Top             浮世絵文献資料館            浮世絵師総覧              ☆ よみうり 読売            浮世絵事典  ◯『浮世絵年表』(漆山天童著・昭和九年(1934)刊)   ◇「享保七年 壬寅」(1722) p76   〝十二月七日、時の奉行より男女心中の読売禁止を布令せり〟  ◯『嬉遊笑覧』巻十一「商賈」2p613(喜多村筠庭信節著・文政十三年(1830)自序)   〝よみ売〔松落葉〕かゝぶし四条河原涼み八景、こゝに恋路の世のうはさ唄に作りて、よみうりの手びや    うしそろう笠の内〔諸艶大鑑〕夜さへ編笠をきてつれぶしの読うり【貞享元年のさまも今にかはらず】    〔人倫訓蒙図彙〕絵双子売、世上にあらゆるかはつたる沙汰、人の身のうへの悪事、万人のさし合をか    り見ず、小歌に作り浄るりに節付て、つれぶしにてよみ売なり。愚なる老若の分ちなく辰巳あがりのそ    ゝりもの是を買とりて楽となす。誠に遊民のしわざなきに事かゝぬ商人なり。辻売絵草子といふも是な    り〔元禄曾我物語〕に遊女の心中三勝が時分はめづらしさの儘狂言にて作りぬ、次第に類多くなりて今    はふるめかしとて辻売の絵草子にも載せず〟
    『人倫訓蒙図彙』「絵双紙売」 蒔絵師源三郎画(京都大学附属図書館「貴重資料画像」)    △『実見画録』(長谷川渓石画・文 明治四十五年序 底本『江戸東京実見画録』岩波文庫本 2014年刊)   〝新聞紙のはじめとも見るべきは、左に掲ぐる如き風体にて、市中を香具師の類が、駿河半紙の類へ、木    版又は瓦板の如きものを以て、当時の出来事、例せば、出火なれば其焼失せし場所の図、人事なれば其    始末、役替なれば、其役員の官名・氏名を摺こみ、大声にて売歩くものなり     〽今日御役換になりました、御老中・若年寄の御名前附が八文     〽サア、大変なおかみさんが御座います。実の子供を釜ゆでにした繞(ママ続)き、御近所の酒やさんで      御亭主は腰をぬかす、お婆アさんは目をまわす、小僧は逃出すといふ始末は、絵入かな付にて一枚      が八文〟〈幕末から明治初年にかけての見聞記〉  ◯『絵本江戸風俗往来』p274(菊池貴一郎著・明治三十八年刊)   (「下編 雑」)   〝読売    読売というものに数種あり。三、四人より六、七人ずつ伍をなして時の出来事を探り、公に関せざる珍    しきことある時は、善悪とも即時に印版に起こし、駿河半紙という紙に摺り立てたるを、互いに珍しそ    うに呼びつつ歩く。「サこれは、この度世にも珍らしき次第は高田の馬場の仇討ち」などといいて売り    あるくあり。    大火ある時は焼場所を図面に起こし、焼失したる戸数・屋敷・寺社・町名・火消の消し止めより、死傷    の次第を明細に印して売る。地震・暴風・天変地異ある時も同じく印して売るなり。また敷物を路傍に    敷きて店を張り、坐して売るものは、大火の記事を面白く読み聞かせつつ売るなり。また路傍に立ちて    図面を手に持ちて売るあり。「焼場、方角、場所付を御覧なさい」といいながら歩きつつ売るあり。    教訓の歌、また心学の道歌などを小冊(コホン)としたるを、読み聞かせつつ路傍に立ちて売るもあり。流    行歌(ハヤリウタ)を謡いて売る読売は、舟子(センドウ)のかむるようなる編笠少しく形のかわりたるを、深く    なく浅くなくよろしき加減にかむり、笠の下には手拭の模様の粋なるを染め出せるを、天窓(アタマ)より    たれて左右の肩にかけたるは、野辺の柳間(リユウカン)より衣かつぎたる女を見るが如く、流行の縞柄色合    を好みて裁縫(シタテ)も念に綿入れに、三尺帯は上下に過(ス)ごさず、廻して前をよけて苦労して結びた    る甲斐ありて、緩急の加減を失わず。手の指の先より足の指先迄、垢のあの字も止めぬは、惜しむらく    は衛生喧(カマビスシ)からぬ時代、その賞を得ぬこそ残念というべく、細く削りたる竹の箸の如き棒を持ち    て、左に持ちたる流行節の印本をポンと打ちて謡い出す。夜中なれば襟より小提燈をつりたるを前へ少    し出し、時によりては三味線を入れて謡い来たるもあり。この読売は下町辺に限りたり〟