Top 浮世絵文献資料館 浮世絵師総覧
☆ よしわら おいらんどうちゅう 吉原 花魁道中 浮世絵事典
◯『嬉遊笑覧』下(喜多村筠庭信節著・文政十三年(1830)自序)
(国立国会図書館デジタルコレクション)
◇巻九「娼妓」(165/359コマ)
〝遊女も延享寛延の頃までは 紗綾ちりめん羽二重を着て中の町へ出る その道中の衣服 毎日とり替え
着て同じ衣類は着ざりし(烟草を少ツヽ包み 禿にこれをあまたもたせ 茶屋に一服のみ 残りは其侭
茶屋に置たり 中の町の茶屋とも烟草は求めずして足れり)安永天明ころより羽二重さや(紗綾)などは
絶て用ひず 錦繍の如き美服をきる事になりぬれど 毎日おなじものを着て 着かへは一ツもゝたざる
なり たばこ入なども高価の物を用ふれ共 人に呑することなし 時勢に依て賤くなれり〟
◯『絵本風俗往来』中編 菊池貴一郎(四世広重)著 東陽堂 明治三十八年(1905)十二月刊
(国立国会図書館デジタルコレクション)(25/133コマ)
〝(三月)新よし原物いふ花
物いふ花と物いはぬ花、いづれ劣らぬ廓の春、晴(ママとき)をつくせる風情とて、大門くゞるや両側の茶
屋の二階の笛つゞみ、軒端は星をつらねしかと思ふ斗(ばかり)の提灯輝き、中に咲く満桜花、今を盛り
と八重九重裳(もすそ)を開く、三ッ歯の下駄外、外八文字(もんじ)、松の位の道中は外に類なき五丁ま
ち、先鉄棒をつき鳴らし、入りこむ人を左右に避けしめ、箱提灯に道びかれ、禿が袖を振合て、つゞき
て綺羅や錦繍の衣紋揃ひし衣装にも、露重げなる細腰は、春柳月をかけたる如くてりそう、かざし笄は
弥陀の御光もかくやと斗(ばかり)新造や、幇間(たいこ)・やり手かしづき花と花との仲の町、夜の風情
は猶更に別の世界と知られたりける〟