1月13日 晴れ

しかし入笠山は晴れていた。よかったあ。富士見駅で列車を降り、バスで富士見パノラマスキー場に向かう。バスは片道10分、300円。乗客は自分も含め5人だけだった。
スキー場の無料休憩所で身支度を整え、ゴンドラに乗る。ゴンドラ内からも八ヶ岳がすばらしくよく見えた。期待は膨らむ。曇る前に登って景色を見るぞう!!
9:43 出発(高度計:1715m, 温度計:5.4℃)

登りきったところにアンテナ塔が。そして標識はその裏を指し示している。裏は木が密集して、ちょっとスキーではつらそうだったが、スキーのトレースもついていた。さんざん迷ったがその道は採らずに、林道をそのまま滑り降りた。道の中央はでっこぼこに踏み固められていたので脇の新雪に乗り換えたが、やはりスキーのコントロールが全く効かず、あっという間に転んで雪の中にヘッドスライディングだ。やれやれ・・・
10:10 早稲田寮(1760m, 1.9℃)

さて湿原の右手(ゴンドラ駅方面)はなだらかなスロープとなっており、いくつかシュプールがついていた。そーか、ここを滑ればよかったんだ、と思ったが後の祭り。
10:36 マナスル山荘(1715m, 0.9℃)

山荘の裏には緩やかな斜面が広がっていた。小入笠だ。帰りに時間があったら寄ることにして、まずは入笠山登頂を目指す。
マナスル山荘の目の前は実はスキー場の跡地で、見事な斜面が広がっていた。スキーやらスノーシューやらさまざまなトレースが付いていた。登山道は踏み固められて狭くて急に見えたので、その斜面をジグザグに登っていった。斜面はふかふかのパウダースノーで、スキーを履いても膝までもぐってしまう。
11:22 スキーをデポする(1840m, 3.3℃)
旧スキー場を登りきると、スノーシューのトレースは右に曲がって登山道へと戻っていった。しかしスキーの2本線は、くっきりと、まっすぐ林の奥に伸びていた。林の中を滑り降りてきたようだ。さては頂上から滑ってきた人がいるに違いないと思い、雪の堅い急な登山道には戻らず、林の中へと進んだ。このまま、山頂を中心とした渦巻き型に斜登高で登っていけば頂上までスキーを履いたまま登れるかもしれないと思った。しかしやがて木がだんだん密度を増してきた。このシュプールの主は相当上手いのだろう、ものすごく狭い樹間を抜けていた。木が密集しすぎて、ついにジグザグ登高ができなくなってしまった。斜面は急で、シールを貼っているのにずるずる後退してしまう。しかたがない、引き返して登山道に合流しよう。右後ろを見ると遠くに人が歩いているのが見えた。しめた、あそこまで行こう。
と、いうわけで、へとへとになりながら登山道にたどり着き、スキーを脱いだのだった。
11:35 入笠山登頂(1900m, 5.2℃)

山頂は、期待通り360度の大展望(ぐるぐる写真)に、今まで数えるほどしか経験したことのないような上天気。北アルプスも全て見える(ぐるぐる写真)。電車からは見えなかった甲斐駒もすっきり晴れ。真正面の八ヶ岳は美しく、ずうっと眺めていても飽きなかった。3連休の最終日だからか、他には単独の人がひとりだけで、静か。もうサイコーの気分だった。
しかし山頂は風が強く、吹きさらしでとても寒い。温度計の値だけ見ると暖かそうだが、体感ではずうっと寒かった。特に写真を撮ろうと手袋をはずすと、風でぶれるので狙いがなかなか定まらないこともあって冷え切ってしまった。おかげでぐるぐる写真もかなり斜めになってしまった。
12:04 下山開始(1900m, 1.3℃)

デポしたスキーを回収。そのままザックにつけて登山道をツボ足で下る。ちなみにデポ地点までは下りではものの5分とかからなかった。
12:16 旧スキー場

・・・しかし雪はあまりにもふかふかで板がもぐってしまい、スキーを全くコントロールできなかった。曲がるとか、そういうレベルではない。ほんの数メートルでコケる。すると今度は立ち上がれない。板がもぐったまま出てこないのだ。そういえば自分の左足も見つからない。太腿から徐々に自分の足を掘り出していく。ようやくブーツが見えた。次は板を掘り出す。よっこらしょっ・・・うわ、足首が曲がらない!! そうだ、今日はプラブーツなんだっけ。前後には曲がるけど左右に曲がらないから横座りの姿勢から立ち上がるのが一苦労。
はあ・・・マナスル山荘はもう見えているというのに、いったいいつになったら抜け出せるのだろうか・・・
13:00 マナスル山荘着(1740m, 5.1℃)

なお、山荘ではクロカンスキーのレンタルもやっているようだ。
13:37 入笠湿原

最初は順調に、他人のシュプールの上を進んだのだが、途中で斜度がきつくなってシールが効かなくなってきた。やむを得ず斜登高でジグザグに行くことにする。こうなるとラッセルで疲労が倍増。もう「気が向いたら」なんて言ってられない。まず左斜めに登って、よし、ここでキックターン・・・あれ、できない。ブーツのせいか、はたまたケーブルがきつすぎたのか、板がブーツにくっつきすぎて、いつもよりうんと足をあげないとキックターンができないのだ・・・
どうにかこうにか登りきると、トレースは左前方の林の中へ。木々の間からアンテナ塔が見えた。
14:23 ゴンドラ駅着(1725m, 1.5℃)

アンテナ塔からそのままゴンドラ駅へ下って本日の行程は終了。
威勢良く滑り降りていくスキーヤーたちを尻目に、誰も乗らない下りゴンドラで帰還。雲は多くなったものの、まだ正面には八ヶ岳が優美な裾野を広げている姿が見えた。