冬の西沢渓谷 2003年2月15日 日帰り

2月15日 晴れ

塩山駅バス停
塩山駅バス停
西沢渓谷行きのバスは冬期は1日3往復。その朝の便に乗りこむ。料金は1,020円。乗客は、我々のほかには地元の方が2人と、同じく西沢が目的の女性二人組と、アイスクライマー3人組だけだった。
駅からしばらく雪はなく、ほんとうに渓谷は凍っているんだろうかと不安になる。しかし進むにつれ道路脇の林の奥のほうに雪がちらちらと見え少しほっとすると、やがて広瀬ダムが見えてきた。ダム前の坂道をバスが上りきり、ダム湖である広瀬湖が見渡せるようになると・・・なんと広瀬湖は結氷していたのだった。

9:14 出発(高度計:1040m, 温度計:18.8℃)

澄んだ青空
澄んだ青空
バス停からは舗装された道を歩く。ゲートより奥は除雪されておらず、日陰に雪が残る道となる。まだ朝早く、ちょっと滑って歩きづらい。
ヌク沢を越えたあたりからはほぼ全面が雪に覆われるようになった。

9:29 渓谷入口(1030m, 4.5℃)

トイレ・管理棟
立派なトイレ(左)・管理棟、そして雪道
立派な東屋と、もっと立派なトイレがある。ここのトイレを最終トイレに使おうと思っていたら、冬季使用禁止で鍵がかかっていた。東屋でアイゼンを装着する人が多い。相棒Kもここで着けたが、自分はまだ着けないでストックを補助に進むことにした。ストックは2本だけ持ってきていた。
道はとてもよく踏み込まれていてアイゼンがないと少し滑る。しかし平らなので大丈夫。案の定、西沢山荘を過ぎると、道は笛吹川北岸沿いになり、日向になるため雪がなくなった。しかし土の道で、みんなアイゼンのまま平気でガンガン歩いていた。
二俣の吊橋を渡り西沢に入るといよいよ山道らしくなってきた。橋を渡ってすぐの登りはアイゼンなしでは結構滑った。なにしろカチンコチンに踏み固められているのだ。

10:07 大久保の滝(1090m, 8.0℃)

雪の少ない道
雪の少ない道
階段
大久保の滝展望台付近の階段を見下ろす
依然として雪が着いたり消えたりしている道をだらだら歩く。野鳥が道でさえずっている。2羽で、まるで遊んでいるかのようだ。コガラだと思う。
大久保の滝展望台に着いた。滝は対岸にあるがちょうど日陰で暗く、よく見えなかった。
ここから上を見上げると九十九折の階段が。踏み板の上は雪がカマボコ型になって凍っている。ここで自分もアイゼン装着。

三重の滝

氷柱の続く道
三重の滝付近の氷柱の続く道
階段を登りきると今度は下り坂。小さな尾根を越えた感じだ。下りきったところは沢のすぐ傍で、そこに三重の滝と、魚止滝の展望台がある。
このあたりは道幅が狭く、山側には氷柱が連なっていた。沢にドボンが怖いので谷側(左)に注意して歩いていたら、反対の右肩に氷柱が激突して派手な音を立てて砕け散った。痛たたた。路傍を見ると折れた氷柱がキャンプファイヤーの薪のように転がっていた。みんなぶつかっているのだろう。
沢をよく観察すると水と氷がさまざまな表情を見せていて実におもしろい。数十歩歩いては立ち止まって写真撮りまくり。こりゃあ今日はなかなか進まないな・・・

10:59 竜神の滝(1105m, 2.3℃)

竜神の滝
竜神の滝
沢の景観に感嘆しつつフク岩・人面洞を過ぎ、竜神の滝に到着。日陰なのがちょっと残念。崖一面が凍りついているのが壮観。
このあたりから急に歩きづらくなってきた。崖沿いの狭い登坂で、雪が踏み固められて凍っているのだ。無雪期であればクサリが補助になるのだが、雪に埋もれていたりしてあてにできない。山側は例によって氷柱があったり、無くても岩が凍りついている。そんなアップダウンが貞泉の滝まで続く。
貞泉の滝を過ぎると崖のトラバース道から沢辺の道になり、だらだらと進む。最後にひと登りすると方丈橋が見える。

11:36 七ツ釜五段の滝(1205m, 6.5℃)

七ツ釜五段の滝
七ツ釜五段の滝の最下段
方丈橋を渡る。滝は目の前だ。橋の中央で滝の方を向くと両岸の崖が門のように視界を遮っていて、そのわずかに開いた門の内側に、滝の奔流と滝壷が少しだけ見える。急いで渡って目の前の雪の崖を10メートルほど登って右折すると、ようやく滝の正面に出た。実に美しい。
冬季はここで通行止めだが、この先にも不動滝があり、踏み跡が続いていた。そのまま行けば七ツの釜を上から一直線に見下ろせるのではないかと考え、しばらく進んでみた。見えないことはないが木がうるさくてあまりよく見えないし、一応通行禁止なのでここで引き返すことにした。
途中、沢辺でカップめんを食べた。今まで暑いくらいだったが、この頃から風が出てきてずいぶん寒くなったように感じた。

12:47 貞泉の滝(1150m, 5.0℃)

難所の下り
難所の下り
沢は、日が差し込んできたところもあって、往きとはまた違った表情を見せてくれた。貞泉の滝の滝壷はえもいわれぬ深い青色をしていた。
往復の行程なので、当然往きに登ったところを下ることになる。道はずっと左岸についているので、今度はクサリが右側になることが多くなった。相棒はストックを左手では上手く使えないということで、右手でストックを持ったりクサリにつかまったりと相当難儀したようだ。
竜神の滝まで来ると、驚いたことにGパン姿のカメラマン二人組がいた。靴もホーキンスかなんかの布製トレッキングシューズで、もちろんアイゼンはない。さぞたいへんだったことだろう。竜神から先はいくらなんでもその装備ではムリだろうと思っていたら、案の定引き返してきた。

13:43 西沢山荘(1075m, 9.2℃)

二俣吊橋
二俣吊橋
二俣の吊橋を渡る直前でアイゼンを脱いだ。
往きは気付かなかったが、西沢山荘のトイレは使えるようだ。そういえば往きも何人か休憩していたのを思い出した。
気温が上がり、朝凍っていた地面の雪が融けていて、それはまたそれで歩きづらかった。

14:08 バス停着(1045m, 10.6℃)

バス停前のドライブインの自販機で暖かい缶コーヒーを買って飲もうと思ったら、缶が出てこない。たしかに出てくる音がしたのに?・・・ふと気付くと、取出し口になにやら得体のしれないプラスチックの部品が詰まっていた。なるほど、それで缶が出てこないのだ。その部品の向こうにはペットボトルのお茶が詰まっているのが見えた。そしてさらにその奥に自分が買った缶コーヒーが。登山ナイフまでひっぱり出して10分くらい格闘したがバスの発車時間が迫ってきたので諦めた。120円損した。
帰りのバスも、往きに一緒だった女性二人組が乗っていただけで、たいへん空いていた。
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