4月9日 超快晴

雲ひとつないすばらしい快晴だが、遠くの山々は霞んで見えた。春なのだ。
今日は、行程の半分以上は舗装路なので靴はスニーカーにしようかとも思ったが、かなりの急斜面があるという情報を見たので、もう少ししっかりしたアプローチ用の靴にした。服装は上下とも登山用にした。
6:56 勝沼ぶどう郷出発(高度計:510m, 温度計:21.3℃)

このあたりは振り返ると南アルプスが見えるのだが、周囲が民家ばかりで絵にならない。唯一、天啓院という寺院の庭に桜が見事に咲いていて前景に使えそうだったが、まだ朝早くて誰もいず、侵入するのがはばかられた。
7:18 前不動(620m, 17.2℃)

だらだら行くとキャンプ場に到着。斜面の中にあるので、テント場というよりは日帰りのキャンプ場なのだろうか。でも車で入るにはつらそうだし駐車場もない。なんともビミョーなキャンプ場だ。
さてここから道は突然斜度を増す。喘ぎながら登ると右手から車のクラクションが聞こえてきた。どうやら車道との合流点が近いようだ。クラクションは断続的に聞こえてくる。警笛区間なのだろう。と、そうこうしていると三滝橋に到着し、菱山林道と合流した。
8:10 大滝不動(935m, 13.6℃)


大滝不動の駐車場には車が3台止まっていた。4月下旬まではここで林道は閉鎖されているため、この先に車は入れない。先客は少数のようだ。
トイレをすませ、石段を登り、いくつかの滝を横目に山腹をトラバース気味に進む。
8:30 展望台(1035m, 11.3℃)


展望台には「甲州御嶽山」の祠があった。尾根の突端なので眺めはよい。だいぶ霞がとれてきて、南アルプスはすこしくっきり感が増していた。甲斐駒がいつもながらにカッコいい。
展望を楽しんでから林道に戻る。富士見台に向かうか迷ったが、ここは素直に高尾山を目指すことにした。林道を下って数分で山道への分岐があるが、道標があまり目立たない。また、このあたりは1/25000図には載っていない道ばかりなので注意が必要だ。山と高原地図のようなガイドマップの方が頼りになる。
8:48 富士見台との分岐(1130m, 14.4℃)


ここで初めて富士山が見えたが、前山の背が高すぎるうえに、ほぼ横一直線なために面白みに欠ける眺めだ。
ずっと歩きどおしだったのでここで小休止して軽食をとった。
9:09 名のないピーク(本日の最高地点)


軽く下って軽く登ると名前のないピークに立つ。ここで行く手に南アがふたたび姿を見せた。手前の、尾根の突端に標識らしきものが見えるが、それが甲州高尾山の山頂なのだろう。向こうの方が低いようなので、するとここが今日の最高地点ということになりそうだ。
9:19 甲州高尾山(1140m, 17.8℃)

風もほとんどなく、暖かい。ここで大休止して、大好きな南アルプスを眺めながらチョコレートなどを食した。徐々に霞は晴れて遠くもくっきりとしてきた。これまではなかなかきれいに見えたことのなかった南ア南部も今日はよく見えたが、眺めじたいは、甲斐駒を木の上に仰ぎ見るような格好になるので、先ほどのピークからの方が良いように思った。
9:56 下山開始(1155m, 25.7℃)

三角点(「剣が峰」の標識があった)までは緩く、その後は林道を横切って急な下りが続く。思ったより手ごわい。南アルプスあたりに普通にありそうな急坂だ。スニーカーでなくてよかったと思った。
緩くなると周囲の木がなくなり、急に展望が開ける。箱庭のような甲府盆地の奥に南アルプスが浮かぶさまは実に絵になる。甲斐駒から聖までずらっと並び、山好きにはたまらない眺めだ。盆地がピンクでないのは残念だが、このスケール感は標高1,000mそこそこの山とはとても思えないすばらしさだ。道もなだらかな尾根となってルンルン気分で歩ける。
10:53 鉄塔(780m, 22.7℃)

のんびり歩いていくと徐々に木が増え、送電の鉄塔に到着。右下に道が続くので進もうとしたが、ふとここが分岐点だったことを思い出した。鉄塔の裏に回るようにすると果たして「←大善寺」の道標が。右にそのまま行くと駅には近いが、今日の我々のもうひとつのお目当ては桜咲く大善寺。したがってここは鉄塔を回って左へ進む。するとすぐに、真下に大善寺のお堂の屋根が見えた。で、またここから急な下りになるのだった。
11:27 大善寺着(535m, 22.7℃)
この最後の下りにトドメを刺された感じで、とうとう膝を痛めてしまった。坂の最後の方は道が錯綜していたが、いずれにしても下りきれば国道20号線に出る。我々は勘でなんとなく進んだら1/25000図のとおりに神社に下り着いた。ここには東屋があって、やはりアルプスの眺めが良かった。付近に桜が咲いており、桜越しの南アルプスという願ってもない景色を堪能することができた。続いてすぐ隣の大善寺へ。国宝・薬師堂の周囲の桜が満開で、葺き替えたばかりという桧皮葺の屋根とよくマッチしてひときわ美しかった。
ぶどうの丘

遅くなった昼食をぶどうの丘のレストランで食べ、カーヴでワインをしこたま飲んで気持ちよくなってから帰った。ぶどうの丘から駅への帰り道は、今日歩いた山々がちょうど正面だ。午後の傾いた日差しを浴びてまぶしかった。