仁義なき闘い

上高地バスターミナルにて -- オヤジ VS かつりんたち

冬の上高地は雪に埋もれる。釜トンネルは閉ざされ、入山手段は徒歩だけだ。誰もいないであろう、静かな河童橋を目指して、かつりんたちは吹雪の中をようやくバスターミナルに到着した。
バスターミナルも今は眠りについている。庇の下にザックを置いてトイレに行った。トイレから戻ってくると、ザックにはうっすらと雪が積もっていた。風が強く、寒い。立ったまま、こごえながら軽食をとる。

さて、バスターミナルの庇の下はテントがいくつか並んでいた。目の前のテントの入り口がもぞもぞと動くと、中からオヤジが出てきた。
オヤジはひとつ大きなあくびをすると、突然の暴挙に出た。

なんと眼前でビッグなてぃむてぃむを取り出し、テントのすぐ前で、我々に向かってじゃーじゃーやり始めたのだ。我々はこの不意討ちに、唖然として顔を見合わせた。おいおい頼むよー、んな眼前でやんなよー。

「ういー、さみー」ぶるぶる。オヤジは酔っ払っているようだ。そして、少ししてからようやく我々に気付き、相棒Kを見て

「あ、おじょーさん、失礼!」

と言いながら軽食をとる我々に向かったままビッグなてぃむてぃむをふりかざし長小便を続けたのだった。

この勝負、仕方なく後ろを向いてクッキーを食べ続けた我々の完敗である。(注:負けたのはてぃむてぃむの大きさではない)
オヤジは最後にまた大きなあくびをすると、テントに帰った。
テントの前には黄色く染まった雪が。
その雪の下にはベンチが埋もれていた。見回してみるとあたりには黄色い筋が多くついていた。上高地でバスを待つときは、もうベンチには座りたくないと思ったのだった。