Top 浮世絵文献資料館 浮世絵師総覧
☆ たきがわ 滝川(遊女) 浮世絵事典
☆ 天明年間(1781~1788)
◯『蛛の糸巻』〔燕石〕②281(山東京山著)
〝(天明年間回想記事)初代花扇東江の門人なり、遺墨世にちりのこる中に、三囲稲荷の額に、自筆のよ
み歌のこれり、同じ時、同家の滝川は千蔭の門人なり、千蔭も東江も、天明中の名家なれば、これが門
人となしたるは墨河が一ツのはかり事なるべし、しかおもふよしは、墨河がはからひにて、一ヶ月に一
度づゝおいらんと称せらるゝ者へ、客の多少により、品に位を付て褒美をとらす、しかるに、滝川が客
の数花扇におとりたる事おほかりければ、そのゝちの時、位よき品をわざと滝川方へもたせやり【花扇
は表ざしき、滝川は裏ざしき、三間づゝなり】ふたゝび軽き品なるをもたせやり、つかひにいわするや
う、今のはおもてざしきへ参るのなりしをまちがへしとて、よき品は花扇へもちさりければ、滝川心に
不足して憤発し、つとめに精を出しければ、両妓一双の珠光をなしゝとぞ〟
〈花扇も滝川も吉原の妓楼扇屋抱えの遊女。墨河はその江戸町一丁目扇屋主人宇右衛門の号。花扇を橘千蔭に、滝川を沢
田東江に入門させて書を習わせた。当時、千蔭、東江、いずれの書も持てはやされていた。扇屋は集客のために花扇と
滝川を競わせたというのである〉
☆ 寛政七年(1795)
◯『【狂歌歳旦】江戸紫』狂歌堂主人(鹿津部真顔)序 萬亀亭主人(江戸花住)跋 寛政七年刊
〝(狂歌賛)八文字の足もしどろに振り出し 酔いやさまさん袖の梅が香 川瀬兼成
(梅図)五明楼遊女瀬川写〟〈五明楼は吉原の妓楼扇屋〉
☆ 文政七年(1824)
◯『甲子夜話2』巻之四十四 p194(松浦静山著・文政七年(1824)記)
〝浅草の本堂に、吉原町扇屋の遊女滝川が掛けし額あり。最も大にして、厳間(イハマ)より滝落る体を描き、
水に月影の映ずるさまなるに、題歌あり。
ますかゞみ清き流れをよすがにて塵なき空の月ぞやどれる
この額の側らに、尋(ツイ)で吉田町の辻君が小き額を掛けたりと。歌に
あまたある中にもつらき辻ぎみのかほさらしなの水の月影
このことを聞たれば、迺(スナハチ)浅草寺に往し人に聞たるに、この大額、横八尺、竪壱丈二尺もあるべき
が、今は本堂にはなくて、絵馬堂に移したり。年経たるか文字稍剥滅すと。又辻君の額は見へず。小さ
ければ散失せるかと〟