Top             浮世絵文献資料館             浮世絵師総覧              ☆ うきよし 浮世師            浮世絵事典  ◯『客衆肝照子』山東京伝作 北尾政演画 蔦屋重三郎板 天明六年(1786)刊   〝(序 前略)無(なく)て七つの癖と穴(あな) 京伝が振附(ふりつけ)の身振(みぶり)こはいろ坐しき芸人    のふり見て我(わが)ふりも 遁(のがれ)ぬ業(わざ)のはし書は(以下略)       江戸浮世師 富蔵序〟    例 長羽織(の)出 はんか(半可) 吞込姿     〈「はんか」は「半可通」で知ったかぶりをして「通人」のふりをするやから。「出」は登場の意味〉    〝出は昼寝をして 枕をはづしたという見栄にて 顔へたたみの跡を付けたやつ キセルに煙草入れを持     ちそえ 裏襟の大名縞の下着に丸くけの帯 目をこすり/\ 無性に落ち着く思入れ ソレよしかソレ     という事をたんという癖有り 話しの内にソレ呑めといいやす 呑むめえというと のつて話す時 口     にてキセル筒を抜きながら 火鉢で一ッはたく思い入れ 是ほどもすいた事はねへのさという時 銀キ     セルの吸い口を五分ほど出してみせる 夕べの女郎がねっから寝かさねえで とろ/\とすると 鼻の     穴へこよりを入たり 鼻をつまんだりて、大にうたせたと とんだ嘘をつく気取り有るべし       同せりふ〈次のページ〉     なんだ寝なんしたか 今じぶんうしやァがつて コレヘおらァよいッから あつけにとられた もくら     もちを見るようにト あつちへころ/\ こついへごろ/\しているわえ こんやの客人は坊さんで御     座候の ぶざ(武左)で御座候のと うそっつきめ 源とやら犬のくそとやらが来ているこたァしってい     るわえ あんまりやすくしやァがるな うわ着にかぶろもので一両弐分 むくが弐分ッつの通用という     事まで 知っている通人だぞよ〟     〈『客衆肝照子』は、吉原の遊女や遊客などをいかにもその人らしき衣装つきや身振り・せりふでもって表現した作品。      浮世師も同様にさまざまな人々を観察して当人も意識してないような癖や欠点まで見分け、そしてそれを振付け(衣      装つき・身振り・声色)に取り込んで、座敷上に当人を出現させるのである〉