Top             浮世絵文献資料館            浮世絵師総覧              ☆ うえむら 上村            浮世絵事典  ◯『放歌集』〔南畝〕②188(大田南畝著・文化九年(1812)四月記)   〝江戸芝神明前に江見屋元右衛門と云草子やあり。三代目上村吉右衛門といふもの、延享元年甲子三月十    四日はじめて合形の色摺を工夫し、紅色を梅酢にてときそめ、また板木の左に見当といふものをなして    一二遍ずりの見当とす。今にいたるまで見当を名づけて上村といふ。はじめて市川団十郎の絵をすり、    又団扇に大文字□(*ママ)の図を色ずりにして堀江町伊場屋勘左衞門といふものに贈りしより、今の五代    の吉右衛門文化九年壬申まで、六十九年に及べり。此像は三代目上村吉右衛門の肖像なり。今その流れ    をくみて源をたづね、末をみて本をわすれざる人々にあたふるものならし      くれないの色に梅酢をときそめて色をもかをもする人ぞする〟  ◯「版画色摺の発明者」井上和雄著(『浮世絵』第十七号 大正五年(1916)九月刊)   (国立国会図書館デジタルコレクション)   〝(『浮世絵類考』写本 白藤拱補)曰く「芝神明前に江見屋といへる地本問屋あり、三十年ばかり以前    までは古丹画の一枚絵を暖簾にしてかけ置けり、今其板木は所持、すだれものれんもなし、元祖江見屋    吉衞門、三代目【合形元祖】上村吉衞門【行年八十五歳 延享元甲子三月十四日】合形(あひがた)色摺    を初め、紅色のものを梅酢に解初む、又左り見当を上村と云、初て団十郎の図を摺り、団扇に大文字屋    (瓢の中に川岡としたる印あり)図を初て色摺にす、堀江町伊場屋勘右衛門殿へ摺遣す、是色摺の元祖    也 文化九年迄六十九年に成(延享元年)。四代目(当時七十五歳)吉衞門、五代目(江見屋)上村吉右衛    門〟    〈この写本「浮世絵類考」は幕府の書物奉行で蔵書家の鈴木白藤。「浮世絵類考」の原本著者・大田南畝とも交友があった     から、その縁で写本を作成していたものと思われる。「拱補」とは写本上部の白藤補記という意味か〉