◯『江戸名物百題狂歌集』文々舎蟹子丸撰 岳亭画(江戸後期刊)
(ARC古典籍ポータルデータベース画像)〈選者葛飾蟹子丸は天保八年(1837)没〉
〝辻売
さまざまに鳴虫の荷のかたはらにこゑを自慢の辻のよみ売
元手さへ内藤宿の唐からしからきうき世をわたる辻うり
◯しげにちまたの外に商ひのみちも十筋にわたる大江戸
たちうりの西瓜も辻のかたはらに夕(べ)すゞしき月の赤◯〟
〈虫売り 唐がらし売り 西瓜売り〉
◯『集古』癸酉第四号 昭和八年九月刊
〝続々商牌集 其二 木村捨三
遠月堂菓子店
弘化頃より役者似顔辻占せんべいを売出して、芝居好きの連中に人気を博したる店なり。この辻占せん
べいといへるは、お手遊煎餅位のものを二つに折りて、丈二寸五分、巾一寸五分程の本の形ちになし、
彩色七度入りの似顔辻占を一枚づゝはさみたるものにて、絵は亀戸豊国、後には芳幾の手に成りしと云
ふ。その名高かりしこと、嘉永六年の当代全盛江戸高名細見の菓子の部に、山形として、元治元年のさ
いせい記、江戸高名の部の筆頭に載れるにても知るべし。これに次いで、大伝馬町の梅花亭と、八丁堀
の清真堂の二軒にても売出せしが、みなこの店の真似たるなり(後略)〟