にいれています。甘いものは即戦力になりますし、なめていれば喉もあまり渇かなくてすみます。口を開いてはあはあ言いながら急坂を登るときは、変形させて上顎の裏にぺっとりと付けてしまえばぽろりと落とす心配もありません。キャンディは、変形できない・なめすぎると上顎の粘膜がひりひりしてくる、といった理由から、この方法には向きません。


飲み物について

液体サプリは、アミノバイタルとウィダーインを愛飲しています。アミノバイタルはぬるいと薬臭く感じます。これも保冷剤になるときがあります。いつも1日1パックの割合で持っていきます。

行動中は、500mlのペットボトル1本を常に甘い飲み物にしています。だいたいポカリです。アクエリアスはぬるくなるとまずいので却下。以前は「ヒマラヤンシェルパティー」という紅茶をよく飲みました。ぶどう系の甘さで、さっぱりしておいしかった。それに、なんといっても名前がいい。冬は、テルモスに暖かいミルクティーを入れますが、夏と違ってあまり消費しません。

テント場や山頂で飲むコーヒーは至福の時をもたらしてくれます(好きな人には、ですけど)。ドリップには、100円ショップで売ってるひとり用の紙ドリッパーを使っています(10枚入り)。これが「山と高原地図」の箱にぴったりなんです。豆は自宅でひとり分ずつ挽いて、ビニール袋に入れて持っていきます。


一口めも


おわりに

最後に、山メシについての有益なサイトをご紹介します。
レシピについては「腹ペコ山男のお部屋」が参考になると思います。また「Alpine Log キレットルーム」はメシの効能などを科学的に掘り下げていて、非常に参考になります。山での食に関心がおありの方は、これらのサイトはご覧になるとよいと思います。また、私の山メシ生活がこれらのサイトに多分に影響を受けていることを合わせて申し添えておきます。


2002年夏記す

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