◯『読売新聞』(明治31年8月8日記事)
◇俗文学者と浮世絵画家
浮世絵と俗文学とは、一つの地に生(の)び立たる紅白の花なり。さるほどに、俗文学者にして浮世絵の
心得ありしものありしとゝもに、浮世絵画家にして俗文学の嗜みありしもの多かり、試みにこれを挙ぐ
れば左のごとし
近藤清春(金平本の作者兼画家)
歌川国信(作名 志満山人)
池田英泉(同 一筆斎可候)
八島定岡(同 岳亭春信)
葛飾北斎(同 時太郎可候)
重田秋艃(同 十返舎一九)
北尾政演(同 山東京伝)
そのほか、恋川春町、富川吟雪、感和亭鬼武、墨川亭雪麿、紫色主、暁鐘成、速水春曙暁斎などあり。
これらの人々は、いづれにも、おなじ名を用ゐたり〟
〈一九の画名、重田姓はよいとして「秋艃」は不審。文化10年刊『狂歌関東百題集』の挿絵に「十返舎一九画」と「蜂房秋
艃画」の署名があり、一九と秋艃は別人である。また、紫色主(塩屋艶二・陀々羅大尽)は寛政末から享和にかけての
黄表紙や洒落本に戯作者名として見かけるものの、画名としては見当たらない〉